先日、所用で五藤光学OBの児玉氏を訪問したとき、五藤光学研究所創業時に発売していた口径1インチ屈折望遠鏡を見せていただきました。
本望遠鏡についてはドームなび「星夜の逸品」内の児玉氏の記事を参照ください。
http://www.domenavi.com/ippin/2013/03_1.html
記事によると、1インチ屈折望遠鏡はいくつか種類があり、見せていただいたのは初期の甲号というモデルでした。本機は総金属製で、三脚も鉄製の庭園用三脚型となっており、外観から想像できないほどズシリとしています。見え方は昼間なので遠方の電柱を見るにとどまりましたが、口径25mm f=800mm シングルレンズなのでそれ相応の性能なのは否めません。しかし、当時は天体望遠鏡は庶民にほとんど縁がない時代を思えば市場に登場した意義は大きいと思いました。
そんな1インチ屈折望遠鏡で見る天体はどんな姿なのでしょうか。機会があれば夜にもう一度のぞいてみたいものです。(kon)
画像1:1インチ屈折(甲号)外観
画像2:対物レンズ ※対物レンズの製造は日本光学
画像3:貼られた銘板 ※販売は科学画報代理部 五藤光学所在地名称がまだ東京市!
画像下:人と望遠鏡の対比 ※モデルは児玉氏
8倍42mm双眼鏡StarCruise842は早いものでこの夏で2年をむかえます。双眼鏡というのは、意外とサイクルが早く、2年も経過すると目新しさが薄れてしまうものですが、幸いなことにStarCruise842はコンスタントにご用命をいただき、さらには代理店販売も開始する等広がりを見せています。弊社の性格上、最初は天文用途での購入がほとんどでしたが、じわりじわりと野鳥観察を楽しむ方にもご用命いただくケースも増えてきました。野鳥は現在、営巣シーズンが始まっており、もうじき巣立ちした幼鳥を観察することができるでしょう。発売当初に比べ在庫も確保に努めていますので弊社、スカイバード、スコープタウンにてご用命いただければ幸いです。(kon)
StarCruise842のページ
4月1日の午後に遡りますが、日本望遠鏡工業会の技術研修会に参加してきました。内容は昨年のブログでも紹介した国立科学博物館の中島隆氏を招き、「日本の双眼鏡の歩み(戦前編)」について話をしていただきました。
日本製双眼鏡の発達は軍需によって支えられたといっても過言ではありません。陸海軍それぞれで企業を指導し、そうした中でいろいろな光学会社が立ち上がり、性能や製造技術の向上に明け暮れることとなりました。しかし、太平洋戦争での敗戦で一旦終わりを告げることとなります。幸いなことに光学機器関係は空襲による被害が少なかったことから、戦後になると光学メーカーはまず双眼鏡の生産と進駐軍の兵隊への販売から徐々に立ち直っていきます。
とても濃い話でブログでは書ききれませんが、実機の構造紹介と解説を通じ、当時の双眼鏡製造に関する技術・工夫・問題点などがわかりました。また後のニコンの前身となった藤井兄弟をはじめとしてさまざまな方も登場してきます。余談ですが、昭和15年に品質(見え味)とメーカー出荷価格の勘案に際して評価員会が立ち上がりますが、その委員長は五藤光学研究所 五藤齊三が務めるなど当時から望遠鏡だけでなく双眼鏡にも関わっていたことも興味深いエピソードです。
さて、中島先生ですが、5月に地人書館から「図説 双眼鏡の歴史 光学系と製作技術の進化をたどる 」が出版されるとのこと。
http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN978-4-8052-0886-1.htm
これは思わず欲しいと思ったのですが、価格が・・・(笑)
会社の経費で買ってくれないかなと思ってしまいました。(kon)