GHOST IN THE SHELL／攻殻機動隊2.0（押井守監督）

キャスト；田中敦子、大塚明夫、 山寺宏一 、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、榊原良子
評価：☆☆☆
コメント：「マトリックス」はやはりこの映画がなければ存在しなかった映画だろう。ゴーストと呼ばれる存在は、人間の脳を電子機器とつなぐことによって存在する。記憶や思い出も操作できるサイバーテロ、模擬人格、電脳医師という概念はこの作品が発表された当時は絵空事だったかもしれないが、これだけＩＣＴが発達してくると単なる未来物語と切り捨てるわけにはいかない。心と身体の二元論を究極まで追及していくと確かにこうした「甲殻機動隊」の世界になる。舞台設定は「ブレードランナー」のそれよりも複合的。日本のようでもあり中国のようでもある。川は汚れ水上バスが走り、沿岸部は中国語の看板で埋め尽くされている。さらに建設中のビルも。昭和初期のアパートも残存していれば昔の張り紙もそのままといった風景が乱開発の進んだ未来にリアリティを与える。そしてこれが究極の「意思」をもつようになれば当然「生命体としての政治的防衛」を電脳がうったえることだって当然可能だ。ラストは膨大なネット世界へ草薙少佐が旅立つのだが、当時、ここまでＩＣＴが発達するとはだれもが予想しえなかったことだろうが、この映画はその先の先まで読んでいたのだ…。
ストーリー：「人形遣い」とよばれるサイバーテロが続く中、警視庁は捜査に乗り出すが、プロジェクト２５０１のバグ以外に外務省が奇妙な動きを見せる。そして９課は外務省から直接圧力を受けることに…。