脳トレ宇宙論 第27話
アインシュタインの相対性理論を勉強する
アインシュタインは、それまで誰もが絶対的なものだと思っていた時間と空間が、伸びたり縮んだりする、という信じられないような考え方「相対性理論」の論文を発表した。
そして発表された4年後の皆既日食で光の進み方が太陽によって曲がることが確認され、本当に時空が歪むことが分かった。
その後現在まで100年の間、理論の訂正もほとんどなく、いくつもの検証をパスしてきた。これまでにも数多くの重力理論が提案されてきたが、その中でも最もシンプルな相対性理論だけが生き残った。
一般相対性理論は特殊相対性理論に比べて格段に難しいと言われている。新しい理論が一般人にとって理解されにくいというとき、その理由は専門性や数学的な道具立ての難しさばかりではなく、新概念の変革性にあることにも由来する。
実際、相対性理論は物理的内容からいっても,更にそこで使われる数学からいってもかなり複雑なものである。そしていわゆる”相対論効果”なるものが、常識が通用しないため,理解や勉強に手間取るのが実際である。
一般相対性理論が示されて以来,100数年を経過しており, この聞に数え切れぬ多くの参考書、解説書,記事、更に最近の宇宙への関心の広がりのためにSF的なものを含めて数多く存在する。
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註 特殊相対性理論では外力の働かない場合,すなわち,慣性系のみが取り扱わ札また,重力の問題も含まれていない.
一般相対論では、(1)物理法則は慣性系のみでなく,いかなる座標系に対しでも同じ形式をもっという一般相対性の原理,(2)重力と加速度による見掛けの力とは,すべての物理現象に対して同じ効果であるという等価原理を基本としている。
等価原理によって,例えば自由落下するエレベータ内で見られるように,ある物体の近傍での重力は局所的に打ち消すことができるので,その物体の従うべき物理法則は特殊相対論により知ることができ,これに一般相対性原理と、より一般的な座標変換をすると重力場にある場合の物理法則が得られる。
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さて相対論を教科書通りに読んで理解するには非常に多くの参照、関連事項が多いので大抵は挫折してしまうのがオチである。そこで別の方法で同じ結果を引き出せないか、
話は変わるが、電磁気学のマクスウェルの方程式は、初めすごく複雑な形で発表された。それを「彼の論文で言いたいのは結局こういう事なのだ」と現在のような(分かりやすい ?)4 つの方程式系にまとめたのはヘルツである。
この4 つの方程式の内容は(順不同)
- 電場は電荷があるところから湧いて出てくる
- 磁場がどこかから湧き出ることはない
- 磁場が時間変化すると電場は回転を持つ
- 電場の時間変化と変位電流によって磁場は回転を持つ
つまり
- ガウスの法則
- 磁荷非存在の法則
- ファラデーの電磁誘導の法則
- アンペールの法則
をベクトル解析の式:勾配と発散と回転 および偏微分の知識を前提としている。
これと同様にアインシュタインの式も
偏微分方程式、テンソル代数、共変性と反変性、ミンコフスキー空間、リーマン幾何、計量、曲率、世界線、測地線、などの知識を前提とする。
これに対して、相対論の発展の暦史的過程における物理的、数学的な要請からのアイデアを追って理解する方法が考えられる。具体的には、ニュートン力学の修正や補正のニュートン近似(ポスト・ニュートン近似)、それに関連する数学展開や手法などを用いて説明、解釈する仕方である。そして我々の科学的視野を広げ、かつ深めるという利点があると思われる。
しかる後に電磁気学のマクスウェル方程式のような洗練され、完成された式を誘導し理解する勉強法も有効であろう。
(参考)
小林啓祐、図で読み解く特殊および一般相対性理論の物理的意味、2017.12、日本評論社)
内井 惣七、アインシュタインの思考をたどる-時空の哲学入門、ミネルヴァ書房、2004年
中村 士、岡村 定矩 、宇宙観5000年史ー人類は宇宙をどうみてきたか、、2011年12月、288頁