乳房観音堂(長野県生坂村)
旧信州新町から国道19号を安曇野市方面に走ると左側の犀川の対岸に一際大きな銀杏の木が見えます。この木は乳房イチョウと呼ばれています。樹齢約800年の大木で、およそ25本の柱瘤(乳房)が認められます。イチョウの古木はこのように柱瘤が出来るのですが、こちらのように沢山できるのは、珍しく、県の天然記念物に指定されています。170年前に横の観音堂が焼失した際、観音様がこの大イチョウにお移りになりなった生の姿を村人が目撃しています。乳房観音は、お参りすると母乳の出が良くなるとの言い伝えがありますが、古いお堂が山里の一角にあるのは得も云わず情緒があり、訪れる人もあまり居らず落ち着いた佇まいです。近頃、ポックリ寺や、ガン封じの寺など、どう考えても、後付の理由で来訪者を呼び込むような俄か名所がありますが、こちらはそのような宣伝は全くしていません。乳房の由来となった柱瘤は上のイチョウの写真の右下の方に象の鼻のように垂れ下がっているところです。イチョウは中国が原産国ですが、現在日本で見られる大木のイチョウはすべて人の手により植えられたものです。また寺院に良く植えられている紅葉や楓も同様に人が植えています。秋に色づく紅葉葉の赤や黄色、イチョウの黄色。古の昔より人々はフルカラーの色彩をあちこちに多用していたことが分かります。
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