脳トレ宇宙論 第24話 アインシュタインの宇宙② 一般相対性理論
(Wikipediaより抜粋、ほか)
一般相対性理論(general relativity)は、アインシュタインが1905年の特殊相対性理論に続いて1915年から1916年にかけて発表した物理学の理論。
一般相対性原理と一般共変性原理および等価原理を理論的な柱とし、リーマン幾何学を数学的土台として構築された古典論的な重力場の理論であり、古典物理学の金字塔である.
数学を用いて自然現象を表し、解釈してゆくのが物理学であり、その中で提唱された理論が実験や観測に先行して、自然現象を予想したり説明しようとする。そしてそれらの多くの理論が後に観測や実験で淘汰され、いくつもの検証をパスした理論が生き残っていく。それが物理の歴史であり、相対性理論の進展も同様である。
そして、具体的に次の項目が観測実証され一般相対性理論が正しいことが確かめられている。
アインシュタインの一般相対性理論は、それまで誰もが絶対的なものだと思っていた時間と空間が伸びたり縮んだりする、という信じられないような考え方を提案した。発表された4年後の1919年 5月29日の皆既日食で,重力場中では光が曲がって進むことをアーサー・エディントンが観測で確認した。すなわち相対論による計算では、太陽の近傍を通る星の光の曲がり方がニュートン力学で予想されるものの2倍であることを示し、それを観測で確かめた。つまり本当に時空が歪むことが分かった。そして100年の間、いくつもの検証をパスしてきた。これまでにも数多くの重力理論が提案されたが、その中でも最もシンプルな相対性理論だけが生き残った。
ニュートン力学だけでは、水星軌道のずれ(近日点移動の大きさ) の観測値の説明が不完全だったが、一般相対性理論が解決を与え、太陽の質量による 時空連続体の歪みに原因があることを示した。
重力波とは時空の歪み(重力場)の変動が伝播する現象であり、線型近似が有効な弱い重力波 の伝播速度は光速である。
全米科学財団と国際研究チームは2016年2月、アメリカの重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)を用いて、2つのブラックホールの合体によって発せられた重力波の検出に成功したと発表した。重力波の存在は100年前にアインシュタインによって予言され、これまで間接的な証拠は見つかっていたが、重力波が直接検出されたのは今回が初めてである.
この成果は、重力波を使ってこれまで見ることのできなかった宇宙を調べることが可能になったという点で、天文学における記念碑的業績である。
(ライゴ:「レーザー干渉計重力波観測所] Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)
一般相対性理論の帰結として、時空は膨張または収縮し、定常に留まることがないこと、そしていわゆるビッグバン宇宙が導かれる。
米国の天文学者エドウィン・ハッブルは様々な銀河までの距離とその銀河のスペクトルを調べ、ほとんど全ての銀河のスペクトルに赤方偏移が見られること、赤方偏移の量は遠方の銀河ほど大きいことを経験を生かして発見した(ハッブルの法則)。この事象は、銀河を出た光が地球に届くまでの間に空間自体が伸びて波長が引き伸ばされるためであると解釈でき、宇宙が膨張していることを示すと考えられている。2016年現在、観測されている最も z が大きい(すなわち最も遠方にあると考えられる)天体は z = 11.09 の銀河 GN-z11 である。
遠方の銀河がハッブル=ルメートルの法則に従って遠ざかっているという観測事実を一般相対性理論を適用して解釈すれば、宇宙が膨張しているという結論が得られる。宇宙膨張を過去へと外挿すれば、宇宙の初期には全ての物質とエネルギーが一カ所に集まる高温度・高密度状態にあったことになる。
ビッグバン( Big Bang)とは、宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする膨張宇宙論(ビッグバン理論 (Big bang theory))における、宇宙開始時の爆発的膨張。インフレーション理論によれば、時空の指数関数的急膨張(インフレーション)後に相転移により生まれた超高温高密度のエネルギーの塊がビッグバン膨張の開始になる。その時刻は今から138.2億年(13.82 × 109年)前と計算されている。
限られた空間に大きな質量が集中すると、光さえ脱出できないブラックホ ールが形成される。
国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)がブラックホールシャドウを撮影することに世界で初めて成功した。画像上の明るいリングのようなものがブラックホールの強い重力場に影響を受けて渦巻いているガスで、その中の暗い部分がブラックホールである。これはおとめ座にある楕円銀河「M87」の中心にある。今回の観測は2017年4月に行われ、波長1.3mm(ミリ波230GHz、VLBI:超長基線電波干渉法)の電波で観測された。2019年4月発表
アインシュタイン方程式から得られる時空は、ブラックホールの存在や膨張宇宙モデルなど、アインシュタイン自身さえそれらの解釈を拒むほどの驚くべき描像である。
しかし注意点として、ブラックホールや初期宇宙の特異点の存在も理論として内包しており、特異点の発生は一般相対性理論そのものを破綻させてしまう可能性もある。将来的には量子重力理論が完成することにより、この困難は解決されるものと期待されている。
重力赤方偏移(gravitational redshift)とは、重力場中の光の波長が長くなる現象である。一般相対性理論において、時間の流れがどれくらい変化するかは、計量という式によって表わされる。光の波長λ、振動数νと光速度cとの間には、λν = c の関係がある。光の振動数は単位時間当たりの振動の回数であるから、時間の進み方が遅くなると遠方の観測者からは、振動数は小さく、波長は長く観測される。1984年、宇宙科学研究所(ISAS)のX線観測衛星 てんま が、中性子星の強い重力による重力赤方偏移を世界で初めて捉えたと報じた。
強い重力場中で測る時間の進み(固有時間)が、弱い重力場中で測る時間の進みより遅いことを示す実験。。
地上450mの東京スカイツリー展望台と地上の標高差を利用して、一般相対性理論による時の流れの違いを検証することに成功した(東京大学と理化学研究所は4月7日、研究結果を発表)。
今回の実験では、東京スカイツリーの展望台と地上に2台の光格子時計を設置。24時間測り、それぞれの光格子時計の振り子の振動数を比較すると、展望台に設置した時計の方が4ナノ秒早く進んでいた。
検証精度は、原子時計を搭載した高度1万km上空の人工衛星を用いた実験に迫る。島津製作所と共同で開発した高精度の「光格子時計」が、この検証を可能にしたという。
東大の香取教授は「現在の有効数字18桁の精度なら1cmの精度で高さを測れる。今は19桁の精度を目指しており、数年後にはミリメートルの高低差が測れるようになると思う」と話す。