昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

ネオワイズ彗星のスペクトルなど観測事例紹介

2020-07-30 10:22:30 | 分光観測

石川県柳田星の観察館満天星 学芸員の田口様より、天体スペクトル観測キットを使ってこと座のベガとネオワイズ彗星のスペクトル観測できたと報告をいただきました。特にネオワイズ彗星のスペクトルは貴重なのでブログ掲載を相談ところ了承いただきましたので紹介させていただきます。

デジタル一眼レフの標準ズームレンズに回折格子STARANALYSER100を取り付け、固定撮影をしています。彗星核は日周運動で少し流れていますが、むしろスペクトルに幅が出て、彗星の輝線スペクトルが良くわかるようになりました。同条件で撮影したベガの水素Hβ線の吸収スペクトルの位置をまずRSpecで測定し、ネオワイズ彗星のスペクトルを解析すると2つの炭素原子が結合したC2と1個の窒素原子に水素原子が2個結合したNH2分子の輝線であることがわかります。

ネオワイズ彗星くらいの規模になると天体望遠鏡を使わなくても十分に彗星のスペクトル観測ができる良い事例になりました。

また同施設ではスペクトル観測のワークショップ活動もしていて、参加者に観測体験をしていただいているとのことです。天体の光を虹色に分けることで宇宙のいろいろなことがわかることを知っていただけたのではないかと思います。

最後に観測データを提供いただいた石川県柳田星の観察館満天星 田口様に改めてお礼申し上げます。

石川県柳田星の観察館満天星
http://mantenboshi.jp/

天体スペクトル観測キットについて
http://gototelesco.co.jp/spectroscopy_kit.html