ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

稀人(清水崇監督)

2008-01-05 | Weblog
ストーリー ;カメラマンの増岡は、自宅に数台もの映像機器をもちこみ、もっぱら外で撮影した画像を再生することによって自宅の外とのコミュニケーションをとっていた。彼の願いは「恐怖を味わうこと」。あるスクープ映像で、自殺映像を撮影した増岡は、その男の視線の先に「恐怖」があると直感。さしたる目的もなく、まずその撮影現場にいってみるが‥
出演 ;塚本晋也、蜷川ゆき、宮下ともみ
コメント;撮影することによってのみ外界との接触を保つ増岡を塚本晋也が好演。この人「鉄男Ⅱ」の舞台挨拶にきたところを池袋でみたことがあるのだが、あんまりお客さんが入っていない映画館で私の2~3列まえで自らの作品がかかるのをボーっとみていた。変わった人だとは思ったのだが、ファンへのサービス精神が非常に真摯で、映画館の外でサインを求められていたが快く応じられていた。なんといっても「顔」と「目」がいいので、監督としてよりも役者として非常に魅力がある。「鉄男」のオリジナルは当時みたがそれよりも役者の怪しい淡々とした感じがいいなあ。
 さて、この映画で「恐怖とは未知のもの」と定義づける増岡がラストにみたものは当然増岡にとっては「未知」でありナレーションが本人であればこそ、ある程度最初から予測可能なラストとはなる。ただし「凡庸」と「非凡」を「恐怖」によって区分けする増岡はすでに自身やんでおり、新宿にて、薬品をゴミ箱に捨てるがそれは気分が自閉症気味だったことを暗に観客にしらせているのだろう。ロケはあからさまに新宿西口周辺に固まっており、地層のシーンは城ヶ島あたりかなあ‥といった東京・神奈川あたりで作った映像にしては非常に面白い出来。謎の女性を演じる宮下ともみも非常に頑張っているが、これはあまりにも色物だけに、今後地道な展開をどこで演じていくかがポイントかも。さて肝心の恐怖というものは観客は味わえず、おそらくは増岡本人のみが味わい、そしてそれを観客はただ呆然とみるという展開になる。粗筋は一応あるのだが、それがどういう粗筋とかいうのはあまり本質ではないのかもしれない。ホラーとエロとの奇妙な結合は新宿西口の安いアパートメントで結実する。あまりにもリアルな現実の描写と奇想天外な映像とのアンバランスが魅力か。映画終了後に語れる仲間がいたほうがよりいっそう楽しめる作品かもしれないが‥。


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