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gurimoeの内輪ネタ日記(準備中)

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『ナルキッソス』の感想レビュー(ライトノベル)

2008年11月05日 13時08分04秒 | ライトノベル・小説
MF文庫Jのラノベ、『ナルキッソス』(片岡とも先生原作、ごとP先生口絵イラスト、いくたたかのん先生本文イラスト)を読み終わったので感想など。

片岡とも先生は、ねこねこソフトの『銀色』『みずいろ』『Scarlett』などで活躍されていた方で、小説家としてはこの本がデビュー作になるとのこと。

内容は、ゲーム版ナルキッソス1をベースに、ナルキッソス2の設定が加味されていたり、蒔絵素子のイラストが収録されていたりするのでファン必見かも。

他作品と大きく異なるのは、ヒロイン、主人公ともに不治の病に冒されており、近い将来、必ず死ぬことが決まっているという点でしょう。
現代が舞台で、病気が治るような都合の良い魔法なども存在しません。

治療不能な患者を収容する、病院の『7F』。
そこで出逢った2人が、行き先も目的も、未来すら持たないまま宛もなく車で病院を飛び出す…という展開が、序盤からもの悲しさを演出します。

主人公が病気になる理由についても、特にコレが原因と呼べるようなものがなく、昨日まで普通に生活していたのに、たまたま運悪くその病気になってしまったという、本人のせいではない理不尽なものなので余計に切ないです。

一方ヒロインは、中学の頃に初入院してから、22歳になるまでをほとんど病院で過ごし、主人公よりも明らかに死期が近い状態。
自分が『生き続ける未来』を求めることを諦め、そのために頑張ろうとしない彼女ですが、その理由とは何か?
そんな彼女が、主人公と共に目指す場所とは?

ほんの数週間の旅の中で、2人の心境がどの様に変化していくのかという所も見所ですが、それらを経てヒロインが導き出した結論というのが、ラノベとしては異端でありつつも、この物語には相応しいものの様な印象でした。

また、それに対して主人公がどの様に振る舞ったのか?という点についても、色々と考えさせるものがありました。

単なる善悪等の問題は別にして、『彼女が最後に望んだわがままが、彼女を幸せに出来たのかどうか』が重要な部分なのかなと思います。

全編泣きまくりというような、そういった悲しさではないのですが、物語の結末を思い出す度に、これで良かったのかな?と、もの寂しくなるような読後感が印象に残りました。

主人公視点で語られる毎日のエピソードに、時折挿入されるヒロインのモノローグが切々と心に染み渡ってきます。
比較的短めの文章が連ねられる形式の書き方なので、ノベルゲームの雰囲気が再現されている感じでサクサク読み進めていけると思います。
1つの物語が幕を閉じつつも、早くも次のお話が気になるという終わり方が心憎いです。

読む方の主観によって、評価が二分されそうな作品です。
気になった方は是非チェックなさってみて下さいませ。




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