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くらしのなかにアタマのカタマリ

真鶴と札幌と甲府のどこで老後を過ごそうか悩みながらブログを書くのである。

「宇宙の話をしよう」―小山宙哉 『宇宙兄弟』

2010年03月31日 20時36分24秒 | 本を読んだり。

本屋さんでお仕事をするようになってから、今まで読まなかった本を読むことが増えました。
昔は決まった作家さんの小説を読むことが多かったのですが、これまで知らなかった作家さんの本を読むようになったり、さらに小説だけでではなく、新書や漫画も読むようになったり。
これは、バイト仲間(やはり読書好きな人が多い)に勧められたり、今までよりずっと多くの本を目にすることによってタイトル買いが増えてしまったということが理由としてあり。
また、売れている本は避けて通る天邪鬼なところがあったのですが、逆に売れている本に興味をもって読んでみるということもするようになりました。

そんななか、この『宇宙兄弟』は珍しく、夫に頼まれて買ってきて自分がハマったというパターン。

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)
小山 宙哉
講談社

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幼いころ、共に宇宙飛行士を目指すことを決めた兄弟。
数年後、弟は宇宙飛行士となり、兄は会社をクビになっていた。
そんなとき、弟から送られてきたメールを見た兄は、再び宇宙飛行士の夢に向かって歩みだす…

難しいことはなにひとつない、タイトルそのままのシンプルなストーリー。
少しの笑いと涙、そしてなにより、アツくておもしろいのです!
宇宙飛行士になるための様々な試練、そしてデキる弟と不器用な兄との強い絆。
弟は一足早く月へ行ってしまったけれど、兄弟が二人で宇宙に行く日を楽しみに読んでいきたいと思います。


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小谷野敦 『大河ドラマ入門』を読む。

2010年02月07日 19時04分25秒 | 本を読んだり。

Amazonのレビューを見ていて、低評価な人のレビューであまりにもこき下ろされていたのに逆に興味をもたされて、買ってしまいました。
(ちなみに買ったのはAmazonでなくて自分の本屋さんでござる。)

大河ドラマ入門 (光文社新書)
小谷野敦
光文社

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大河ドラマ大好きな筆者による大河ドラマ紹介本。
低評価な人の理由がわかったような気がするのですが…視聴率や経済波及効果など様々なデータを元にした分析であったり、いっそ淡々とストーリーやキャストなどを紹介する内容なのであれば、受け入れざるをえないのかもしれませんが、何しろ筆者の個人的な感覚をもとに書かれた書籍なので、「いやいやいや」と思わざるをえない部分があるんですね。例えば、筆者の女優の好みとかどうでもいいですし。
実際に対面して話すのであれば「いや、私はこう思うんだけど」と言うこともできるし、それによって逆に話も盛り上がるのでしょうが、書籍となるとそうはいかない。フラストレーションがたまります。しかも、どうも「上から目線」が感じられる書き方なので、なおさらでしょう。
しかし、こんな個人的な大河ドラマへの愛が書籍として商品化されるなんて、それはそれですごいことだと思いました。筆者は、大河ドラマ評論の世界(そうでなくてもドラマやらテレビ番組やらの評論の世界)ではそれほどに名の通った方なのでしょうか。

それはともかく、私としてはそれなりに楽しめました。
好みが合わないところもあったけれども、合うところもいっぱいありましたし。
特に、全体を五章に分けた中でわざわざ一章を割いて「大河ドラマの音楽」について触れてくれたあたりは、かなり「心の友よ!」な気持ちになりました。ただ、そのなかで私の好きな「毛利元就」のテーマ曲が「凡庸」と評されていたのはちょっとやるせないですが…。

あと、筆者と筆者の奥様の描かれた、キャストのイラスト。
あれは全部奥様が書かれた方がよろしかったのではないかと思う次第であります。お金を取っていい代物ではありません。ネタとしては面白かったです。


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なんて面白いお風呂漫画 『テルマエ・ロマエ』

2009年11月28日 22時52分00秒 | 本を読んだり。

面白い本はいろいろ読んでいるのですが、何をおいてもこの漫画のことを書かずにはいられないのです。

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
ヤマザキマリ
エンターブレイン

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古代ローマの浴場建築士・ルシウスが、古代ローマと現代日本(なぜかお風呂限定で)を行き来してしまうトンデモストーリー。
銭湯や露天風呂など、現代日本のお風呂文化に触れたルシウスは、それらを古代ローマの浴場に生かしていくのですが…。
古代ローマ人の視点が面白い! 銭湯の壁に描かれた富士山やフルーツ牛乳に対する考察など、とにかくくだらなさが最高でした。

作者の方はイタリア在住の日本人で、イタリア人と結婚されているんですね。
そのあたりが、かなりこの漫画に生かされていそうです。


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清野とおる 『バカ男子』

2009年10月28日 00時00分01秒 | 本を読んだり。

以前のエントリで触れた『東京都北区赤羽』の作者によるブログ本が出ました。

バカ男子
清野とおる
イースト・プレス

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アホな中学生男子が好きそうな話が満載。
でも、オトナが読んでも面白いです。というか、笑っちゃいます。


ちなみに、ちょっと前ですが『東京都北区赤羽』2巻も出ました。

東京都北区赤羽 2 (GAコミックススペシャル)
清野 とおる
Bbmfマガジン

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こちらもかなりキてました。
ホームレスのペイティさんを目撃したい。


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手塚治虫の名作漫画2つ。

2009年07月21日 21時03分50秒 | 本を読んだり。

最近、手塚治虫の漫画を2つ読みました。
どちらも暗くて救いがないのですが、名作だと思います。

まずは『MW』。
映画化!ということで、うちの本屋さんでも山積みになっています。
バイト仲間から「BL(ボーイズラブ)なんですよ~(萌)」的な話を聞き、手塚治虫ってBLも描くんだ~という興味から読んでみました。
いえ、BLって読んだことがないんですけど。
エライ漫画でございましたよ、コレは。

■■「MW」という毒ガスが漏れたことにより島民が全滅したかにみえた島で生き残った二人の少年。成長した彼らのうち、一人は神父になり、もう一人は希代の悪者となった。悪者になった青年・結城は、自分の人生を狂わせた「MW」に関係した人々を、手段を選ばす調べ上げて復讐していく。「MW」の後遺症で自分の命が残り少ないと感じた結城は、最後にさらに恐ろしい計画を実行しようとする。少年のころに結城を犯し、そのまま同性愛の関係になっていた神父・賀来は、結城を救い、計画を止めようと画策するが…。■■

とにかく悪い男です、結城。
美貌をいいことに、男でも女でも誘惑します。
そして、人を殺すことにためらいがありません。
復讐を遂げるひとつの手段として奥さんを殺すのですが、身元がすぐにバレないように、手首から先を切り落とし、顔を焼き、新幹線に轢かせるということをサラッとやってのけるのです。
また、誘拐した子供を殺したり、一家心中につながるようなことをしでかしたり、彼の非道さは、まったくフォローのしようがありません。

「MW」は戦争のために作られた毒ガスです。
その毒ガスによって人々が無残に死に絶えた様子を目の当たりにし、さらに脳を侵された結城が悪の塊のような人間になったということ。これは、人間の悪意が、悪意そのもののような人間を作り出したのだということではないでしょうか。

かなり後味の悪いラストですが、私にはものすごく面白い漫画でした。

MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
手塚 治虫
小学館

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(全2巻)


もうひとつは『奇子』。
『MW』が面白かった!という話をしていたら、バイト仲間に勧められたので読んでました。

■■GHQ占領下の日本。復員してきた天外仁朗を故郷で待っていたのは、乱れ切った家族の姿だった。自分がいない間に生まれた妹・奇子(あやこ)は、父と兄嫁との間に出来た子であり、兄は妻を父に差し出すことで、財産を得ようとしていた。仁朗はGHQが絡んだ犯罪に加担するが、その証拠となる出来事を女中と奇子に見られ、女中を殺してしまう。一族から犯罪者が出ることを恐れた兄は、仁朗を逃がし、奇子を死んだことにして土蔵に幽閉する。20年後、ようやく外に出た奇子は…。■■

農地改正や下山事件を絡めて、戦後を舞台に地方の旧家を描いた、『MW』同様に救いのない漫画です。
旧家の主のものすごい権力と影響力、そして一族の繋がり、それは良い方向に進むこともあるのでしょうが、ここでは旧弊が描かれます。
息子の妻を求める父親。そして妻を差し出す息子。身内から犯罪者を出したくないばかりに、幼い子供を死んだことにして土蔵に幽閉することに異を唱えない一族…。

土蔵の中の奇子は「出たら殺される」と言い聞かされ、外に出ようと言われても恐ろしくて出ることができなくなります。彼女が一番落ち着くことのできるのは、暗くて狭い土蔵のなかになってしまったのです。
他に男性を知らない奇子は、土蔵に食べ物を持ってきてくれるすぐ上の兄(仁朗の弟)と近親相姦の関係になります。土蔵から出たあとも、男性への好意をそういった行為で表わそうとします。他に手段を知らないのです。
何が奇子を歪めてしまったのか、それはやはり一族の持つ歪みなのでしょう。

最終的に、奇子は外に出ることができるのですが、その後の彼女の辿る運命と、一族の陰惨な結末…。
本当に救いのない漫画です。お勧めできませんが、お勧めします。

奇子 (上) (角川文庫)
手塚 治虫
角川書店

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(全2巻)


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