今、若者に最も人気のある作家のひとりであろう、伊坂幸太郎。
ちょっと前に出た文庫が面白かったのですよ。
死神の精度 (文春文庫 (い70-1))伊坂 幸太郎文芸春秋このアイテムの詳細を見る |
死神は、人が死ぬ1週間前にその人の元に派遣され、その死を「可」とするか「見送り」とするの判定をする。
と言っても、見送る理由なんてほとんど無いから、死神たちの下す判定は大抵「可」。
人間に興味の無い死神たちは「仕事」をビジネスライクにこなしつつ、合間に愛すべきミュージックを聴いている。
本作の主人公は、そんな死神たちの一人である「千葉」。仕事には生真面目、ミュージックを愛し、そして何故か青い空を一度も見たことのない雨男。
死神・千葉の視点で綴られた連作短篇集です。
人間の常識が通じない死神視点ならではのユーモア、さらりとしたクセのない描写、「そうだったのか!」という驚き、心がホッとする温かさ・・・いろいろな味わいが楽しめます。
多くを語るのは野暮ってもん。是非、読んでみてください。
そしてこの短篇集を原作とした映画「Sweet Rain 死神の精度」を、先週観て来ました。
原作つきの映画はこないだの「チーム・バチスタの栄光」で懲りたはずなのですが、主演・金城武の誘惑には勝てません。ぷ。
で、とにかく金城武がカッコよかった!!
もう、カッコイイのは知っているはずなのに、改めて「こんなにカッコよかったけ?(*ノωノ)」と照れるほどカッコイイ。あの澄んだ瞳は反則です!
しかも、金城武のカッコよさを差し引いても面白い映画でした。
原作から三篇を抜き出し、設定を少し変えつつも、うまいこと原作の世界観を損なわずにストーリーを作り上げていました。
死という題材を扱っているにも関わらず、重たくなく軽すぎず、これは原作がそうだからと言うこともありますが、金城武や富司純子の演技力に負うところも大きい。
シンプルにすとんと胸に落ちてくる、素直に楽しめる映画です。