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アインシュタインの宇宙①

2020-06-09 12:41:09 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第23話 アインシュタインの宇宙① 特殊相対性理論

(出典 Wikipedia 記事引用)

・特殊相対性理論(Special relativity)とは、慣性運動する観測者が電磁気学的現象および力学的現象をどのように観測するかを記述する物理学の理論、つまり重力のない状態での慣性系を取り扱った理論。 アインシュタインが1905年に発表した論に端を発する。


・特殊相対性理論に至るまでの背景


ニュートンは力学を記述するに当たり、いわゆる「絶対時間と絶対空間」を仮定した(ニュートン力学『プリンキピア』より)。 
つまり時間と空間はそこにある物体の存在や運動に何ら影響を受けないと仮定した。これは我々が抱いている時間や空間に対する漠然とした感覚を明確化したものであった。

 

ニュートン力学の一つの帰結として、すべての慣性座標系が本質的に等価であり、変換(ガリレイ変換)によって結ばれる事が示される。つまり静止または等速度運動をしている慣性座標系は、ニュートンの運動の法則が成り立ち、これらの座標系は互いに等速度の相対運動をしており、ガリレイ変換で関係づけられる。

ニュートン力学では、すべての慣性座標系は本質的に等価なので、空間に対して「絶対的に静止している座標系」といった概念は意味をなさず、あくまで「慣性系Aが慣性系Bに対して相対的に静止している」という概念のみが意味を持つ。このことから、力学の法則はすべての慣性座標系で同一であることが結論付けられ、この事実を ガリレイの相対性原理(Galilean invariance)と呼ぶ。 

電磁気学や光学との齟齬
一方、19世紀後半になると、当時知られていた電磁気学に関する基礎方程式がマクスウェル方程式として整備された。 
そしてマクスウェル方程式を解くことにより、電磁波の速度を計算したところ、これが光の速度 c と一致したため、光の正体は電磁波であると考えられるようになった(そしてそれは正しかった)。 

光学の学問分野でも光の回折を説明するため、光を波だとみなす波動説が広まり、光を伝えるための媒質であるエーテルで宇宙が満たされているという仮説がホイヘンスにより提案された(これは後に特殊相対性理論により否定される)。 

こうした知見から、マクスウェル方程式はエーテルに対して静止している理想的な座標系において電磁気学を記述する方程式とみなされたが、エーテルに対して運動する基準系から見た電磁気現象についての理解は未だ不充分であった。 

今日の目から見ると、これは電磁気学とニュートン力学の間に明確な齟齬があった事に起因する。 

まず、マクスウェル方程式はガリレイ変換の下で不変ではない。すなわち、ある慣性系でマクスウェル方程式が成り立つものとすると、そこからガリレイ変換で移った別の基準系ではマクスウェル方程式は成り立たず、別の変形された方程式が成り立つことになる。実際、ヘルツはこの変形された方程式を運動座標系における電磁場の振る舞いを表す方程式として提案したが、Wilson や Rontgen-Eichenwald の実験によって否定された。 

またエーテルの存在を仮定することは、エーテルに対して静止している「絶対静止系」が存在する事を意味するが、前述のようにニュートン力学におけるガリレイの相対性原理は「絶対静止系」を認めておらず、これは「静止座標系」を認めずガリレイの相対性原理を前提とするニュートン力学の描像とは明確な齟齬をきたしていた。 

両者の齟齬が特に先鋭化したのは、光の速度に関する解釈である。ガリレイの相対性原理を前提とした場合、光の速度は慣性系に依存するはずであるので、光の速度を異なる慣性系で計測すれば、マクスウェル方程式が成立するただ一つの「静止基準系」を見つけることができるはずである。この発想からマイケルソン・モーリーの実験Michelson-Morley experimenが行われたが、後述のようにどれもが「静止基準系」であるかのような結果が得られてしまった。 

以上のように、特殊相対性理論以前の物理学はガリレイの相対性原理を認める立場と絶対静止系を認める立場が混然としていたが、両者には上述したような矛盾があるので、どちらかを修正もしくは放棄する必要がある。特殊相対性理論以前の理論であるエーテル仮説は、「エーテルに対する静止系」という絶対静止系を採用する代わりにガリレイの相対性原理を放棄する立場にたっていた。 

マイケルソン・モーリーの実験(Michelson-Morley experiment)
しかしながらその後、エーテル仮説に対する重大な反証が得られた。エーテル仮説が正しいとすれば、地球はその公転によりエーテルに対して動いているので、地球上では公転方向に「エーテルの風」が感じられ、その影響により公転方向とそれ以外では光の速度が異なるはずであるが、実験によりそのような速度差は生じず、エーテルの風の風速はほぼ0であることが結論付けられたのである。 

これをうけてヘルツ、フィッツジェラルド、ローレンツ、ポアンカレなどはいくつかの理論を提唱したが、いずれもエーテル仮説の域を出ず、既存のエーテル仮説に特別な仮定を加えることで整合性を保とうとする内容だった。 

例えばローレンツのエーテル理論では運動する物体が「エーテルの風」を受けて収縮する(フィッツジェラルド-ローレンツ収縮をフィッツジェラルドと独立に提案し、これが原因で、マイケルソン・モーリーの実験の実験では「エーテルの風」の効果がキャンセルされたのだと説明し、収縮度合いを記述した変換式(ローレンツ変換、Lorentz transformation)を定式化したが、検証可能性を欠いていた。またローレンツとポアンカレは時間の流れが観測者によって異なるとするとする「局所時間」という相対性理論の萌芽ともいうべき考えを提案し、Wilson や Rontgen-Eichenwald の実験に合致する電磁場の方程式を導出した。 

とは言っても、彼らはアインシュタインの重要な先駆者であり、彼らの理論は数式上は相対性理論のそれと一致している。しかし彼らの理論はあくまでエーテル仮説に基づいており、エーテル仮説の立場をとらない相対性理論とはその物理的解釈が根本的に異なり、下記のような未解決課題が存在した。 
①運動する物体が実際に縮む
②局所時間の物理的解釈ができない

さて以上述べたローレンツやポアンカレ等の成果とはほぼ独立にアインシュタインは自身の論文において特殊相対性理論を提出した。この特殊相対性理論では、指導原理としてエーテルの存在を仮定せず、次の二つを採用した。

①光速度不変:真空中の光の速度はどの慣性座標系でも同一である。

②相対性原理:全ての慣性座標系は等価である。

 

はマイケルソン・モーリーの実験の結果から帰結される。実際、この実験の結果によれば、地球から見た光速度は季節によらず同一であった。

というのはニュートン力学によれば地球の運動方向や速度は季節によって異なる筈だが、この実験の結果は、光速度が系の運動方向や速度によらないことを意味し、どの慣性系からみても光速度が不変である事を示している。 

②全ての慣性座標系が等価であることは仮定するが、慣性座標系の間の変換則がガリレイ変換であるとは仮定しない。 

この相対性原理は、光速度不変からも示唆される。つまり光速度は、どの慣性座標系でも同一であるから、絶対静止座標系のような「特別な」座標系は存在せず、全ての慣性座標系は等価であると言える。 

そもそもエーテル仮説は、エーテルによる「絶対静止座標系」が存在するという仮定を採用し、全ての慣性系は等価であるというガリレイの相対性原理を捨て去ったものであった。 

それに対し特殊相対性理論では、「絶対静止座標」とその基盤であるエーテル仮定とを放棄して、かつガリレイ変換による相対性原理ではなくローレンツ変換による相対性原理を導いた。 

なお、相対性理論はそれまでのニュートン力学(非相対論)と次の意味で両立していなければならない。慣性座標系間の変換則は非相対論的極限 v/c → 0 においてガリレイ変換に漸近する。ここで v は2つの慣性座標系間の速度で、c は真空中の光速度である。

以下続編