はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

夫の長所

2020年05月10日 | はなこ的考察―良いこと探し
 新型コロナ(Covid-19)のせいで、夫が在宅勤務になってから、既に3カ月が過ぎた。

 息子が独立して家を出て以来ふたり暮らしなので、私がひとりで買い物に出る時以外は四六時中、夫と顔を合わせていることになる。

 たまに些細な事で口喧嘩をすることもあるけれど、概ね仲良く過ごしている。

 そして、この3カ月の巣籠り生活から、改めて夫の長所が見えて来たように思う。

 夫は病弱な専業主婦の母に育てられた九州男児で亭主関白肌の男だが、頑固一徹と言うほどでもなく、思いのほか頭が柔らかい。むしろ、夫よりずっと若い息子の方が頑固で融通が利かない印象。

 何より、夫は何事にも食わず嫌いのところがない。その持ち前の頭の柔らかさで、貧しい家に生まれ育ちながらも、さまざまなことに興味関心を抱き、偶然の出会いも端から拒否することなく受け入れ、着実に自分の血肉にして人生を切り開いて来たのだと思う。

 私と出会うまで、美術館や博物館には行ったことがなかったのに、今では美術館巡りが趣味のひとつになっている。連れだって、クラシック演奏会を聴きに行くこともある。いつだったか、会社の後輩に今は亡き立川談志の独演会に誘われたのがきっかけで、他の落語家の独演会や寄席にも足を運ぶようになった。。

 先日はこれまでその口からバレエのバもついぞ聞いたことがないのに、自らチャンネルを合わせて、WOWOWでボリショイバレエ団の「白鳥の湖」を楽しそうに見ていた。白鳥、黒鳥を演じるソリストの所作の美しさに見入っていた。

 大学では数学を専攻した理系だが、文学にも造詣が深く、巣籠り生活に入ってからは老後の楽しみに集めておいた文庫本で世界文学を楽しんでいるようだ。今はトーマス・ハーディの「テス」かな?何年も前にナスターシャ・キンスキー主演で映画化もされた英文学だ。

 中国史や詩歌にも造詣が深く、ひとり息子の名前も中国古代の思想家の詩の一節から取った。昨今の新型コロナの流行で言うのが憚れなくもないが、私も夫の影響を受けて、昨夏から夫婦で中国歴史ドラマに嵌っている。

 「宮廷の諍い女」を皮切りに「如意伝」、「月に咲く花の如く」、「武則天」、「瓔珞(エイラク)」と、その何れもが日本の大河ドラマ以上に長尺で70~80話にもなるが、波乱万丈な物語を飽きることなく見続けている(このラインナップは、主に昼時に放映されているのを録画して見ているので、日本の公共放送の大河ドラマよりかなり娯楽色が強いかな(笑))

 中国は社会主義国ながら、市場経済導入以来、長らく二ケタ台の経済成長率が続き、それに呼応するかのようにテレビドラマも年々スケールアップして、豪華絢爛な撮影セットと衣装に多彩なキャラクターで、一筋縄では行かない複雑で濃密な人間ドラマを作り上げているようだ。

 特に後宮を舞台にしたドラマとなれば、中国&台湾中のさまざまなタイプの美男美女を取り揃え、さながら美形博覧会の様相を呈している。

 さらに中国ドラマからは中国社会の普遍的な在りようや中国人の伝統的な価値観も垣間見え、ドラマ化するに当たっての脚色部分を差し引いても、今の中国を理解する助けにもなるように思う。

 朝廷内での一族郎党を巻き込んでの凄まじい権力闘争や、権力に媚びる賄賂の蔓延、権力者の匙加減でいとも簡単に失われる人命、自ら手を下さず、他人を唆して悪事を働かせる、ずる賢い人物として描かれた朝鮮人(←中国人が朝鮮人に対して抱くイメージ?)、また、ことあるごとに描かれる「袖の下」の語源にもなった、お金や手紙など大事な物を袖下に入れる慣習や、上流階級の嗜みとしてしばしば披露される数々の詩歌など、物語の本筋以外にも興味深い内容が盛りだくさんだ。

 斯様に、夫と共に自分たちなりの巣籠り生活を楽しんでいる。

 新型コロナ流行当初はその動向が気になってよく見ていたニュースやワイドショーも、最近は日々伝えられる情報に一喜一憂するのに疲れたので、あまり見なくなった。おかげで無用な不安もなく落ち着いた日々を送れている。

 今までの報道で知る限り、活動的で外出機会の多い人、仕事柄、感染者との接触が避けられない医療関係者や不特定多数の人と接触する機会の多い人が感染しているようだ。
 
 その点、夫の仕事がリモートワークの可能な職種で、本人が巣籠りの達人?なので、私は助かっている。経済的不安がない分まだ恵まれているので、行動制限にもあまり文句は言えない。

 ニュースに一喜一憂しないとは言っても、未知のウィルス相手だから、必要最低限の情報のアップデートは欠かせないと思っている。

 仕事でどうしても外に出なければならない人以外は不要不急の外出を避け、極力人と接触せずに家で過ごせば、さすがに人恋しくはなるけれど、新型コロナに感染することも、感染して人にうつすことも高い確率で避けられるのではないかな?

 もちろん、確率の問題だから感染してしまう可能性はゼロではないし、自分で気を付けていても感染してしまったのなら仕方ない。それが感染症と言うものだろうから。人間が自然をコントロールしようなんて考え自体がそもそも不遜なのかもしれない。人間は所詮地球上の自然の一部に過ぎないのだから。

 
 とまれ、新型コロナが1日も早く収束しますように!
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