「天タマ」第40号(2000年11月21日発行)
(その2)
より良い授業のために
1、授業全体について
──カンファレンスはぜひあった方がよい。(多数意見。普段話さ
ない人とも話せるという利点から考えて、もう少し頻繁に席替えし
たらどうでしょうか。「たまにはクラス全員で話したい」という意
見も。これは私の希望でもあるのですが、なかなかうまく行きませ
ん。しかし、今年も試みてみましょう)
──授業中の雰囲気が懐かしい中学時代を思い起こさせる。
──初めての授業内容だったので最初はとまどったが、今は興味深
く受講している。
──前の授業とつながりのあるテーマなので考えやすい。(多数意
見)
2、家族や友人と話したこと
──「天タマ」を親に見せました。親はこういうのもいいね。学級
通信みたいだね、と読んでいました。「こんなことを授業でやって
いるんだ。哲学ってもっとかたいイメージがあったけど、これなら
楽しそうだね」と言っていました。
★ これがほとんど唯一の具体的な報告です。以前は「自分の机
の上においてあった『天タマ』を親が勝手に読んで感想を言ってい
た」といった報告もあったのですが、そういう事が少し減っている
かなという印象です。
家族と話してほしいです。親は子供の学校生活を知りたがってい
ます。皆さんは父の日のプレゼントに何を贈りますか。「話を贈る
」ことを提案します。いつもより長めに晩酌に付き合うとか、離れ
ているならプレゼント代を電話代にして長めに話をするということ
です。特に女の子は年頃になると男親との話が少なくなるようで
す。
──「その他」の所に書いてある事はその人のことが分かり、話の
ネタになる。
3、休憩について
全体として高い支持率でした。雑学も大切だという意見。休憩の
ある授業は初めてだという意見も。ディズニーワールドのVTR、
心理テスト、和敬塾のVTRなどが人気でした。先生のための休憩
ではないかという意見もありました。
4、「授業についての話は私語ではないから許されるべき
だ」という意見について。
★ 賛成意見
──今思ったことは今言わないと忘れてしまうし相手にも伝わりに
くい。
──一言二言話すのは私語ではない。
──話す内容・口調・音量に気をつけ、周りの人が不快に思わなけ
ればよい。
──プリント配付中とかビデオ準備中ならいいのではないか。
──全く声の出ない授業の方が気持ち悪い。
★ 反対意見
──気持ちとしては分かるが、話が聞けなくなるし、話しかけられ
た人は迷惑だから、私語は休み時間に。
──その時話していたことが本当に授業の事か本人にしか分からな
い。ごたごたするなら規則を決めておくべし。
──自分の経験から見ても、授業の話からおしゃべりへと内容が変
わっている。
──全員が私語を始めたら騒音になってしまう。
──この意見は自己中心的。手を挙げて発言すべし。
──カンファレンスの時間がしっかり取られればよいと思う。(複
数の人の意見)
結論
「私語は悪い態度とみなす」という授業要綱は変えません。ただ
し、「ほんの少し」弾力的に運用するようにします。カンファレン
スの時間を確保します
5、講師の生徒に対する態度
──先生への批判的なコメントに対して先生が自分の考えを書く場
合は、生徒の名は載せない方がよい。
──名前を覚える人と覚えない人とがいるということは生徒に話す
べきことではないと思った。正直すぎる発言で、自分は覚えてもら
えるかなと不安になった人もいるかも。
★ そのほかにも、実名を出すことにもう少し気をつけるべきだ
という意見がいくつか寄せられました。気をつけます。
──「天タマ」には先生を良く言う意見が載っている。同じ人が載
っている。
★ プリントを投げて渡すことについて、その後も意見がいくつ
かありました。
──受け取る側の態度を考えてみると、生徒の方に問題があるので
は?と思うようになりました。
──最近は先生も注意して渡してくれていると思います。
──問題があると思う。先生から渡されている時、手を差し出して
いる子もいたのに。
6、「朝の10分間読書」の経験
──読書に興味が持てた。
──担任の先生が一人一人にどんな本を読んでいるか尋ねたので嬉
しかった。
──読みおわったら紹介カードを書き、クラスのみんなに勧めた。
──お手紙郵便を書いて○年○組○○さん宛にその本を紹介する、
ということをした。
──朝の15分間読書だった。1時間目から集中して授業が受けられ
た。
──10分では短すぎた。(20分くらい読書したという報告も1つあ
りました。しかし、20分は長すぎると思います。10分という所が好
いのだと思います)
──読む本を探すのが面倒で、毎日同じ本を読んでいた気がする。
──先生が朝の会議をしていたのでマンガにカバーを掛けている人
、寝ている人、宿題をしている人などがいて、しっかり読書してい
る人は少なかった。
──朝練のあった者は着替えをしていたりして無意味だった。集合
が15分遅い方がよかった。
★ これも授業の一環なのですから、やはり先生がしっかり指導
しなければ所期の目的は達せられないということが分かりました。
読書ではなく黙想の時間のあった学校もあるようです。
7、その他
──初め、哲学の授業は先生の考えにしばられた授業で「いやだ、
窮屈だな」などと思っていましたが、何回か授業を受けていくうち
に、先生の熱心さ(授業の内容)などが伝わってきて、自分の知ら
なかったことなども考えることができ、社会についても考えられ、
ためになります。また、カンファレンスや「天タマ」などを通して
他の人の考えや意見が聞けてよいと思います。
★ これは多くの人の気持ちを代弁していると思います。もう一
歩深く分析して、講師はどういう点では強制的でどういう点では自
由にしているかと考えると、今後ほかの事を考える時にも役立つだ
ろうと思います。
──哲学とは何ですか。私には哲学(いま授業でしていること)は
楽しいのですが、これが哲学というのか自分の中ではっきりしな
い。
★ どう返事したら好いのか迷ってしまいます。まず、学問は生
物学みたいにその対象で分類されるか、歴史学のように方法で分類
されるかです。哲学だけはどちらでもありません。それに実際に哲
学の名の下でなされてきた事は歴史的に変わってきました。
第2に、「哲学」という日本語は philosophieという英語の訳語
ですが、その英語は「知を愛すること」という意味です。愛知県は
哲学県なのです。
第3に、そしてこれが一番問題なのですが、大学などで哲学の名
の下に行われていることは哲学史です。つまり過去の哲学者の考え
の紹介です。ですから日本では哲学と哲学史とが混同されています
。『ソフィーの世界』の日本語版の帯には「哲学ファンタジー」と
書いてありました。ドイツ語版には「哲学史の長編小説」と正しく
書いてありました。
東大の哲学科で哲学を教えるより本校で哲学を教える方が好い理
由がこれと関係しています。東大の哲学科の学生は哲学教授になり
たがっています。そこでそのために世の中で「哲学」として通用し
ているものに自分を合わせなければなりません。しかし、皆さんは
哲学で飯を食おうとは考えていません。学会の動向は無関係です。
自由にやれます。だから好いのです。学会全体が間違っているので
すから。
結論・授業で考えているような事が哲学の本当の問題だと思いま
す。我々が孤立しているのは、世の哲学教授たちが脇道にそれた事
ばかりしているからです。
──哲学の授業が始まってから、新聞の今まで読まなかった面も少
しずつ読もうと思うようになった。(私の情報源は朝日新聞を丁寧
に読むことだけです)
──休憩のVTRはどうしているのですか。(講師が自分で録画し
ています)
──先生の手作りケーキが食べてみたいです。
★ 3年の実習の終わった時、12月中頃のある午後に、好きな人
達で集まって得意のものを作る機会を持つ、という案をどう思いま
すか。それを実習終了祝いとしても好いと思います。
──この授業が3か月で終わってしまうのはさみしい。
★ これは私も何度か考えたことです。しかし、逆にもしこの授
業が1年間続いて年間30回の授業になったとします。すると、私の
研究時間に影響が出ると思います。秋の3、4か月間だけだから、
この授業にこれだけのエネルギーを注げるのだ、とも言えます。
私には人々から期待されている仕事がほかにもあります。本校の
授業にこれ以上の力を割いたら、批判されるだろうと思います。
(その2)
より良い授業のために
1、授業全体について
──カンファレンスはぜひあった方がよい。(多数意見。普段話さ
ない人とも話せるという利点から考えて、もう少し頻繁に席替えし
たらどうでしょうか。「たまにはクラス全員で話したい」という意
見も。これは私の希望でもあるのですが、なかなかうまく行きませ
ん。しかし、今年も試みてみましょう)
──授業中の雰囲気が懐かしい中学時代を思い起こさせる。
──初めての授業内容だったので最初はとまどったが、今は興味深
く受講している。
──前の授業とつながりのあるテーマなので考えやすい。(多数意
見)
2、家族や友人と話したこと
──「天タマ」を親に見せました。親はこういうのもいいね。学級
通信みたいだね、と読んでいました。「こんなことを授業でやって
いるんだ。哲学ってもっとかたいイメージがあったけど、これなら
楽しそうだね」と言っていました。
★ これがほとんど唯一の具体的な報告です。以前は「自分の机
の上においてあった『天タマ』を親が勝手に読んで感想を言ってい
た」といった報告もあったのですが、そういう事が少し減っている
かなという印象です。
家族と話してほしいです。親は子供の学校生活を知りたがってい
ます。皆さんは父の日のプレゼントに何を贈りますか。「話を贈る
」ことを提案します。いつもより長めに晩酌に付き合うとか、離れ
ているならプレゼント代を電話代にして長めに話をするということ
です。特に女の子は年頃になると男親との話が少なくなるようで
す。
──「その他」の所に書いてある事はその人のことが分かり、話の
ネタになる。
3、休憩について
全体として高い支持率でした。雑学も大切だという意見。休憩の
ある授業は初めてだという意見も。ディズニーワールドのVTR、
心理テスト、和敬塾のVTRなどが人気でした。先生のための休憩
ではないかという意見もありました。
4、「授業についての話は私語ではないから許されるべき
だ」という意見について。
★ 賛成意見
──今思ったことは今言わないと忘れてしまうし相手にも伝わりに
くい。
──一言二言話すのは私語ではない。
──話す内容・口調・音量に気をつけ、周りの人が不快に思わなけ
ればよい。
──プリント配付中とかビデオ準備中ならいいのではないか。
──全く声の出ない授業の方が気持ち悪い。
★ 反対意見
──気持ちとしては分かるが、話が聞けなくなるし、話しかけられ
た人は迷惑だから、私語は休み時間に。
──その時話していたことが本当に授業の事か本人にしか分からな
い。ごたごたするなら規則を決めておくべし。
──自分の経験から見ても、授業の話からおしゃべりへと内容が変
わっている。
──全員が私語を始めたら騒音になってしまう。
──この意見は自己中心的。手を挙げて発言すべし。
──カンファレンスの時間がしっかり取られればよいと思う。(複
数の人の意見)
結論
「私語は悪い態度とみなす」という授業要綱は変えません。ただ
し、「ほんの少し」弾力的に運用するようにします。カンファレン
スの時間を確保します
5、講師の生徒に対する態度
──先生への批判的なコメントに対して先生が自分の考えを書く場
合は、生徒の名は載せない方がよい。
──名前を覚える人と覚えない人とがいるということは生徒に話す
べきことではないと思った。正直すぎる発言で、自分は覚えてもら
えるかなと不安になった人もいるかも。
★ そのほかにも、実名を出すことにもう少し気をつけるべきだ
という意見がいくつか寄せられました。気をつけます。
──「天タマ」には先生を良く言う意見が載っている。同じ人が載
っている。
★ プリントを投げて渡すことについて、その後も意見がいくつ
かありました。
──受け取る側の態度を考えてみると、生徒の方に問題があるので
は?と思うようになりました。
──最近は先生も注意して渡してくれていると思います。
──問題があると思う。先生から渡されている時、手を差し出して
いる子もいたのに。
6、「朝の10分間読書」の経験
──読書に興味が持てた。
──担任の先生が一人一人にどんな本を読んでいるか尋ねたので嬉
しかった。
──読みおわったら紹介カードを書き、クラスのみんなに勧めた。
──お手紙郵便を書いて○年○組○○さん宛にその本を紹介する、
ということをした。
──朝の15分間読書だった。1時間目から集中して授業が受けられ
た。
──10分では短すぎた。(20分くらい読書したという報告も1つあ
りました。しかし、20分は長すぎると思います。10分という所が好
いのだと思います)
──読む本を探すのが面倒で、毎日同じ本を読んでいた気がする。
──先生が朝の会議をしていたのでマンガにカバーを掛けている人
、寝ている人、宿題をしている人などがいて、しっかり読書してい
る人は少なかった。
──朝練のあった者は着替えをしていたりして無意味だった。集合
が15分遅い方がよかった。
★ これも授業の一環なのですから、やはり先生がしっかり指導
しなければ所期の目的は達せられないということが分かりました。
読書ではなく黙想の時間のあった学校もあるようです。
7、その他
──初め、哲学の授業は先生の考えにしばられた授業で「いやだ、
窮屈だな」などと思っていましたが、何回か授業を受けていくうち
に、先生の熱心さ(授業の内容)などが伝わってきて、自分の知ら
なかったことなども考えることができ、社会についても考えられ、
ためになります。また、カンファレンスや「天タマ」などを通して
他の人の考えや意見が聞けてよいと思います。
★ これは多くの人の気持ちを代弁していると思います。もう一
歩深く分析して、講師はどういう点では強制的でどういう点では自
由にしているかと考えると、今後ほかの事を考える時にも役立つだ
ろうと思います。
──哲学とは何ですか。私には哲学(いま授業でしていること)は
楽しいのですが、これが哲学というのか自分の中ではっきりしな
い。
★ どう返事したら好いのか迷ってしまいます。まず、学問は生
物学みたいにその対象で分類されるか、歴史学のように方法で分類
されるかです。哲学だけはどちらでもありません。それに実際に哲
学の名の下でなされてきた事は歴史的に変わってきました。
第2に、「哲学」という日本語は philosophieという英語の訳語
ですが、その英語は「知を愛すること」という意味です。愛知県は
哲学県なのです。
第3に、そしてこれが一番問題なのですが、大学などで哲学の名
の下に行われていることは哲学史です。つまり過去の哲学者の考え
の紹介です。ですから日本では哲学と哲学史とが混同されています
。『ソフィーの世界』の日本語版の帯には「哲学ファンタジー」と
書いてありました。ドイツ語版には「哲学史の長編小説」と正しく
書いてありました。
東大の哲学科で哲学を教えるより本校で哲学を教える方が好い理
由がこれと関係しています。東大の哲学科の学生は哲学教授になり
たがっています。そこでそのために世の中で「哲学」として通用し
ているものに自分を合わせなければなりません。しかし、皆さんは
哲学で飯を食おうとは考えていません。学会の動向は無関係です。
自由にやれます。だから好いのです。学会全体が間違っているので
すから。
結論・授業で考えているような事が哲学の本当の問題だと思いま
す。我々が孤立しているのは、世の哲学教授たちが脇道にそれた事
ばかりしているからです。
──哲学の授業が始まってから、新聞の今まで読まなかった面も少
しずつ読もうと思うようになった。(私の情報源は朝日新聞を丁寧
に読むことだけです)
──休憩のVTRはどうしているのですか。(講師が自分で録画し
ています)
──先生の手作りケーキが食べてみたいです。
★ 3年の実習の終わった時、12月中頃のある午後に、好きな人
達で集まって得意のものを作る機会を持つ、という案をどう思いま
すか。それを実習終了祝いとしても好いと思います。
──この授業が3か月で終わってしまうのはさみしい。
★ これは私も何度か考えたことです。しかし、逆にもしこの授
業が1年間続いて年間30回の授業になったとします。すると、私の
研究時間に影響が出ると思います。秋の3、4か月間だけだから、
この授業にこれだけのエネルギーを注げるのだ、とも言えます。
私には人々から期待されている仕事がほかにもあります。本校の
授業にこれ以上の力を割いたら、批判されるだろうと思います。