感想

バラとおわら風の盆と釣りなどの雑記

岡潔の炯眼‥「世界の知力が低下してきている」

2011年07月15日 | 徒然草
(写真は御射鹿池です 3週連続)


読む本がないので書店をぶらついていると、文庫本コーナーの新刊の棚に新潮文庫で「人間の建設」(小林秀雄・岡潔の対談)が目立つところに置かれていた。
既読であり小林秀雄全集に掲載されているので持っているのだが、文庫版はどこでも持ち歩きできるので購入し再再読。
小林秀雄の対談相手は多岐にわたるが、以前はもっぱら小林の言葉のみ注意して読んでいた。

岡潔の名はかつて学校で教わった、日本人数学者として唯一世界的な実績を残した方であるという知識位しかなかったが、今回詳細に読んでみると岡潔の言葉も大変面白く、なおかつ本質を捉える普遍的要素が感じられ、非常に感動したのでご紹介したいと思います。
この対談は昭和40年10月に「新潮」掲載されたものであるが、今読んでみても古さは全く感じられない。
本対談の中で岡は「世界の知力は低下してきている」と三度(多分)話している。享楽的な文化に対して警鐘を鳴らしています。

Pax Romana とは政治的安定を指す言葉ですが、それは権謀術数に人類の注意や能力を注ぎ込んだ反作用として、本来の美や誠意とは懸け離れた退廃的文明をもたらした政治的安定を指す言葉です。

岡は現在の世界はローマ帝国時代に似てきているということを話しています。近代の西洋文明の源流はすべてギリシャ時代に出来たものであるのだが、例えばミロのビーナスは有る程度理解できるが、その奥にあるもは全く理解できないと言いながらも、ギリシャの高い精神性と美意識を持った健全な文化からローマ時代に移り2000年もの長きわたり人々は退廃して行った実例を「知力は低下してきている」と述べているのです。

現代は第二のローマ帝国であるとも言えると思います。

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