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霧の玉手箱5

2017-04-22 09:37:54 | 数楽絵草紙

霧箱の作り方

先ず、大きさ約10×10×10cm程度の容積のきちんと囲まれた容器を準備する。観察するために上面はラップフィルムかガラス、底はアルミフォイルか銅箔で熱伝導の良いものを使う。容器内部の側面と底面には黒色の反射しないボール紙か布を張って置く。

次いで容器の中に無水エタノールを入れる。側面上部にエタノールを含むスポンジなどを取り付けておくとよい。底の黒紙の部分にはたっぷりとエタノールがある状態にする。この沸点は-78.3℃であり、常温でも蒸発しているため、容器内にはエタノールの気体が充満している。

この容器をドライアイスの上に乗せて暫くの間(5~10分程度)冷やす。容器の上部ほど暖かく下部ほど冷たくなり、エタノールの蒸気は容器の上から下へ流れていく。すると、底からある高さまでエタノールの蒸気が冷やされて、もはやこれ以上は気体の状態で存在することができず、気体と液体の中間の状態になる部分(深さ5~10mm程度の過飽和層)ができる。 

この部分に放射線が飛び込むと衝突してイオンができ、それを核にしてエタノールの蒸気が集まり小さな水滴ができる。この水滴は放射線が通過した後にでき、放射線の軌跡が細い線状の雲のように見える。この霧の軌跡は放射線そのものではなく、放射線の飛んだ跡である。これは飛行機雲と同じ原理である。

(補足)

この実験にはコツがあり、各人の実験の力量が問題になる。

1.過飽和層が安定して出来るか?底は冷やして上は常温あるいは温度が高く。

各部分の場所の温度を測った例がある。これも実験テーマになる。Blogを検索

2.拡散霧箱の実験では、エタノールなどの蒸気を過冷却状態になるまで冷やすため、氷点よりもかなり低い温度の環境を必要とする。そのためドライアイスや液体窒素を準備しなければならない。

それらの代わりにペルチェ素子を2枚使い、過冷却の温度を作りだす。環境により異なるが、底面の温度が-20度程度でなんとか霧の筋が見える。-30度まで冷やせれば、ほぼ確実に成功する。Weblog参照

3.高温拡散型霧箱(Weblog参照)

エタノールより蒸気圧の低いエチレングリコールを使う。そして霧箱全体の温度を80-100度にして、上部を電熱で加熱して底面を室温で動作させる。

4.中谷宇吉郎とチャールズ・ウィルソンー霧箱を通じた交流(Weblog参照)

中谷は、理研在籍時代に電気火花の形についての研究を行っており、放電時に放出される紫外光を写真に撮って放電現象の研究をしていた。

留学直前には、寺田虎彦の助言もあって、紫外光を出す前の段階でのイオン化作用の様子を、霧箱で観測することを試みていた。

中谷は帰国後、北海道大学の助教授となるが、山崎文男(後に理研仁科芳雄研究室を継承し、放射線研究室を主宰)と共同研究を行って、1934年に世界で初めて電気放電の霧箱写真を撮ることに成功した。

5.以上のように、霧箱に関する実験テーマは沢山あるので、興味のある人は是非Webなどを参照して挑戦してほしい。



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