時空人 goo blog「脳トレ宇宙論ー人類の見果てぬ夢」

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休題閑話 脳トレ トポロジーパズル 1/2

2020-06-18 16:46:51 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第0話 トポロジーパズル 問題編

  

頭の体操 パズルを作って楽しもう!

このパズルは至極簡単に作れる(見れば分かる)、しかし解くのは かなり難しいかも。

①材料 ボール紙(目安は約10cm×5cm 前後だが全く任意の大きさ)

    細い紐(タコ糸など)長さ約70cm~80cm が扱いやすい

    玉ビーズ(中心に穴が貫通しているもの)または鈴のようなもの

②作り方 図参照

両端の穴の裏面で紐をそれぞれ固定する(糊か粘着テープを使って固定)、中央の穴を通して紐を図のように絡むように結ぶ。玉や鈴は穴が小さいので通らない。

③問題 白玉を右から左に移せるか?

右の紐にある白玉を、紐自身の部分を穴を通して緩めたり、縮めたり、ずらしたり(トポロジー変形)して、左の紐の部分に移せるか? あるいは左の鈴を右に移動できるか? つまり白玉と鈴が2個一か所に集まる。

(続きは後編)

 蛇足1

頭の中での考察だけで判れば天才

1日24時間で解れば相当な秀才 ただし例外が有って数分で解いた人も!

解法を読んで分かれば数学仮免許

その他は適当に楽しむべし 無理は禁物

 

(上図は同じパズルを変形したもの)

 蛇足2

このパズルは元祖である「アフリカンボール」の変形である。 そして 数学の分野(位相幾何学・トポロジー)に分類される。

日本では「知恵の糸」とか五円玉パズル」と言われたという。ではいつごろ,誰が考案したのだろうか.江戸時代後期の天保(1830~1844)の頃に「知恵の糸」という,ひもの知恵の輪が親しまれていた.その中に「忍びの知恵越し」という名前で,ひもを通した2つの輪に,お染と久松の人形をつけたものがある.

これはアフリカンボールと原理が同じで,恋物語に変身しているのは日本的である.秋山久義氏の『知恵の輪読本』の第2章には,「代表的な知恵の輪・名作ベストテン」があり,五円玉パズルは「アフリカンボール」という名前で第2位にランクされている。このパズルは世界各国でいろいろな呼び方で,いろいろなバリエーションで楽しまれていることが紹介されている.

歴史上の記録によると、パチリオの『De Viribus』(1500年頃)には,この類のパズルの記述があり,「ソロモンの封印」の名で知られているとある。

トポロジーの歴史はオイラー(1707~1783)に始まるが,トポロジーより先にトポロジー的なパズルが存在したことは興味深い。.

欧米では1700年~1900年のさまざまな文献に記述があり,このパズルは多くの人に親しまれたようである.ただし,「アフリカンボール」の名称は登場していない.アフリカ先住民が荷運びに使うてんびん棒に似ているという説や,不幸な時代の黒人奴隷の逃亡や反抗を抑制するための首かせ,手かせの形に由来するという説がある.黒人の人形を本体にした金属製のパズル(The Jolly Nigger Puzzle)が大量に出回った時期があり,「アフリカンボール」の名前が広まったのではと秋山氏は推論する.

 


脳トレ宇宙論 波動と媒質

2020-06-17 16:53:18 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第26話 波動と媒質 (第11話の再考)

1.アインシュタインの一般相対性理論(1915-1916年)が発表される 100 年以上も昔から、光が重力によって曲がるという理論は存在していた。

2.光の粒子説

光の本質は粒子であると仮定すると説明が容易な多数の実験の存在を根拠にした仮説である。ニュートンの著書『プリンキピア』及び『光学』の中で17世紀頃に提唱した仮説で、光の持ついくつかの性質は、光が粒子であるとするとうまく説明できることから、光の本質は粒子であるとするものであり、少し前に提唱された、ホイヘンスによる光の波動説と対立するものであった。

ニュートンは、光学の研究でプリズムに太陽光を当てると虹のような光の色の帯が現れる現象から、光の色によって屈折率が異なることを発見。そして分散された光を再合成して白色光に戻すことに成功し、白色光(太陽光)は屈折性の異なる、さまざまな色の射線が重なり合ったものだと実証した。また光はまっすぐ進み、鏡などで反射し、物に当たるとはっきりした影ができることから、ニュートンは「光の粒子説」も主張した。しかし、光が障害物の背後まで回り込む回折現象や、光が重なると強め合ったり弱め合ったりする干渉現象がうまく説明できなかった。

 (19世紀に入ると様々な実験結果より、光は波動であるとする説が有力になり、粒子説はほとんど顧みられないようになった。しかし、1887年にヘルツが波動説では説明の付かない光電効果を発見した事に加え、20世紀に入ると、1900年のプランクによるエネルギー量子仮説を用いた黒体輻射の説明や、1905年のアインシュタインによる「光量子仮説」による光電効果の説明及び1923年のコンプトンによるコンプトン散乱の説明など、粒子説の復活とも言えるような、「粒子的」な性質が次々と示された。最終的に光子(光量子)、更には「量子」という名で呼ばれることになった多くの粒子や波動は、粒子と波動の二重性を持つものである、と言う結論が量子力学によりもたらされた。 )

3.光速30km/sの粒子として計算

例えば、地表から水平に打ち出された物体は、①重力に引かれて地表に落下する 。② 射出速度を上げても第一宇宙速度未満ならいつかは地表に落下する 。③ 第一宇宙速度で打ち出された場合は人工衛星となる 。④ それ以上の速度では楕円を描く 、⑤ 第二宇宙速度以上の場合は地球の重力を振り切る 。ただし大気の抵抗による影響は無視。

 

これと似たような計算をすると太陽をかすめる光の曲がり具合(屈折角)が計算できる。

4.計算結果

ニュートン力学による計算と一般相対論による計算とでは曲がり具合の数値に丁度 2 倍の差が出る。相対論では、より大きく2倍曲がるという予想であった。

5.これについて、歴史上初めての確認は、1919 年、エディントン卿の観測隊により、日食時に行われた。 観測結果は相対論の正しさを示した。

(参考)

1.粒子と波動の二重性(Wave–particle duality)

光や電波の物理現象が、粒子のような性質と波のような性質を併せ持つことをいう。 
起源は、クリスティアーン・ホイヘンスとアイザック・ニュートンにより光の本質についての対立した理論(光の粒子説と光の波動説)が提出された1600年代に遡る。その後19世紀後半以降、アルベルト・アインシュタインやルイ・ド・ブロイらをはじめとする多くの研究によって、光や電子をはじめ、そういった現象を見せる全てのものは、粒子のような性質と波動のような性質を併せ持つと結論付けられた。この現象は、素粒子だけではなく、原子や分子といった複合粒子でも見られる。実際にはマクロサイズの粒子も波動性を持つが、干渉のような波動性に基づく現象を観測するのは、相当する波長の短さのために困難である。 

2.屈折( refraction)

波(波動)が異なる媒質を通ることによって進行方向を変えることである。異なる媒質を通るときに、波の周波数が変わらずに進む速度が変わるため進行方向が変わる(エネルギー保存の法則や運動量保存の法則による)。


光の屈折がもっとも身近な例であるが、例えば音波や水の波動も屈折する。波が進行方向を変える度合いとしてはホイヘンスの原理を使ったスネルの法則が成り立つ。部分的に反射する振る舞いはフレネルの式で表される。なぜ光が屈折するかについては、量子力学的にファインマンの経路積分によって説明される。 

3.音波

真空中では伝播せず、必ず気体・液体・固体のいずれかの媒質を介する必要がある。

気体・液体中での音波は、媒質にずれ弾性が存在しないため疎密波として伝播する縦波である。固体中では疎密波のほかに横波であるせん断波(ねじれ波)も生じる。

音波の速度である音速は媒質の密度と圧力によって変化するため、空中での音速であるマッハ速度も、主に高度の違いや温度、湿度などの気象条件によって大きく変化する。

音の屈折は 光と異なり,音の場合には屈折率という物理量は定義されていない。したがって,音速の逆数が屈折率と同じ意味を持つことを,十分に理解させる必要がある。逆に光では,屈折率の逆数がその媒質中の光速に比例している。
【空中の異常伝搬】 高校物理では,音の屈折は夜間と昼間とで音の伝わり方が異なる原因として扱われていることが多い。これは,高度によって音速が連続的に変化する場合の例である。特に冬の夜間は,上空に向かった音は屈折して下方に曲がり込み,地表で反射して再び上空に向かう。つまり,屈折と反射にはさまれた音のチャンネル(導波路)ができるので,非常に遠くまで届くのである。逆に昼間の砂漠では地表付近の空気が高温になるので,音は上空に向かって消えるため,声が遠くに届きにくい。

4.電波

電波は電離媒質(電離層)の中で屈折現象を示す

プラズマ中は屈折率が変化し、電波は屈折、反射、吸収される。。臨界周波数(電子プラズマ周波数)以下の電磁波はプラズマ中を通過できず、反射したり屈折する。磁場の影響でさらに複雑になる。

プラズマ振動( plasma oscillation)は、プラズマ中に生ずる電荷密度の波動である。ラングミュア波 (Langmuir wave)、プラズマ波 (plasma wave) とも呼ばれる。1928年にアーヴィング・ラングミュアによって発見され、その機構が解明された。 
プラズマ振動数はプラズマに固有の振動数であり、空間スケールを定めるデバイ長と並んで現象の時間スケールを定めるもっとも基本的なパラメータの一つである。 

電離圏研究の歴史  電波(地球電磁気)と電離圏研究の歴史

1600:  ギルバート「磁石論」の出版 (地球は1つの巨大な磁石である)  

18世紀: 地磁気の変動が知られるようになる

1839:  C. F. Gauss -- 電気伝導度の高い層に言及

1860ごろ:  J. C. Maxwell -- 電磁波の存在を予言

1860:  Lord Kelvin (W. Thomson) -- 高電気伝導層が大気上層にある?

1878:  B. Stewart --  高層大気中を流れる電流を予言

1887:  H. Hertz   -- 電磁波の存在を実験的に証明

1890年代:  A. S. Popov -- 電磁波による近距離通信に成功

1900:  J. J. Thomson -- 電子の発見

1901:  G. Marconi -- 大西洋横断通信に成功 (1909: Marconi, Braun ノーベル物理学賞受賞) 

1902:  A. E. Kennelly, O. Heaviside ? 高層大気中に自由電子があるのではないか?電離層の仮説発表(かつて、電離圏(電離層)はKennely-Heaviside layerと呼ばれていたこともある)  

1903:  J. E. Tayler, 1906:  J. A. Fleming -- 太陽UV放射が高層大気中の自由電子を作る

1925:  E. V. Appleton  電離層の存在を実験的に証明、電波技術の電離圏観測への応用

 

 


脳トレ宇宙論 第25話 マイスターズ(自分の星)

2020-06-14 10:45:36 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第25話

①空の星に自分だけの名を(2020年5月4日 本田大次郎WEB記事抜粋

夜空に輝く星に、自分だけの名前をつけよう。こんな取り組みを25年前に始めた北海道初山別村のしょさんべつ天文台がある。名付けて「マイスターズ(自分の星)システム」。

 北海道北部の日本海に突き出た小さな岬の先端にある。望遠鏡の口径は65センチ。しょさんべつ天文台の望遠鏡で見ることができる星の数は、約1億個。そのうち正式な名前がついているのは5等級以上の数千個という。残りは認識番号が付いているだけ。希望者が星につけたい名前と好きな星座を天文台に伝えると、天文台が星座表にある星の中から選び、命名する。星の名前は学術的に認められるわけでなく、名前は村内でしか「公認」されないが、登録された星の数が、まもなく1万個に達する。満天の星に、1万もの物語がちりばめられている。(以上)

②星表

星表(star catalogue )は恒星目録(一覧表)ともいい、恒星の位置や等級、スペクトル型、視差などのた値や特性を記載した天体カタログである。現代の天文学では、恒星はいずれかの星表の番号で表される。長年にわたって様々な目的のために多くの星表が編纂されている。天体観測や天文学研究に不可欠なデータブックである。星図は星表のデータを元に作成される。恒星以外の星雲や銀河などの天体の一覧表も、まとめて星表と呼ばれることがある。現在使われている星表のほとんどは電子フォーマットで入手可能で、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の Astronomical Data Center などからダウンロードできる。 ここでは5つほど星表を紹介する。 

1.理科年表 
 理科年表は毎年改訂して出版される日本の代表的な理科のデータブックです。この中には明るい星の一覧表が掲載されていますが、これも星表の一つと言えます。3.0等星よりも明るい恒星約140個について、位置や明るさ、スペクトル型、距離、恒星の動きなどが記されています。(丸善刊) 


 

2.天文年鑑 
 天文年鑑は毎年出版される天文に関するデータブックです。3.3等星よりも明るい恒星、約230個の表が掲載されています。(誠文堂新光社刊) 


 

3.天文観測年表 
 天文観測年表も毎年出版される天文に関するデータブックです。5.05等星よりも明るい恒星、1,730個の一覧表が掲載されています。(地人書館刊) 


 
4.he Hipparcos and Tycho Catalogues(ヒッパルコス・チホ星表) 
 ヒッパルコス星表は、星の位置と明るさに関する精密な星表です。天文観測衛星「ヒッパルコス」によって得られたデータを使い、約12万個の恒星を記載しています(本表全5巻、約2,400ページ)。チホ星表はヒッパルコス星表よりも精度は落ちますが、11~12等星までの100万個以上の恒星を記載し、デジタル版(CD-ROM)で提供されています。写真は解説編や星図(Millennium Star Atlas)を含む全17巻のもので、チホ星表(CD-ROM)は、17巻に入っています。(1997年、European Space Agency(ヨーロッパ宇宙機関)刊) 

5.光世紀星表     日本のSF作家で工学博士の石原藤夫が編集した、太陽系を中心とする直径100光年(1光世紀)以内にある恒星の表。


アインシュタインの宇宙②

2020-06-13 10:34:57 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第24話 アインシュタインの宇宙② 一般相対性理論

(Wikipediaより抜粋、ほか)

一般相対性理論(general relativity)は、アインシュタインが1905年の特殊相対性理論に続いて1915年から1916年にかけて発表した物理学の理論。

一般相対性原理と一般共変性原理および等価原理を理論的な柱とし、リーマン幾何学を数学的土台として構築された古典論的な重力場の理論であり、古典物理学の金字塔である.

数学を用いて自然現象を表し、解釈してゆくのが物理学であり、その中で提唱された理論が実験や観測に先行して、自然現象を予想したり説明しようとする。そしてそれらの多くの理論が後に観測や実験で淘汰され、いくつもの検証をパスした理論が生き残っていく。それが物理の歴史であり、相対性理論の進展も同様である。

そして、具体的に次の項目が観測実証され一般相対性理論が正しいことが確かめられている。

 

アインシュタインの一般相対性理論は、それまで誰もが絶対的なものだと思っていた時間と空間が伸びたり縮んだりする、という信じられないような考え方を提案した。発表された4年後の1919年 5月29日の皆既日食で,重力場中では光が曲がって進むことをアーサー・エディントンが観測で確認した。すなわち相対論による計算では、太陽の近傍を通る星の光の曲がり方がニュートン力学で予想されるものの2倍であることを示し、それを観測で確かめた。つまり本当に時空が歪むことが分かった。そして100年の間、いくつもの検証をパスしてきた。これまでにも数多くの重力理論が提案されたが、その中でも最もシンプルな相対性理論だけが生き残った。

 

 ニュートン力学だけでは、水星軌道のずれ(近日点移動の大きさ) の観測値の説明が不完全だったが、一般相対性理論が解決を与え、太陽の質量による 時空連続体の歪みに原因があることを示した。

 

 

重力波とは時空の歪み(重力場)の変動が伝播する現象であり、線型近似が有効な弱い重力波 の伝播速度は光速である。

全米科学財団と国際研究チームは2016年2月、アメリカの重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)を用いて、2つのブラックホールの合体によって発せられた重力波の検出に成功したと発表した。重力波の存在は100年前にアインシュタインによって予言され、これまで間接的な証拠は見つかっていたが、重力波が直接検出されたのは今回が初めてである.

この成果は、重力波を使ってこれまで見ることのできなかった宇宙を調べることが可能になったという点で、天文学における記念碑的業績である。

(ライゴ:「レーザー干渉計重力波観測所] Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)

 一般相対性理論の帰結として、時空は膨張または収縮し、定常に留まることがないこと、そしていわゆるビッグバン宇宙が導かれる。

米国の天文学者エドウィン・ハッブルは様々な銀河までの距離とその銀河のスペクトルを調べ、ほとんど全ての銀河のスペクトルに赤方偏移が見られること、赤方偏移の量は遠方の銀河ほど大きいことを経験を生かして発見した(ハッブルの法則)。この事象は、銀河を出た光が地球に届くまでの間に空間自体が伸びて波長が引き伸ばされるためであると解釈でき、宇宙が膨張していることを示すと考えられている。2016年現在、観測されている最も z が大きい(すなわち最も遠方にあると考えられる)天体は z = 11.09 の銀河 GN-z11 である。 

遠方の銀河がハッブル=ルメートルの法則に従って遠ざかっているという観測事実を一般相対性理論を適用して解釈すれば、宇宙が膨張しているという結論が得られる。宇宙膨張を過去へと外挿すれば、宇宙の初期には全ての物質とエネルギーが一カ所に集まる高温度・高密度状態にあったことになる。

ビッグバン( Big Bang)とは、宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする膨張宇宙論(ビッグバン理論 (Big bang theory))における、宇宙開始時の爆発的膨張。インフレーション理論によれば、時空の指数関数的急膨張(インフレーション)後に相転移により生まれた超高温高密度のエネルギーの塊がビッグバン膨張の開始になる。その時刻は今から138.2億年(13.82 × 109年)前と計算されている。

 

  限られた空間に大きな質量が集中すると、光さえ脱出できないブラックホ ールが形成される。

国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)がブラックホールシャドウを撮影することに世界で初めて成功した。画像上の明るいリングのようなものがブラックホールの強い重力場に影響を受けて渦巻いているガスで、その中の暗い部分がブラックホールである。これはおとめ座にある楕円銀河「M87」の中心にある。今回の観測は2017年4月に行われ、波長1.3mm(ミリ波230GHz、VLBI:超長基線電波干渉法)の電波で観測された。2019年4月発表

アインシュタイン方程式から得られる時空は、ブラックホールの存在や膨張宇宙モデルなど、アインシュタイン自身さえそれらの解釈を拒むほどの驚くべき描像である。

しかし注意点として、ブラックホールや初期宇宙の特異点の存在も理論として内包しており、特異点の発生は一般相対性理論そのものを破綻させてしまう可能性もある。将来的には量子重力理論が完成することにより、この困難は解決されるものと期待されている。 

 重力赤方偏移(gravitational redshift)とは、重力場中の光の波長が長くなる現象である。一般相対性理論において、時間の流れがどれくらい変化するかは、計量という式によって表わされる。光の波長λ、振動数νと光速度cとの間には、λν = c の関係がある。光の振動数は単位時間当たりの振動の回数であるから、時間の進み方が遅くなると遠方の観測者からは、振動数は小さく、波長は長く観測される。1984年、宇宙科学研究所(ISAS)のX線観測衛星 てんま が、中性子星の強い重力による重力赤方偏移を世界で初めて捉えたと報じた。

もう一つの代表的な例として、宇宙背景放射での現象が挙げられる。現在の宇宙では、絶対温度約 3K の黒体放射に相当する放射があらゆる方向からやってきており、宇宙背景放射と呼ばれている。これは、宇宙創成期に宇宙を満たしていた高温状態のプラズマから発せられた熱放射が、ビッグバン後の急激な宇宙の膨張によって波長が引き伸ばされて極端な赤方偏移を受け、現在観測されるような電磁波(特に、マイクロ波)として観測されているものである。これは現在知られている最大の赤方偏移であり、 z = 1089 (距離換算で約138.12億光年)である。 

  (時はあなたが刻む)

 

 

強い重力場中で測る時間の進み(固有時間)が、弱い重力場中で測る時間の進みより遅いことを示す実験。。

地上450mの東京スカイツリー展望台と地上の標高差を利用して、一般相対性理論による時の流れの違いを検証することに成功した(東京大学と理化学研究所は4月7日、研究結果を発表)。

今回の実験では、東京スカイツリーの展望台と地上に2台の光格子時計を設置。24時間測り、それぞれの光格子時計の振り子の振動数を比較すると、展望台に設置した時計の方が4ナノ秒早く進んでいた。

検証精度は、原子時計を搭載した高度1万km上空の人工衛星を用いた実験に迫る。島津製作所と共同で開発した高精度の「光格子時計」が、この検証を可能にしたという。

東大の香取教授は「現在の有効数字18桁の精度なら1cmの精度で高さを測れる。今は19桁の精度を目指しており、数年後にはミリメートルの高低差が測れるようになると思う」と話す。