このほど政府の教育再生実行会議で、教育委員会制度改革に踏み出しました。
教育長にその責任のすべてを持たせ、その教育長を罷免する権限を首長にもたせようと提言しています。
もともと教育委員会制度は、戦後、時の政治(首長)の恣意的な介入を阻止し、また継続的・安定的な教育行政を
民主的に進めるために出来上がり、一定機能してきたところであります。
この提言は教育の根幹を揺るがし、過去(第二次世界大戦)の反省をないがしろにするものでもあり、現在全国の首長でも意見が分かれ、
慎重にすべしと良識的判断をしている首長も多いところです。
教育委員会はこれまで、合議制で教育行政の方向性を決めてきました。もし事務局の長たる教育長に全権をゆだねるなら
教育委員会の役割は、さらに縮小し単なるオブザーバー機関になりかねず、決済の追認や重要案件の報告程度のもののとなり、
骨抜き状態となるのは必至です。さらに首長による罷免が可能なら教育長は首長の考えを最優先に考えることとなり、是非を議論する場がなくなります。
待ったなしの改革をすすめたいとする首長の立場も分かりますが、4年任期の首長による教育行政への介入は、負の財産を教育現場にもたらすだけであり、非民主的な教育行政を生むものとして大津市長に強く訴えていきます。
教育改革というのなら、こんなトップダウン的な発想ではなく、学校現場の意見や地域・保護者の声を教育行政に生かすボトムアップ的な
発想が、今こそ必要であり、教育委員会制度に制度疲労があるというなら、教育委員長の常勤化や教育委員会を外部からチェックする附属
機関をおけばよいと考えます。さらに教育長の公選制のあり方も検討すべきであります。
為政者の資質は議論を重ね粘り強く取り組むこと、決して独善的にならないことと認識を新たにしました。