健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

ニンニクの薬用効果

2015-08-23 08:30:37 | 研究
ニンニクの薬理効果や健康機能作用の本体である含硫黄化合物アリインの生産の鍵となる酵素遺伝子が発見されたそうです(財経新聞)。ニンニクは食用として広く用いられるだけでなく、癌予防に最も有効な食品であると位置づけられているそうです。その薬効や健康機能性は、ニンニクの含硫黄成分「アリイン」に起因しているそうですが、アリインの生合成に関わる酵素や生合成経路の詳細は不明だったそうです。研究では、アブラナ科植物で含硫黄成分の硫黄原子の酸化反応を触媒することが報告されている酵素群の遺伝子配列情報と、ニンニクが属するネギ属植物の公開遺伝子配列情報との比較解析に基づき、ニンニクから硫黄原子酸化酵素の候補遺伝子としてAsFMO1を単離。そして、AsFMO1遺伝子の機能を明らかにするために、出芽酵母にこの遺伝子を導入して発現させ、解析を行ったそうです。その結果、AsFMO1蛋白質はアリイン生合成の中間体と考えられるスルフィド化合物であるS-アリルシステインの硫黄原子を酸化してアリインを合成すること、AsFMO1 蛋白質によってS-アリルシステインから合成されたアリインは、立体異性体のうち1種類のみ生じることが分かったというもの。さらに、ニンニク内におけるAsFMO1遺伝子の発現部位やアリインの貯蔵部位を解析した結果、AsFMO1はニンニクの様々な組織で発現してアリイン生合成に関わる重要な酵素遺伝子であることが判明したそうです。今後は、AsFMO1遺伝子の機能を応用することにより、植物や微生物を用いた有用含硫黄化合物の生物生産系の開発や、新規の薬効を示す含硫黄化合物の創薬、さらに薬用性が高いニンニクやその他のネギ属植物の効率的な育種が可能になると期待されているそうです。
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