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シネマ経済学入門 ローマの休日とユーロの謎(宿輪純一)

2010年02月19日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は、映画好きなエコノミストである宿輪純一さんが、その映画と経済を組み合わせた映画評論の本で、女性誌「MISS」や日経BP等各雑誌、日経CNBC(テレビ)、朝日新聞で連載されたものの集大成とのことです。

特に、「ローマの休日」の中で、現在のEUのことについて言及する場面があったことなど、とても面白かったですね。

経済好きな映画ファンにはとても堪らない本だと思います。

この本では、たくさんの映画が紹介されていますが、私も次の映画はぜひ観てみたいと思いました。

・2001年宇宙の旅
・ブリジット・ジョーンズの日記
・チェ28歳の革命
・チェ39歳別れの手紙
・ターミナル
・ニュー・シネマ・パラダイス
・アイ・アム・サム
・幸せのちから
・隠し砦の三悪人 The Last Princess
・7つの贈り物
・アメリ
・セックス・アンド・ザ・シティ
・ノーカントリー
・マンマ・ミーア
・彼が2度愛したら
・ラスベガスをぶっつぶせ
・マイ・ブルーベリー・ナイツ
・力道山
・ザ・マジックアワー
・マッチポイント

以下はこの本のポイントなどです。とてもオススメです!!

・実はローマの休日の記者会見のなかに経済的に意味のある個所がある。身体の調子を聞かれた後の、二つ目の質問は「経済連盟構想はヨーロッパの経済問題の解決に成り得るとお考えですか」である。それに対して、アン王女は「ヨーロッパ諸国の緊密化を促す計画にはすべて賛成です」と答えている。この映画が作られたのは1953年。欧州経済統合の第一歩である欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が設立されたのは52年のことで、その翌年に映画が公開された。つまり、第二次世界大戦で荒廃したヨーロッパを再興するための「欧州経済統合」を推進するための映画といういうことができるのではないか。この映画から約50年たってやっと通貨は1つになった。99年に銀行間の通貨が誕生し、3年の猶予を経て、2002年に紙幣と硬貨が流通しはじめた。通貨が1つになったことにより、外国為替の手間もなくなり、国際的なビジネスや金融取引の面の効率性は格段に上がった。旅行の面でもすごく便利になった。いちいち国を越えるときに「外貨両替」をする必要もなくなった。これは本当に便利であり、両替手数料もかからない。このように楽になっていくことが、経済の活性化にはきわめて有効。そんなことを知ってか知らずか、アン王女はお金というものをそもそももったことがないようで、花の代金を請求されてわからない様子をするのは、王室ならでは。

・さらに、ローマの休日にはもう1つ経済的な意味がある。「ローマの観光名所」が多数登場し、この映画の公開後、イタリア旅行ブームも起こった。筆者もアン王女と同様に「真実の口」に手を入れてみたり、ジェラートを食べたりした(現在「スペイン階段」は世界遺産となってしまったために、近くではジェラートは食べられない)。この作品はアメリカ映画だが、ローマの観光名所をほとんど取り上げている。トレビの泉、スペイン階段、コロッセオ、ティヴェレ川、サンタンジェロ城、真実の口などあげ出すときりがない。つまり、世界に対し観光名所を案内(宣伝)する映画だったのではないか。

・「男はつらいよ」シリーズでは、大企業や大学など大組織、権威、そして新しいものよりも、団子屋、町工場、そして帝釈天などの、昔からの人情味のある小さい組織をよく描いている。第一作目の「男はつらいよ」では、寅さんの妹のさくらは大企業で(そのころ、最先端の仕事であったであろう)キーパンチャーの仕事をしていた。さらに、家出してきた義理の弟が嫌っている父は大学教授だった。そして、タコ社長の町工場や団子屋はなんとか支えあいながら、何回かの不況を乗り越えてきている。さらに、寅さんは各地を旅するが、無くなりつつある、日本各地の懐かしく美しい風景が、我々の疲れた心を洗う。

・2001年宇宙の旅がいつも名画の上位にランキングされるのには、いろいろな理由が考えられる。まず、SF映画であるが、科学的に精微な内容になっていることである。映像が科学的で素晴らしく、CGのない時代にして驚きである。過去のSF映画のなかには今となっては鑑賞に堪えないものもあるが、この作品は、2009年の現在でも十分鑑賞に値する。アカデミー賞最優秀特殊効果賞や、日本では文部省特選映画に選ばれている(文部省特選に選ばれた唯一のSF映画)。実際、その先見性はすごい。宇宙ステーション、そして、スペースシャトルも存在している。

・1977年にアメリカで最初の「スター・ウォーズ」が誕生してから、早30年を超えている。「エピソード3」は、6本のシリーズの最終作となる。「スター・ウォーズ」はそのほとんどの作品で、製作総指揮・原作・脚本・監督をジョージ・ルーカスが行うという、まさにルーカスの映画(実は、原作は9本あった)。4・5・6番目の原作が77年から3年おきに作られ、1・2・3番目の原作が99年から3年おきに作られた。スター・ウォーズのストーリー展開は、北欧の神話(サーガ)や欧州の戦国史話など世界中の伝説や戦国史劇のいいところ(受ける要素)を寄せ集めている部分が多く、いかにもアメリカのマーケティング的な作成方法である。さらに、親交のあった黒澤明監督などの日本の時代劇にも影響を大きく受けている(ちなみに「ジェダイの騎士」のジェダイは、時代劇の「時代」がその語源ともいわれている)。

・その「スター・ウォーズ」、「昔々、遠い遠い銀河の果て」の話と感動的に始まるが、経済学的にみて驚異的なことがある。本作のなかでは「通貨」が随所に登場する。なんとすでに通貨が統一され、「交通宇宙通貨」が流通している。通貨単位は(ちょっとつまらないが)「クレジット」というもの。ユーロでもあれだけ大変だったのに、宇宙(銀河)全体とは本当にすごい。ちなみに、ハン・ソロは借金で追われていたが、彼の借金は1万7000クレジットだった。国際経済学では、「通貨統合」には”順番”があるといわれている。それは、まず「貿易(モノ)の自由化」で、物の行き来が自由になる。貿易が活発になることによって、経済の結びつきが強まっていく。次が「資本(おカネ)の自由化」で、おカネの面の関係も強化されていく。人の移動なども自由化し、最終段階として「通貨」が統合される。通貨の統合はユーロにみられるように、金利の上げ下げなどの金融政策が一本化されるので、経済の隔離があっては困るのである。ところが、「スター・ウォーズ」ではこの順番が守られていない。映画のなかの議会でもめているのは、通商同盟、つまり「貿易」が問題になっている。貿易を飛び越して通貨が統合されていることになり、いままでの教科書的な国際経済学では考えられない。しかし、筆者はそのようなケースがあってもよいと思う。その最たるものが「アジア」である。

・「アメリ」は、「アメリ・プーランの信じられない運命」という原題からもわかるように、いわゆるフランス映画とは違う”ニュータイプ”のフランス映画。まず、その非リアリスティックな色調の「映像」に引き込まれる。赤と緑と黄色の3色をベースとしたレトロな雰囲気と音楽だけでも、柔らかい気持ちになってしまう。もちろん「ストーリー」もシュールで、現代のお伽噺ともいえるもの。暴力や犯罪がテーマの映画が多いなかで、「アメリ」は”人の幸せ”をテーマにしている。バリバリとした仕事社会でお疲れの人に、ぜひお勧めの作品である。

・「老舗ブランド」映画のシリーズでは、”若い時期”を入れて活性化させるというのは常套手段である。「バットマン」と「バットマン・ビギンズ」も同じコンセプトで早くもてこ入れを始めた。それはブランドが売れてくるときに、その起源を説明するのと同じである。ちなみに007シリーズの権利を保有しているのは、ブロッコリ家であり、映画に必ず大きく名前が書いてある。野菜のブロッコリーは彼ら一族が普及に力を入れた。

・ちなみに「ロッキー」シリーズは、日本の宣伝文句では「ロッキー・ザ・ファイナル」で完結、としている。でも、本当にそうなのだろうか。実際、5作目のロッキーの邦題は「ロッキー5/最後のドラマ」であったが、現代は、単にⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴと番号を振っていただけである。本作についても現代はロッキーの本名の”Rocky Balboa”で、完結を匂わせる表現はない。ハリウッドがドル箱のシリーズをやめるわけはないではないか。次は例によって「ロッキー・ザ・ビギニング」か、などと想像してしまう。

・これまでこの分野では、「映画」を起点として、そこからグッズやアトラクション、ゲームなどを派生させていくということが常套手段になっていた。「スター・ウォーズ」が流行ったら、そのゲームを作り、アトラクションを作り、さらにはダースベーダーのマスクなんかも作ってしまう、というやり方だ。ところが、この流れが変わってきたように思う。この「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、逆にディズニーランドの「アトラクション」をモチーフにして作った映画なのである。配給はもちろんディズニー。このアトラクションに行かれたことのある方はご存知だろうが、シリーズ一作目のストーリー進行は、アトラクションでの進行(進むコース)にかなり忠実だった。キャラクターのデザインも場面も、犬までもそっくりだった。

・巨匠黒澤明監督作品のなかでも、傑作の呼び声高い「隠し砦の三悪人」(58年)がリメイクされた。戦国時代、隣国山名家に攻められ陥落した武将真壁六郎太(阿部寛)は、雪姫(長澤まさみ)を連れ、武蔵(松本潤)や新八(宮川大輔)とともに敵地山名領を駆け抜けていく。スリルの連続でたまらない。旧作が「スター・ウォーズ」(77年)に影響を与えた話は有名だ。実際、太平と又七(新作では武蔵と新八)は、C-3POとR2-D2だし、気丈な雪姫はレイア姫だ。この新作では、随所に「逆リメイク」の仕掛けもある。悪役の鷹山刑部(旧作では田所兵衛)の黒い兜とお面はダースベイダーそのもの。雪姫との間に淡い恋心が芽生える武蔵はハン・ソロだ(このような遊びが映画ファンにはたまらない)。


<目次>
まえがき
第1章 時代
 「ローマの休日」と世紀の経済政策”ユーロ”
 「男はつらいよ」に曲がり角の経済と生き方をみる
 「2001年宇宙の旅」が示すコンピューターと人間の新しい関係
第2章 経済
 1 成長のシネマ経済学
  経済成長のモノサシ 「ノッティングヒルの恋人」
  景気が決まる”白い”聖夜と”黒い”金曜日 「ホワイト・クリスマス」
  ”崩壊”の予想は難しい 「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」
  ”雇用”自由化は経済にプラス 「ブリジット・ジョーンズの日記」
  ”戦争”は経済を破壊する 「告発のとき」
  「いのち」に値段はつくか? 「闇の子供たち」と「シッコ」
 2 経済改革のシネマ経済学
  「革命」的世界経済改革が必要? 「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」
  「規制緩和」も万能ではない 「ダイ・ハード」
  「構造改革」にM&Aはつきもの 「プリティ・ウーマン」
  ”技術”と”感性”が新しい経済を作る 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
  「国際インフラ戦略」が欠けている 「ターミナル」
  「道州制」を起爆剤に 「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」
 3 世界経済のシネマ経済学
  国際経済の発展は「フェアトレード」から 「おいしいコーヒーの真実」
  「アラブ」は新しいマネーセンター 「アラビアのロレンス 完全版」
  「アジア経済統合」は日本を磨く 「ムトゥ踊るマハラジャ」
  ブラジル経済のアキレス腱 「シティ・オブ・メン」
  ヨーロッパの中心になりつつある”パリ” 「アメリ」
  過度の”人口集中”は経済にマイナス 「セックス・アンド・ザ・シティ」
 4 環境問題のシネマ経済学
  「環境」は重大な経済問題 「不都合な真実」
  「経営と雇用」と「自然破壊」の誤り 「アイ、ロボット」
  地球温暖化は地球のメタボ化 「ウォーリー」
  深刻化する”水問題” 「007 慰めの報酬」
 5 シネマ経済学・理論編
  Cool Head but Warm Heart 「イーグル・アイ」
  ”感情”が経済を動かす 「ノーカントリー」「マンマ・ミーア!」
  ”脳”の機能で経済を読み解く 「インクレディブル・ハルク」
第3章 金融
 1 通貨制度のシネマ経済学
  宇宙通貨で「通貨統合」を学ぶ 「スター・ウォーズ」
  「基軸通貨」と「政府紙幣」 「彼が二度愛したS」
  「金」は人を惹きつける 「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」
 2 市場・相場のシネマ経済学
  ”需要と供給”が価格を決める 「007 ゴールドフィンガー」
  「海運指数」が示す景気の先行き 「タイタニック」
  世界が苦しむ「穀物高騰」 「火垂るの墓」
  欲が生み出す「バブル経済」 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
 3 お金のシネマ経済学
  拝金主義よりも愛情が大事 「ニュー・シネマ・パラダイス」
  「悪銭」は身につかない 「スティング」
  「賭けごと」と投資の違い 「ラスベガスをぶっつぶせ」
  「ブラックマーケット」対策 「レオン」
第4章 経営
 1 企業価値のシネマ経済学
  ガラパゴス化にも価値がある 「ハロウィン」
  最盛期の商品の再導入は効果大 「犬神家の一族」
  ”老舗ブランド”の活性化 「007 カジノ・ロワイヤル」
  いつまでも”自分で”道を切り開く 「ロッキー・ザ・ファイナル」
 2 マーケティングのシネマ経済学
  相手の気持ちこそマーケティング 「ハート・オブ・ウーマン」
  売るためには”受ける要素”をたくさん入れろ 「ハッピー フィート」
  経済を悪化させる「パイラシー」 「ダ・ヴィンチ・コード」
  キャラクターに勝機あり 「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」
 3 技術改革のシネマ経済学
  具体的な「夢」が科学技術のタネ 「サンダーバード」
  道を切り開くのは、いつも”創造性” 「カポーティ」
 4 ブランドのシネマ経済学
  個性こそブランド、「違い」にこそ価値がある 「ハンコック」
  ティファニーのブランド戦略 「ティファニーで朝食を」
  新興すたーばっくすのブランド戦略 「アイ・アム・サム」
 5 経営改革のシネマ経済学
  「企業経営」の基本 「ムーラン・ルージュ」
  アメリカの車業界と環境対応 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
  ”産業”に永遠の安定はない 「めぐり逢えたら」
  改革には「情報公開」 「サンキュー・スモーキング」
  経営以前に”コンプライアンス” 「アイアンマン」
 6 人・組織のシネマ経済学
  悲しいプロジェクトマネジメント 「ゴッドファーザー」
  「リーダーシップ」は率先垂範 「スター・トレック」
  「三国志」に「商売の真髄」を学ぶ 「レッドクリフ PartⅠ」
  ”ダメな組織”の見分け方 「ダーティハリー」
  組織の崩壊を防止せよ 「マリー・アントワネット」
  ヒューマンエラーはなくならない 「帰らない日々」
  人生に必要なコーチン具 「幸せのちから」
第5章 映画産業
 1 映画産業のシネマ経済学
  国家戦略による「韓国」映画の隆盛 「力道山」
  ニュージーランドの映画振興策 「どろろ」
 2 映画製作のシネマ経済学
  映画も「投資」、増えるリメイク 「隠し砦の3悪人 THE LAST PRINCESS」
  映画製作は「起業」 「誰がために」
  国を越えるリメイク 「ディパーテッド」
  連作の新しい潮流 「ターミネーター」
 3 キャスティングのシネマ経済学
  俳優のギャラも”強いユーロ”建てに 「大いなる陰謀」
  成功決めるキャスティング 「ザ・マジックアワー」
第6章 人生
 1 幸せのシネマ経済学
  ”雇用”は社員の為ならず? 「7つの贈り物」
  ”お金”はないほうが幸せ? 「イントゥ・ザ・ワイルド」
  八方塞がりの窮地からの脱出 「スパイダーマン3」
 2 不安・運のシネマ経済学
  ”わからない”から挑戦する 「Xファイル:真実を求めて」
  人生も企業も経済も”最後は運?” 「マッチポイント」
  変化は意外なところから起こる 「トゥームレイダー」
 3 夢のシネマ経済学
  ”熱い思い”が成功させる 「世界最速のインディアン」
  ”厄介者扱い”をやめさせたい 「スペース・カウボーイ」
 4 時間のシネマ経済学
  ”今にみていろ”の気持ちが大事 「007 ダイ・アナザー・デイ」
  ”時間”こそ、もっとも貴重なもの 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
参考文献  


面白かった本まとめ(2009年下半期)

<今日の独り言>
 公園で弁当を食べていると、スズメがちゅんちゅん寄って来ました。仕方がないので、ごはんつぶを上げるとうれしそうに食べます。ついでにプチトマトのヘタも上げましたが、これはさすがに食べません・・・^_^;)

コメント (3)
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