昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

双眼鏡の検査方法

2013-09-18 14:49:20 | 望遠鏡・双眼鏡

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StarCruise842が私たちの予想を超えた受注があり、在庫切れの結果おおくの天文ファンのみなさまにご迷惑をおかけしています。次のロットの生産が上がるまでの間、この双眼鏡の検査がどのようにして行われているのか、その一部をご紹介したいと思います。

この双眼鏡は全部で12の検査項目を設定し、全品検査を行っていますが、その中でも左右の光軸の平行度と倒れ、そして中心分解能が非常に重要な項目となっています。

平行度と倒れ角度の検査は、光軸検査器という大型の装置で測定します。この装置の上に双眼鏡を載せるとスクリーンに左右の光軸の様子、そしてプリズムによって180度回転した画像が正しく180度かどうかが表示され、計測することができます。

双眼鏡のJIS規格はB7121という規格で決められていますが、StarCruise842の場合は天体観測で特に影響の大きい平行度をJIS  AA級で決められた数値以下に設定しています。

次に分解能はコリメーターを使って測定します。コリメーターの焦点位置に上の図のようなUSAF解像力ターゲットを装着し、これを双眼鏡で見るわけですが、細かい分解能を測定するために双眼鏡の接眼部に更に5~10倍の望遠鏡を取り付けて観察します。StarCruise842の場合、4.5秒から5.5秒角程度の中心分解能でした。(JIS AA級では倍率8倍、ひとみ径4.5mm以上の機種で7.5秒)口径42mmの望遠鏡と考えた場合は理論上3秒角になるので、短焦点の対物レンズと複雑なダハプリズムを通過してきた像がこれだけの分解能を持つことは驚きに値します。8倍の倍率を掛けると、ほぼ視力1.5の人の眼の分解能に相当し、JIS  AA級が規定する数値よりはるかに高いと言えます。(suzu)

画像:解像度チャート


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