映画評1179 ～ キングダム 大将軍の帰還

今回は「キングタム　大将軍の帰還」です。

原泰久の同名人気漫画を実写映画化した大ヒット作「キングダム」シリーズの第４作。

主演：山崎賢人
共演：吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、山田裕貴、岡山天音、三浦貴大、新木優子、吉川晃司
その他：髙嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、山本耕史、草刈正雄、長澤まさみ、玉木宏、佐藤浩市、小栗旬、大沢たかお、濱津隆之、田中美央、真壁刀義、村川絵梨など

＜ストーリー＞
春秋戦国時代の中国。馬陽の戦いで、隣国・趙の敵将を討った秦国の飛信隊の信たちの前に趙軍の真の総大将・ほう煖（ほうけん）が突如現れた。自らを「武神」と名乗るほう煖の急襲により部隊は壊滅的な痛手を追い、飛信隊の仲間たちは致命傷を負った信を背負って決死の脱出劇を試みる。一方、その戦局を見守っていた総大将・王騎は、ほう煖の背後に趙のもう一人の化け物、天才軍師・李牧の存在を感じ取っていた。


いちおう４部作の完結編（？）らしいです。

もちろん、原作はまだまだ続くし、そもそも秦の始皇帝の物語だから、その前半のクライマックスということでしょうか。

結論から言うと・・・面白かったです。

今作のハイライトである王騎と龐煖（ほうけん）の一騎打ちは、全体的にワイヤーアクションを使ったやや不自然な動きが気になる中で、ひと際光る迫力のあるガチンコ勝負だったように思います。

つまり、今作の主役は信なんかではなく、この王騎であることは間違いありません。

アニメ版の方は見ていませんが、だいたいその通りの展開のようで、ネットでの評価もかなり高いものでした。

特に王騎の最期のシーンは、原作を忠実に描いたもののようで、結構感動的なシーンで、多くの人がここで泣いたようです。（私は泣きませんでしたが）

とは言え、もちろん残念な部分もいくつかあります。

まず、最初にこれまでの流れを簡単に振り返るのはいいとしても、前作の最後に出てきた龐煖にボコボコにされた王騎軍（正規軍ではない方）が、散り散りになって逃げ惑う中、信を守ろうとした飛信隊の尾到（びとう）が亡くなるシーンまでが異常に長くて、ものすごく冗長に感じました。

原作でもかなりページを使った大事なシーンらしいのですが、今作のハイライトは誰がどう見ても王騎対龐煖ですから、所詮は小者である尾到のエピソードは、ドラマで「尾到の死」として一話作るのならまだしも、この大作の中ではもう少し簡単に描いても良かったのではないか、と個人的には思います。

次に、王騎の妻となるはずだった摎（きょう）について、ネットでは「あまりにも華奢すぎて大将軍としての気迫が全く感じられない」という声がありましたが、アニメ版を見ると、それほど違和感のある配役ではありませんでした。
ということはつまり、元々の設定に無理があって、あんな華奢な女性があの時代の中国で大将軍になんかなれるわけがない、というごく自然に湧いて出てくる違和感の方が正しかったのだろうと思います。

このように、このシリーズでは結構女性陣が活躍しますが、清野菜名演じる羌かい（きょうかい）にしても、長澤まさみ演じる楊端和（ようたんわ）にしても、佐久間由衣演じるカイネにしても、皆さんお綺麗ではあるけれど、揃いも揃って華奢なので、見ていて違和感がかなりあります。

それだけ日本にはアクション女優がいない（志穂美悦子が懐かしい！）ということでしょうが、時代背景を考えても、ちょっと女性を出しすぎのような気もします。

アニメなら誤魔化しはきくでしょうが、さすがに実写版となると、無理があるような気がするものの、このあたりは原作がそうなので、あまりイチャモンをつけても単なる言いがかりになってしまうので、このへんにしておきます。

ただ、エンディング曲は、第一作目のONE OK ROCKがとても良かったのに、第二作でミスチルになり、第三作で宇多田ヒカルと、トーンダウンしていましたが、今作でまたONE OK ROCKに戻ったのは良かったです。

やはり、この世界観を表現するのはミスチルや宇多田ヒカルなんかではダメで、ONE OK ROCKがぴったりだと思います。

次のシリーズがいつ始まるのかわかりませんが、物語はまだまだ続きますので、次にも期待しています。

ということで、評価は「Ａ」にします。

余談ですが・・・

王騎の片腕であり、王騎の後を任された騰がめっちゃ強くてビックリしました。

あと、信が相変わらずうるさくて、あちこちのシーンで場の雰囲気を壊していたような気がします。

特に、冗長だった尾到のシーンで、敵から逃げまわっている最中なのに、あんな大声を出していては敵に気付かれるでしょうに、アホなのか？とさえ思ってしまいました。