静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

生徒諸君の実習や講義の感想 2(序)

2024年08月05日 10時42分47秒 | 授業の感想
水産技術 (座学)
当学園の教務職員が講義をするほか、静岡県水産・海洋技術研究所の研究職員や普及職員を講師に招き、彼らの専門分野についてわかりやすく講義をしていただく時間を設けています。
1学期には、水産加工、しらす(いわししらす)、さば、かつお、海洋環境及び深層水について、講師を招いての授業を行いました。


今回は、水産加工の授業について紹介します。

○ 静岡県の水産加工の現況
静岡県は、水産加工業が盛んな地域で、その生産量は北海道、千葉県に次ぐ全国第3位となっています。
製品ごとにみると、国産のかつお缶詰やまぐろ缶詰は、ほとんどが静岡県内で生産されています。
また、あじの干物やなまり節は、全国シェアの半分程度を占めています。
その他にもかつお節やしらす干しなどがあります。
生産量、全国シェア及び静岡県内での主な生産地などの情報に興味がある方は、静岡県経済産業部水産・海洋局水産振興課のHPをご覧ください。

* 皆さんがツナサラダ、ツナサンドなどに使っている国産ツナ缶(最近はレトルト処理された袋状の商品もありますね)は、ほとんどが静岡県内で生産されたものです。

○ 水産物を加工する目的
 水産加工の目的は、生の状態よりもおいしくすること、変質(劣化)しやすい水産物の保存性を高めることです。
 おいしくすることは理解しやすいですが、変質しやすい理由はわかりにくいので、少し解説します。
 水産物は、水分が多く組織がもろいため、細菌などの増殖による変質(劣化)が起こりやすいこと、内臓などに含まれる物質(酵素など)により自らを壊していくことなどにより畜肉などに比べて変質しやすいと言われています。塩漬けや干すことで水分を減らしたり、熱を加えることで酵素を壊したりなどの加工を施すことで、これらの変化が起こりにくくしています。

* 昔に比べて現在では、漁船から小売りまでを低温管理できること、漁獲後すぐに臓器を除去すること等により変質を抑え、生食用として利用できる期間を著しく伸ばしています。遠洋まぐろ船などでは、漁獲後にエラや内臓の除去などの必要な処理をした後に-50度の船内にある超低温冷凍庫で保管されます。陸揚げ後も陸上の超低温冷凍庫で保管されます。

○ 静岡県の缶詰製造史
静岡県は、缶詰製造における新興産地で、昭和初期に多くの製造工場で稼働が始まりました。
昭和8年における工場数は、全国にまぐろ類の缶詰を製造工場が29あった中で、県内では15が稼働していたそうです。
製造した缶詰は、アメリカやイギリスなどに輸出していたそうです。
当時は、夏にはまぐろの油漬け缶を、冬にはミカンの缶を製造する周年稼働の体制がとられていたようです。
これは、まぐろが水揚げされる漁港とミカンを生産する農家が近接し、原材料の調達が容易であったため、まぐろ缶とミカン缶の製造技術が確立されていたことで可能となったそうです。
また、缶詰の缶を製造する工場も県内に作られたのもこの頃のことです。
地理的に有利な環境を活用した先人たちの努力により、現在のように静岡県が全国一の缶詰生産地へと発展していきました。


文字ばかりですみません。
次は、生徒諸君の感想です。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生徒諸君の実習や講義の感想 1

2024年08月01日 15時40分26秒 | 授業の感想
定置漁業体験実習
生徒諸君の感想を紹介します。


一番多いのは。。。。
「仕事は想像以上にきつい」でした。
船での力を使う作業を行い、引き続き商品である漁獲物を種類ごと大きさごとに仕分ける作業をしたため、このような感想になりました。
慣れていない作業は神経を使います。また、船が揺れながらの作業で肉体的にも疲れがたまったと思います。


次には!
「漁業者はタフ!!」でした。
「手際よく作業する姿を格好良い!」と表現した生徒もいました。
定置網漁に従事する漁業者さん達は、毎日のように漁労作業を行っています。
毎日の積み重ねで、体の使い方、仕分けのための識別眼などの必要な力が養われていきます。
千里の道も一歩からを体験できたようです。


実は最も多い感想?
「貴重な体験をできた」
生徒諸君すべてがこの感想を持っていました。
漁業者の仕事に対する姿勢、作業をしている中で次の作業を見つけて(予測して)いくこと、自分が船酔いしたこと(作業について行けずに悔しい)など、貴重な体験の中身には違いがありますが、漁業者の皆様と一緒に作業をすることで見えた事があったようです。


これら以外にも、「魚を獲るだけで無く、仲買さんが購入しやすいように種類や大きさごとに分ける作業をしていること」、「市場に出した後に、次の漁の準備をしていた」など、仕事の中身まで考える生徒もいました。




いかがでしたでしょうか。
夏休み期間中は、1学期の授業についての生徒諸君の感想を紹介します。
お楽しみに!!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生徒諸君の実習や講義の感想 1(序)

2024年08月01日 15時32分34秒 | 授業の感想
定置漁業体験実習
感想の紹介に入る前に、定置網漁について簡単に紹介します。

○ 定置網漁
類などの回遊路に網(垣網)を設置し、その網を避ける行動を利用して逃げにくい構造とした網に誘導し漁獲する漁法です。

○ 操業形態
・ 漁場での作業の流れはおおよそ次の通りです。
1.早朝に定置網の魚の入った部分の網をあげていきます。
2.網を絞っていき、すくえるようになったら、魚類などをたも網を使って船に移していきます。
3.船に移すときに、生かすもの、高価なもの、多く獲れたものなどに大まかに分けます。
4.すべての魚を船に移したら、網を元の状態に戻して、次の漁に備えます。

・ 市場での作業の流れはおおよそ次の通りです。
1.船で大まかに仕分けた漁獲物ごとに陸にあげていきます。
2.生きている魚介類は、市場の水槽に入れます。
3.種類ごと大きさごとに分けていきます。
4.細かく分けられた漁獲物を市場に並べます。
5.使用した道具を洗い、片付けをします。


生徒諸君は、漁場での作業から漁獲物を市場に並べるまでの作業を体験しました。
3時頃に学園を出発し、10時半頃に帰ってくる。途中に朝食の時間があるものの長丁場の実践を経験できました。
出航

網を絞っていきます
たも網ですくいます
仕分けます


市場に並べます

次のページで生徒諸君の感想を紹介します。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする