中国が安倍政権を倒すために北朝鮮に対して「拉致は解決済み」のブレーキを掛けているということではないか

2018-06-21 11:25:38 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年6月18日付「NHK NEWS WEB」記事、その他が同6月18日の参議院決算委員会で自民党滝波宏文(東京大学法学部卒、46歳、福井県選挙区)の質問に答えて拉致問題解決に向けた日朝首脳会談の開催に決意を示したといった趣旨のことを伝えていたから、その箇所だけテキスト化してみた。

 「2018年6月18日参議院決算委員会」

 滝波宏文「これまで政府は拉致問題の解決なくして北朝鮮問題の解決なしとの覚悟で取り組んできたと考えますが、拉致問題の早期解決に向けての決意つについて安倍総理にお伺いします」

 安倍晋三「先般の米朝首脳会談に於いて我が国にとって何よりも重要な拉致問題ついての私の考え方を直接金正恩国務委員長に伝えてくれたことは大きな成果であったと考えますし、トランプ大統領に改めて感謝申し上げたいと思っています。

 また先日拉致被害者ご家族皆様と面会し、米朝首脳会談の結果について私から直接皆様にお話を致しました。ご家族の切なる思いを改めて伺いました。ご家族の積年の無念の思いを何としても安倍内閣で拉致問題を解決をしたいと決意をしております。

 また特定失踪者も含めて誰を拉致しているかを知ってるのは北朝鮮であります。北朝鮮には知っている全てのことを話し、全ての拉致被害者を一日も早く日本に帰国させて欲しいと考えています。

 これには大きな決断が必要となりますが、金正恩国務委員長には米朝首脳会談を実践した指導力があります。日朝でも改なスタートを切り、拉致問題について互いの相互不信を取り除き、殻を破って一歩踏み出したい。そして解決したいと決意をしております。

 最後は私自身が金正恩国務委員長と向き合い、日朝首脳会談を行わなければなりません。そしてこれを行う以上は拉致問題の解決に資する会談としなければならないと考えております」

 2日前の6月16日に日テレの「ウェークアップ!ぷらす」に出演して喋った内容とほぼ同じ繰返しとなっている。

 「安倍内閣で拉致問題を解決をしたい」という強い決意を実現するためには「最後は私自身が金正恩国務委員長と向き合い、日朝首脳会談を行わなければならない」

 但し「拉致問題の解決に資する会談としなければならない」と会談開催に条件を付けている。「資する」とは「役立つ」という意味だから、首脳会談開催条件は「拉致問題の解決に役立つ会談」のみに限定して、“拉致問題の解決に役立たない会談”は開いても意味はないからと除外の自己規制をかけている。

 一方で「安倍内閣で」と拉致解決に並々ならぬ強い決意を示し、その一方で、“拉致解決に役立たない日朝首脳会談”は開いても意味はないとする前者の強い決意に対する後者の自己規制は自己否定的な論理矛盾そのものを孕んでいる。

 なぜこのような論理矛盾を露出させているかと、拉致解決そのものよりも拉致解決を自己の外交成果とし、手柄として記憶と記録に供したい願望を優先させているからだろう。

 でなければ、如何なる条件もつけずに金正恩との日朝会談開催を漕ぎつけて、失敗を恐れずにその場所勝負の形で拉致解決の直接交渉を行い、解決に向けた何らかの糸口を探ろうとするはずだ。

 だが、解決のお膳立てができていない会談はお断りだといった他力本願な態度を取っている。

 安倍晋三が「拉致問題は安倍政権のうちに解決しなければならない問題だ。全ての被害者の家族がお子さんたちをしっかり抱きしめることができる日が来るまで私の使命は終わらない」と常々発言していることも、自己の外交成果・手柄を先に置いた名ゼリフということになる。

 あるいは常日頃から「拉致問題は安倍内閣の最重要課題であり、自分の責任で何としても拉致されているすべての国民を日本に取り戻して家族と会わせて解決する」との発言も同類に堕す。

 2018年6月12日シンガポールで開催の「米朝首脳会談」でトランプが金正恩に対して拉致解決の提起を行った際、金正恩は「拉致問題は解決済み」という態度は取らなかったとされているが、3日後の6月15日夜に放送された北朝鮮国営ピョンヤン・ラジオ放送が「日本は既に解決された拉致問題を引き続き持ち出し、自分たちの利益を得ようと画策している。国際社会が一致して歓迎している朝鮮半島の平和の気流を必死に阻もうとしている」(NHK NEWS WEB)と日本を批判、「拉致問題は解決済み」の態度を改めて示すことになった。

 安倍晋三が言っているように北朝鮮が拉致問題を完全解決すれば、小泉純一郎と金正日の間で2002年9月17日に締結された日朝平壌宣言に基づいて日本からの戦争賠償に代えた経済協力や無償資金協力等々を柱とした過去の清算を活用すれば、北朝鮮経済の建て直しに役立たせることができる。

 日本の資金を使った北朝鮮経済の建て直しと拉致解決の放置を天秤に掛けた場合、拉致解決放置の選択肢はあり得ず、北朝鮮経済建て直しの選択肢こそが北朝鮮の最大の国益に適うはずだが、その天秤を常識的に機能させていない理由は何なのだろうか。

 過去に「拉致問題は解決済み」の態度を一旦は引っ込めながら、それを蒸し返したのは北朝鮮が行っていたミサイル発射実験や核実験に対して日本が安保理非常任理事国として対北朝鮮制裁の主導的役割を演じていたことへの反発が発端となっていたはずだ。

 但しここに来て、トランプとの核廃棄に向けた協議がどのような形で着地点を迎えようとも、トランプからの拉致解決の提起は日本との拉致解決に向けた協議を開始する絶好の機会となり、交渉次第で核廃棄協議とは別に北朝鮮経済の建て直しの果実を僅かにでも手に入れることができる可能性は(核完全廃棄に応じれば、最大限の果実となって跳ね返ってくる)否定できないはずだが、「拉致問題は解決済み」の態度を改める気配を見せない。
 
 安倍晋三が今年9月総裁選で3選の栄誉に浴したとしても、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」の態度を取り続けた場合、安倍内閣の手による拉致の解決は望み薄めとなり、拉致問題を安倍政権の解決事項としていたことも、拉致被害者と家族との再会を自身の使命としていたことも、拉致問題を安倍内閣の最重要課題に位置づけていたことも、全て大言壮語となって、安倍晋三は総裁3選をフイにする失態を犯すことになって、下手をすると物笑いの対象になりかねない。

 米朝首脳会談が決まったのは韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が訪米、核・ミサイル実験の停止を提示する内容と米朝首脳会談を提案する金正恩の親書をトランプに渡し、トランプはその提案を受諾した2018年3月9日である。

 一方、金正恩は米朝首脳会談に備えて3月26日に北京を訪れて習近平と中朝首脳会談を開き、中国を後ろ盾にすることに成功している。

 それ以来、5月7、8の両日に大連市で2回目の中朝首脳会談を開き、6月12日の米朝首脳会談7日後の6月19日にも北京で習近平国家主席と3回目の会談を立て続けに行っている。

 最近、習近平中国と安倍政権は経済問題では関係改善が進んでいるが、軍事的には仮想敵国関係にあると言っていい。特に中国の軍事的利用を視野に入れた南シナ海進出に強硬に反対して、常々「法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の基礎である」ことを訴え、それは同時に中国批判となるが、各国を訪れてはそれらの首脳とその訴えの確認を交わしている。

 尖閣諸島に関してもお互いに自国の固有の領土だと対立し合っている。

 習近平としては日本の首相の中では格段に軍事色の強い安倍晋三は不都合な存在で、その3選を望んでいないはずだ。だが、森友学園・加計学園の政治スキャンダルにどうにか持ちこたえて、3選の勢いをどうにか失わずにいる。

 となると、安倍晋三に拉致解決の外交成果、あるいは手柄を与えた場合、3選は疎か、今後3年間、自身の外交能力に過剰な自信を持ち、軍事的に反中国姿勢を強めていく可能性は否定できず、少なくとも目障りな存在であり続けることになる。

 逆に例え3選を果たして今後3年間首相の座に就くことになったとしても、今がチャンスと見られている拉致解決に成功しなければ、安倍晋三の外交能力に対する評価を地に落とすことも可能となる。総裁選3選の目を潰すキッカケとならない保証はない。

 北朝鮮からしたら、拉致問題を解決すれば、日本の資金を活用した経済の立て直しのチャンスが出てくるにも関わらず、「拉致問題は解決済み」だとしてそのチャンスに飛びつかいない理由をあれやこれや考えると、どうも中国が安倍政権を倒すために北朝鮮に対して「拉致は解決済み」のブレーキを掛けているということではないかという考えに辿り着いた。


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