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City Island

2010-05-20 07:24:02 | 日記

この映画は日本での公開が予定されていない。
残念なことだ。
アンディー・ガルシアのベスト映画と言って良いと思う。

これまでの彼は、ゴッドファーザーIII のビンセント・マンチーニ役が常にちらつき、キザで冷徹な二枚目役が多かった。
オーシャンズシリーズでのカジノの帝王役や「奴らに深き眠りを」 (Hoodlum) でのマフィアのボス役などである。
今回は俳優になるという夢を持っているさえない刑務官が役どころだ。
物語はニューヨーク・ブロンクス東端にある City Island を舞台としている。
或る意味で典型的な、非常に騒々しい一家だが、みんな大小の秘密を抱えている。
些細な隠し事としては、喫煙とか、密かに演技のクラスを受講しているとか他愛のないことから始まり、大麻所持で挙げられたなど、ある程度大きな問題まで含まれている。

主人公のビンスは演技のクラスで、個人として最大の秘密をパートナー(モリー)と分かち合うという課題をもらう。
モリーにも実は忘れてしまおうと努力している過去がありそれが最大の秘密なのだが、それを隠してビンスの抱えている秘密を明らかにさせる触媒役を果たしている。
モリーを演じる Emily Mortimer はマッチポイント(ウッディ・アレン監督)の時よりはるかに魅力的だ。
こういう役の方が彼女の良さを最大限に生かせると思う。

その他の家族全員がそれぞれ打ち明けることの出来ない秘密を抱えているのだが、基本的に善人であり、みんな良心の呵責に悩まされている。
奨学金を打ち切られて切羽詰まった娘をアンディーガルシアの実の娘が演じている。
少し変わった趣味を持つ、美味しい役どころの息子はこの映画のスパイスだ。
妻の役はERでお馴染み Julianna Margulies が演じている。
(1994年の放映第一作は彼女が自殺未遂をして病院に運ばれてくるところから始まっていた。)
気が強く情の深い女性を演じさせたら第一級の彼女がはまり役を見事にこなしている。
仮釈放される前科者を演じるスティーブン・ストレイトはモデル出身だ。
まるで Abercrombie & FInch に出てくるモデルのようだ。


この作品は誰にきいても高評価だ。
心の暖まる喜劇だが、その中で複雑な精神の葛藤や、もつれた人間関係を上品に克つすっきりと表現している。
特に、モリーの物語は決して表に出てこないが、ビンスの秘密のミラーとして粋に描かれている。
必見としたい。


☆☆☆☆