ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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大学(05、オーストラリアの卒業税)

2008年10月19日 | タ行
 私たちは3人の子供の授業料を一度も払ったことがない。高校までは公立校だったから実質タダだった。それにオーストラリアでば、大学の学費は学生本人が卒業後に支払うのが原則だ。就職後、給料から天引きされる。一種の「大学卒業税」で ある。

 導入されて12年になる。大学教育の費用の大半は国家負担で、授業料の一部を学生が負担するのだが、在学中に支払う必要がない。卒業後、つけを返しきるまで、税金の形で支払いを続けるという仕組みだ。

 収入が一定額以下だと無税、それ以上だと額によって3ないし6%を源泉徴収文される。在学中や早めに支払うと割引がある。卒業税方式でば、学生は自分が学費を支払うので、怠けていると損をする。親から経済的に独立する時期が早まり、自立を促すという副次効果もある。

 大学教育と階層間の格差との関係ば複雑だが、卒業税そのものは平等化を進める。本人払いだから、親の経済力不足で子供が進学をあきらめなければならない確率は低い。大学卒は高校卒より平均して給料が高いので、本人がなにがしかを社会に還元するという意味もある。

 ドイツやフランスでは大学授業料は無料、日本とアメリカは在学中負担だが、豪州方式はその中間である。この国の大学はほぼ全部が国立だという事情を考慮に入れても、学費後払い方式は他の社会でも検討の余地がないか。教育費の心配をせずにすんだ親として、そう思う。

  (朝日、2001年09月03日。杉本良夫)

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