第4話 社長がマークX赤道儀に注目
マークX赤道儀を開発していた当時の五藤光学研究所の社長は、初代社長の五藤齊三でした。明治24年生まれの実業家で、生涯に実にさまざまな会社を興したのです。五藤光学研究所も、そして五藤テレスコープの事務所がある大東京綜合卸売センターも齊三が興した企業のひとつです。
開発会議の委員は、マークXのコンセプトを社長から反対されると考えていました。天体望遠鏡に対して一徹な意見を持っている人だったからです。でもそれでも製品化しようと心に決めていました。
ところが製品化の報告をすると、私たちの心配とは逆に大賛成をしてくれたのです。それどころか「赤道儀の開発は君たちが担当しなさい。私はその赤道儀に取り付ける新しい光学系を開発する」と言ってくれました。齊三の残した3つの教えのひとつに「決して他人のまねはしない」という言葉があります。アイデアの斬新性があるいは彼の心に響いたのかも知れません。このことは将来、マークX赤道儀の販売に大きな事件となるのですが、当時はマークXシステムの拡張に多大な恩恵がありました。
こうして齊三社長の直接指揮による8cmアポクロマート、セミアポクロマートシリーズ、10cmマクストフなどが誕生してゆくのです。(suzu)
画像:2枚玉スーパーアポ最初のカラー広告