6章 獅子の穴に投げ込まれたダニエル
おはようございます。よく親しまれた旧約の物語です。これは、聖書で繰り返し取り上げられる、苦難におけるキリスト者の姿勢の模範となっていきます。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.妬まれたダニエル
バビロンは、メディア・ペルシアの軍隊に征服され、ベルシャツァル王も殺されてしまいました(5:30-31)。その後は、「メディヤ人ダレイオスが、国を受け継いだ」とされます(5:31)。彼は、ペルシアのクロス大王の部下でした(9:1,11:1)さっそく彼は120人の太守を任命し、さらに「王が損害を受けないように」彼らの上に三人の大臣を置きました。政治的権力の濫用や歳入のごまかしを防ぐためでした。その一人がダニエルです(2節)。ダニエルは、既に80歳を優に過ぎていたと思われますが、頭に衰えはなく、その優秀さは、誰の目にも明らかであったのでしょう(3節)。ダリヨスは、ダニエルに全国を治めさせようと思ったのです。しかしそれは、他の大臣や太守の妬みを買いました。彼らはダニエルを失脚させる口実を見つけようとします。職場のみならず、私生活にも厳しい目が向けられ、粗探しが始まるのです。最終的に彼らが問題にしたのは、ダニエルの信仰でした。彼らは、ダニエルを陥れ、葬り去る法令を入念に作り、実行するのです(6-7節)。何とも理不尽なことと思いますが、これが人間社会の現実でしょう。ダニエルは窮地に立たされていきます。
2.窮地にあってもいつもどおりに
しかしダニエルはいつも通りに行動しました。つまり、自分の神の前に祈って感謝をささげたのです(10節)。ダニエルは神の御心に自らを委ねました。ダニエルの屋上の部屋の窓は、エルサレムに向かって開いていたと言います。既に滅ぼされたエルサレムが特記されるのは、読者にソロモンの神殿奉献の祈りを思い起こさせるためでしょう。ソロモンは祈ったのです「捕らわれて行った捕囚の地で、心のすべて、たましいのすべてをもってあなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖にお与えになった彼らの地、あなたがお選びになったこの都、私が御名のために建てたこの宮の方に向かって祈るなら、あなたの御座が据えられた場所である天から、彼らの祈りと願いを聞き、彼らの訴えをかなえて、あなたの前に罪ある者となったあなたの民を赦してください」(2歴代6:36-39)一方、ダレイオスもまた嵌められていました。彼も立場上、一旦定めた法令を取り消すことはできなかったのです。こうしてダニエルは信仰のゆえに、獅子の穴に投げ込まれるのです(16節)。
しかし、ダニエルは救い出され、彼の信じる神が生きておられること、そしてその神の主権が認められていきます(25節)。エルサレムから遠く離れたペルシアでのこの出来事が、やがてキリストの降誕にあたり、東方の博士の物語を生み出すことになったのでしょう。また、後にヨハネが黙示録で、この章以降に描かれた奇怪な生き物を合体させた獣の幻を語ったのは、迫害下のクリスチャンに、いつもどおりに祈り忍んだダニエルの姿を思い起こさせるためであったことは想像に難くないのです。何が起きても動ぜずに主を信頼し、結果を先取りした感謝をもって歩ませていただきましょう。