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脳トレ宇宙論 波動と媒質

2020-06-17 16:53:18 | 脳トレ宇宙論

脳トレ宇宙論 第26話 波動と媒質 (第11話の再考)

1.アインシュタインの一般相対性理論(1915-1916年)が発表される 100 年以上も昔から、光が重力によって曲がるという理論は存在していた。

2.光の粒子説

光の本質は粒子であると仮定すると説明が容易な多数の実験の存在を根拠にした仮説である。ニュートンの著書『プリンキピア』及び『光学』の中で17世紀頃に提唱した仮説で、光の持ついくつかの性質は、光が粒子であるとするとうまく説明できることから、光の本質は粒子であるとするものであり、少し前に提唱された、ホイヘンスによる光の波動説と対立するものであった。

ニュートンは、光学の研究でプリズムに太陽光を当てると虹のような光の色の帯が現れる現象から、光の色によって屈折率が異なることを発見。そして分散された光を再合成して白色光に戻すことに成功し、白色光(太陽光)は屈折性の異なる、さまざまな色の射線が重なり合ったものだと実証した。また光はまっすぐ進み、鏡などで反射し、物に当たるとはっきりした影ができることから、ニュートンは「光の粒子説」も主張した。しかし、光が障害物の背後まで回り込む回折現象や、光が重なると強め合ったり弱め合ったりする干渉現象がうまく説明できなかった。

 (19世紀に入ると様々な実験結果より、光は波動であるとする説が有力になり、粒子説はほとんど顧みられないようになった。しかし、1887年にヘルツが波動説では説明の付かない光電効果を発見した事に加え、20世紀に入ると、1900年のプランクによるエネルギー量子仮説を用いた黒体輻射の説明や、1905年のアインシュタインによる「光量子仮説」による光電効果の説明及び1923年のコンプトンによるコンプトン散乱の説明など、粒子説の復活とも言えるような、「粒子的」な性質が次々と示された。最終的に光子(光量子)、更には「量子」という名で呼ばれることになった多くの粒子や波動は、粒子と波動の二重性を持つものである、と言う結論が量子力学によりもたらされた。 )

3.光速30km/sの粒子として計算

例えば、地表から水平に打ち出された物体は、①重力に引かれて地表に落下する 。② 射出速度を上げても第一宇宙速度未満ならいつかは地表に落下する 。③ 第一宇宙速度で打ち出された場合は人工衛星となる 。④ それ以上の速度では楕円を描く 、⑤ 第二宇宙速度以上の場合は地球の重力を振り切る 。ただし大気の抵抗による影響は無視。

 

これと似たような計算をすると太陽をかすめる光の曲がり具合(屈折角)が計算できる。

4.計算結果

ニュートン力学による計算と一般相対論による計算とでは曲がり具合の数値に丁度 2 倍の差が出る。相対論では、より大きく2倍曲がるという予想であった。

5.これについて、歴史上初めての確認は、1919 年、エディントン卿の観測隊により、日食時に行われた。 観測結果は相対論の正しさを示した。

(参考)

1.粒子と波動の二重性(Wave–particle duality)

光や電波の物理現象が、粒子のような性質と波のような性質を併せ持つことをいう。 
起源は、クリスティアーン・ホイヘンスとアイザック・ニュートンにより光の本質についての対立した理論(光の粒子説と光の波動説)が提出された1600年代に遡る。その後19世紀後半以降、アルベルト・アインシュタインやルイ・ド・ブロイらをはじめとする多くの研究によって、光や電子をはじめ、そういった現象を見せる全てのものは、粒子のような性質と波動のような性質を併せ持つと結論付けられた。この現象は、素粒子だけではなく、原子や分子といった複合粒子でも見られる。実際にはマクロサイズの粒子も波動性を持つが、干渉のような波動性に基づく現象を観測するのは、相当する波長の短さのために困難である。 

2.屈折( refraction)

波(波動)が異なる媒質を通ることによって進行方向を変えることである。異なる媒質を通るときに、波の周波数が変わらずに進む速度が変わるため進行方向が変わる(エネルギー保存の法則や運動量保存の法則による)。


光の屈折がもっとも身近な例であるが、例えば音波や水の波動も屈折する。波が進行方向を変える度合いとしてはホイヘンスの原理を使ったスネルの法則が成り立つ。部分的に反射する振る舞いはフレネルの式で表される。なぜ光が屈折するかについては、量子力学的にファインマンの経路積分によって説明される。 

3.音波

真空中では伝播せず、必ず気体・液体・固体のいずれかの媒質を介する必要がある。

気体・液体中での音波は、媒質にずれ弾性が存在しないため疎密波として伝播する縦波である。固体中では疎密波のほかに横波であるせん断波(ねじれ波)も生じる。

音波の速度である音速は媒質の密度と圧力によって変化するため、空中での音速であるマッハ速度も、主に高度の違いや温度、湿度などの気象条件によって大きく変化する。

音の屈折は 光と異なり,音の場合には屈折率という物理量は定義されていない。したがって,音速の逆数が屈折率と同じ意味を持つことを,十分に理解させる必要がある。逆に光では,屈折率の逆数がその媒質中の光速に比例している。
【空中の異常伝搬】 高校物理では,音の屈折は夜間と昼間とで音の伝わり方が異なる原因として扱われていることが多い。これは,高度によって音速が連続的に変化する場合の例である。特に冬の夜間は,上空に向かった音は屈折して下方に曲がり込み,地表で反射して再び上空に向かう。つまり,屈折と反射にはさまれた音のチャンネル(導波路)ができるので,非常に遠くまで届くのである。逆に昼間の砂漠では地表付近の空気が高温になるので,音は上空に向かって消えるため,声が遠くに届きにくい。

4.電波

電波は電離媒質(電離層)の中で屈折現象を示す

プラズマ中は屈折率が変化し、電波は屈折、反射、吸収される。。臨界周波数(電子プラズマ周波数)以下の電磁波はプラズマ中を通過できず、反射したり屈折する。磁場の影響でさらに複雑になる。

プラズマ振動( plasma oscillation)は、プラズマ中に生ずる電荷密度の波動である。ラングミュア波 (Langmuir wave)、プラズマ波 (plasma wave) とも呼ばれる。1928年にアーヴィング・ラングミュアによって発見され、その機構が解明された。 
プラズマ振動数はプラズマに固有の振動数であり、空間スケールを定めるデバイ長と並んで現象の時間スケールを定めるもっとも基本的なパラメータの一つである。 

電離圏研究の歴史  電波(地球電磁気)と電離圏研究の歴史

1600:  ギルバート「磁石論」の出版 (地球は1つの巨大な磁石である)  

18世紀: 地磁気の変動が知られるようになる

1839:  C. F. Gauss -- 電気伝導度の高い層に言及

1860ごろ:  J. C. Maxwell -- 電磁波の存在を予言

1860:  Lord Kelvin (W. Thomson) -- 高電気伝導層が大気上層にある?

1878:  B. Stewart --  高層大気中を流れる電流を予言

1887:  H. Hertz   -- 電磁波の存在を実験的に証明

1890年代:  A. S. Popov -- 電磁波による近距離通信に成功

1900:  J. J. Thomson -- 電子の発見

1901:  G. Marconi -- 大西洋横断通信に成功 (1909: Marconi, Braun ノーベル物理学賞受賞) 

1902:  A. E. Kennelly, O. Heaviside ? 高層大気中に自由電子があるのではないか?電離層の仮説発表(かつて、電離圏(電離層)はKennely-Heaviside layerと呼ばれていたこともある)  

1903:  J. E. Tayler, 1906:  J. A. Fleming -- 太陽UV放射が高層大気中の自由電子を作る

1925:  E. V. Appleton  電離層の存在を実験的に証明、電波技術の電離圏観測への応用