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ヒストリー・オブ・バイオレンス(デイビッド・クローネンバーグ監督)

2008-04-26 | Weblog
評価:☆☆☆
キャスト:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ボロ、ウィリアム・ハート、アシュトン・ホルムズ、ステファン・マックナイト、エド・ハリス
コメント:さして期待しないでレンタルしてきたのだが、あまりの凄惨な暴力の描写に引き込まれ最後までこの映画の世界にのめりこんでしまう。凄惨な暴力とはいっても時間的な描写はきわめて短いし、あまりにも「凄惨すぎる」と思われるシーンはカットされて観客の想像力に訴える「仕掛け」になっている。レンタル店では成人指定になっていなかったが、それはおそらく「凄惨なシーン」の直接的な描写が「物理的に」少なかったためであろう(ただし日本ではR-15指定)。ただ、エド・ハリスやウィリアム・ハートといった名優の「東海岸のギャング」ぶりがまた「恐怖」を倍増させる。けっして大声をだしたり、手を出したり、銃を乱射したりといった振る舞いはしない。静かに淡々と語るだけなのだが、その「語り」の内容が、きわめて知的な「憎悪」に満ちているため、黙って聞いているだけで震え上がるような台本に。読み上げる役者の演技力にもよるのだろうが、エド・ハリスもウィリアム・ハートも長い台詞など苦にもしない。銃が撃たれる瞬間よりも静かに語っている場面のほうが恐怖感が増す…というのはこの映画に出演したヴィゴ・モーテンセンをはじめ、大人の役者の演技力が光る場面か。余計な説明なども画面には表示されず、西部地方のどこか静かな街で静かに暮らしているダイナーの店に、明らかに凶暴な強盗が押し入ったことから、さらにおそろしいギャングが現れてくるという設定…。ゾンビに囲まれてサバイバルゲームをしていく以上に「怖い設定」だ。
 地元の保安官が「証人保護下プログラムにいるのか?」などと尋ねるシーンがアメリカ的。「ゴッドファーザー」などでも証人の安全を図るためにいろいろな措置が講じられていると聞くが、実際にそれが日常として生活の中にインプットされている場合には、地元保安官としては得たいの知れない事件が発生した場合には、あくまで秘密裏にそうしたことも尋ねる状況にあるのかも。
 最終的に主人公は、夜を徹して15時間かけてインディアナ州からフィラデルフィアに向かうのだが、映画の演出としてすごいのは、15時間が経過したと推測されるシーンになればなるほどヴィゴ・モーテンセンが「活き活き」していく場面。「暴力」「ペルソナ」「多重人格」「家族」「平凡な生活」といったテーマの中で、睡眠時間が減少するとともに「別の顔」が現れてくる恐怖感の演出もすごい。映画がすごいというよりも、やはり俳優たちのすべての演技が子役も含めて素晴らしい。
 デイビッド・クローネンバーグ監督については「ザ・フライ」以外はあまり怖いともなんとも思わなかったが、ひさかたぶりにみたデイビッド・クローネンバーグらしさが「あまりないホラー映画」。
ストーリー:一泊24ドル98セントのモーテルを出る男二人。一人は非常に几帳面な男らしく一泊した部屋のドアをきっちりしめて、ドアの前を片付ける。「領収」を「レジで片付けて」その二人は車を走らせる。一方、温厚な性格でしられるトム・ストールはインディアナ州ミルブルックで妻のサラ、息子のジャックや娘と暮らしている。そこへ先のモーテルを出発してきた男たちが強盗に…。トムはその強盗を撃退したが、今度はトムを「ジョーイ、ジョーイ・キューザック」と別名で呼びかける男たちが現れる…。


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