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そっと彼の肩に頭をもたせかけているのだろうか?

2010-07-14 00:00:00 | 日記風
 電車に乗って座っていた。向かい側に若い女性が座っていた。20代半ばって感じかな。
 彼女はかなりはっきり眠り込んでいた。

 女性が電車の中で眠り込むことも珍しいけど、連れなのかな。隣りの男性の方にほぼ寄りかっている。

 知り合いだろうか?

 男性は30代半ばって感じで、平日なのにスーツを着てない。自由な職業のひとなのかもしれない。けれど女性はスーツに近い格好をしている。いかにも不釣合いだった。

 連れだろうか。

 女性は電車のゆれと共にどんどん男性に寄りかかっていく。
 男性が横目で女性を見る。

 知り合いが眠りこけたとも、知らない女が眠り込んでよりかってきてる。迷惑だ。どちらとも読み取れない。

 女性は例えこうして電車の中で眠り込んでいても、寄りかかって大丈夫な相手かどうか、どこかで意識しているという話を聞いたことがある。
 知らない相手に寄りかかっているのであれば…、大丈夫だと判断しているってことだろうね…。

 駅についた。少し身体を男性から離した隙に男性が立ち上がる。
 女性も目をしょぼつかせながら、起きたようだ。
 男性はさっさと立ち上がって出口に向かう。 
 女性は駅名を確認して、立ち上がる。
 椅子の上に忘れ物がないかどうか1度振り返った。

 電車が完全に止まり、ドアが開いた途端、女性が男性に目もくれず降りていく。自分が眠り込み、男性の肩にずっと寄りかかっていたなんてまるで覚えていないようだった。

 結局赤の他人同士ってことだったんだ。

 男性が優しいというべきか。
 男性がいい思いをしたというべきか。

 彼女に眠っている間の様子を離してあげたら、
 「えー、やだっー」
 というかもしれない。





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