女性を中心にダイエットブームが、中高年男性にも飛び火し、ダイエット食品が売れに売れています。そんな中で「運動能力を高めて脂肪を燃やし、効率的にやせる」と話題となっているのが「カルニチン」です。
カルニチンはアミノ酸の一種で、人の体内に常にあるものです。ビタミンCの助けをかりて、リジンとメチオニンの両アミノ酸からつくられます。食事から必ずとらなければならない必須アミノ酸ではありません。しかし、カルニチンはすべての筋肉にエネルギーを供給する大役を担っています。
カルニチンはおもに肝臓や腎臓でつくられ、筋肉を動かす骨格筋や、血液を全身に送るために働きつづける心臓の筋肉に移動します。どちらもエネルギーを大量に消費する箇所です。カルニチン不足は、肝臓のはたらきが弱ったり、腎臓透析を受けている患者、食欲不振のせいで筋肉が弱っている人にしばしば見られます。
通常、アミノ酸といえばタンパク質を構成する要素ですが、カルニチンはタンパク質の構成要素にはなっていませんし、伝達物質でもありません。
カルニチンの役割は、細胞によるエネルギー生産の効率を高めることです。細胞内にあるミトコンドリアに、燃料となる脂肪酸を運んでくることです。 この脂肪酸がミトコンドリア内で酸素によって燃焼され、大量のアデノシン三リン酸がつくられます。そのため、カルニチンは脂肪燃焼に欠かせない栄養素です。この働きぶりが、いかにもダイエットに効きそうなため、カルニチン神話の元になっています。
カルニチンが脂肪酸の燃焼サイクルの一部を担っていることから、「脂肪を減らす」「エネルギー生産に関与して運動能力が向上する」といった仮説が提唱されています。
しかし、カルニチンの効果の検証がされていなかったため、ダイエット効果があるという仮説が生まれたと思われます。カルニチンのダイエット効果について、オーストラリアのメルボルン研究所のビリアニ博士が、検証を行っています。
その結果によるとカルニチンの「ダイエット効果」がないことがわかりました。つまり、体重を減らすために「カルニチン」をサプリメントからとる必要がないということです。