安倍晋三の統計不正関与の証明:首相秘書官は内閣の政策上の利害代弁者であり、首相の指示で動き、個人プレーは許されていない

2019-02-19 11:39:34 | 政治


 安倍晋三: 2019年2月12日衆院予算委対岡田克也

 安倍晋三の質問者の質問に答えずに、ヤジに長々と答弁した前代未聞の

 世界に例を見ない滑稽な醜態 

 先進国最悪の借金捻出の主役が自民党政権であることの

 図星を衝かれて、表面冷静、内心慌てたか


 2019年2月18日に厚労省の「毎日勤労統計」不正が安倍晋三の意志のもと行なわれたのかどうか、その政治関与を追及する集中審議が衆院予算委員会で行なわれた。ところがである、野党側の何も変わらない質問の繰り返しで、それに対してここのところ解明のカギを握る人物として浮上した統計不正当時の首相秘書官中江元哉は打ち返しやすい球を打ち返し合うテニスか卓球のラリーもどきの答弁で追及を打ち返して、埒が明かず、瀕死の安倍晋三に新型の治療装置をもう一個装着させてやって延命に手を貸すといった例の如くの結果のみに終わった。
 
 国会追及の経緯を簡単に纏めると、継のようになる。このカギ人物の前首相秘書官中江元哉が2015年の3月31日に官邸に訪ねてきた厚労省出身の内閣参事官から「毎月勤労統計」データ作成のサンプル企業を従来どおりの方式で全数入れ替えする場合、統計値が下がるということを聞き、同席していたのだろう、厚労省職員に経済の実態を適切にタイムリーに表すために改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を伝えた。その直後に厚労省は「毎月勤労統計の改善に関する検討会」の設置を決定、サンプル企業全数入れ替え方式から部分入れ替え方式に転換、アベノミクス核種経済統計が上振れを開始することになったが、この方式転換は秘密裏にされていたが、昨年の夏頃から統計値に対する疑念が浮上、国会での追及が始まった。

 先ず2019年2月15日の衆院予算委で国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎が追及した安倍晋三の前首相秘書官中江元哉がサンプル企業全数入れ替え方式から部分入れ替え方式に転換する発端の経緯を答弁している箇所を取り上げてみる。

 因みに奥野総一郎は東京大学法学部卒業し、その後郵政省(現総務省)に入省している。年齢は54歳。

 2019年2月15日 衆議院予算委員会

 奥野総一郎「中江(元哉)(財務省)関税局長に前首相秘書官の立場でお越し頂いております。伺いたいと思いますが、昨日も質疑がありました。3月にですね、中江秘書官のところに厚労省から説明があったと。宮野総括審議官と姉崎統計部長から説明があったということでありますが、具体的にはいつ、そしてどういうキッカケで、どういうだ說明があったのか、改めて伺いたいと思います」

 中江元哉「お答え申し上げます。2015年1月の毎月勤労統計の確報についてでございます。これは公表される前に当時官邸に来ておられた厚労省出身の参事官、内閣参事官から30人以上499人以下の調査対象事業所が入れ替わることから、新しい事業所と前の事業所、旧の事業所、そのギャップを調整するために過去3年間、具体的には2014、2013、2012だったと思いますが、そのデータが遡及的に改定されると。

 その結果、対前年比の符号がプラスからマイナスに変わる月が多く出るというようなお話を伺ったと、こういうことがございます。それでサンプルが入れ替わるという統計手法上の
理由によりまして賃金に関する既にそれまでに公表されていた数値が過去3年間に亘りまして大幅に修正されるということは分かりにくいことから、その内閣参事官と相談の上、厚労省から説明を受けたことでございます。

 具体的な日付は2015年の3月31日だったと思います。それで具体的な遣り取りについては、説明のときは4年前のことでありますので、詳しくは覚えておりませんが、その際、私からは厚労省の方々に賃金統計に関する基礎統計についてこれまで公表していた数値が過去に遡って大幅に変える理由等を尋ねたところ、全数入れ替え、サンプルを全部入れ替えるという方法を取っているためであるという回答でありました。

 そこで私の方から過去に遡って大幅に公表された数値が変わるようでは経済の実態がタイムリーに表せられないのではないかという観点から、どうしてそのような、サンプルを、全数入れ替えする、そういう方法を採用しているのかということを聞きました。また、ほかの統計に於いても同様に全数入れ替えという方法が取られているのかということを聞いた記憶がございます。

 また、他の統計は諸外国の事例などを見つつ、専門家の意見を聞くなど、経済の実態を適切に、先程申し上げましたようにタイムリーに表すために改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を伝えた記憶がございます。

 私と致しましては当然の反応をしたつもりであります。現にそのときの統計結果に対しましては有識者の方々から様々な指摘がなされたと承知しております。これらはやるときはすべて政策的な観点からのものであると考えております」

 奥野総一郎「4月3日は確報値の公表なんですね。3月31日に報告を受けたとありますが、もう一つ具体的な数値の說明があったのかということが一点。それから総理の答弁、今の話は、遡って変動がある、特に下がってしまうというのは分かりにくいという話なんですが、問題意識の中身として実態を適切に表すための改善ということなんですが、実態を適切に表してないと、要するに実態より賃金が、名目、あるいは、または実質賃金が低く現れているという、そういう認識も述べられたんでしょう。この問題意識ということについて」

 中江元哉「お答え申し上げます。先ずどういう資料で說明、数値を説明を受けたかということでございますが、詳しく覚えておりませんが、毎月勤労統計でございますが、それにつきましては毎月公表されておりますので、その毎月公表されている係数表で説明を受けたというふうに思います。

 もう一点の後者の方のご質問ですが、私は統計は実態を表す重要な数値と認識しておりまして、経済分析を行うに当たりまして実態をタイムリーに表す点が重要であると考えております。然るに思い出してみると、2015年当時の毎月勤労統計ではサンプルが全数入れ替わる。そのことによって3年前の統計が遡って大幅に変わることになるということを聞きました。

 私はこのことに対しまして実態をタイムリーに表すという観点から、専門家の意見を聞くなど改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を伝えたものでありまして、数値をどうこうすべきとか、統計の手法上、政府に都合のいいデータが出るように不適切な方法を取らせるといった意図に基づくものでは全くございません」

 奥野総一郎「もう一度か確認しますが、具体的な数値は見なかったということでよろしいでしょうか。過去の系列を見ながら、そこから下がるんだと言って、具体的な数値は見なかったということで宜しいのか。

 それから今のお話ですけど、実態をタイムリーに表していない、後日変動があっちゃあいかんという意味と、今のデータが正しくないんじゃないかというふうに言っておられますが、そうではないということをもう一回確認したいと思います」

 中江元哉「お答え致します。先ず後者の方の質問ですが、今のデーターが正しくないと、言うつもりは全くございません。それから、そのときの資料ですが、ちょっと詳細には覚えておりません。毎月公表されている数値で、今度の月はこういう数字になると、ただ3年に1回というサンプルを入れ替えるので、これまで出されていた数値が変わりますということで、その数値を前の数値だけだったか、新しい数値だったかっていう、ちょっと、すみません、そこは口頭でのご說明だったか、資料だったのかはちょっと記憶にございません」

 奥野総一郎「昨日でしたかね、答弁の中で大きく変わるから報告を受けたのだと、確か官房長官だったか、答弁があったと思うんですね。それで問題意識を持たれたんだということ。もう1回聞かれて認識を持たれたのかということ。

 そしてその上でですね、総理に報告をしたかということ。これ4月3日になると、(「毎月勤労統計」が公表されて)オープンになるわけですね。オープンになると、実はマイナスだったと。例年の実数が、マイナス幅が広がったと。こういうことはオープンになるわけですけど、重大なことじゃないですか。

 総理に報告をいつされたかということをお伺いたいと思います」
 
 中江元哉「お答え申し上げます。先ず1点目のご質問の数値が大きく変わるということは3月31日には分かったのかということですが、先程ご答弁申し上げましたように当時の内閣参事官から過去3年間のデータの遡及的に改定されるようですと。その結果、改善前の数値がプラスからマイナスに変わる月が多く出るようですと、いうお話をそのとき聞いて、それで普段は毎月勤労統計については内閣参事官からの報告だけでありましたが、3年に1回サンプル替えして、過去のデータも遡及的に改定するということで、なおかつ大幅修正ということで、分かりにくいから、厚労省の方から直接説明を受けたということでございます。

 それから2点目の総理には報告をしたのかということにつきましては、この厚労省との、そもそも毎月勤労統計は、まあ、1回か2回出てくるわけですが、これは総理にはいちいち結果の報告はしておりませんでした。

 また、厚労省との遣り取りについてはサンプル替えの影響という統計の技術的なことでもある(し)、総理にはご報告はしておりません、当時。それで毎勤統計については国会では何度か聞かれたこともありまして、その年の9月に賃金について国会でご質問がございまして、2015年のサンプル替えの影響があったと、毎勤統計については総理答弁として準備をしておりましたので、その勉強会の際にご説明をしたということでございます」

 焦点になっているのは統計不正は安倍晋三の意向を受けたアベノミクス統計の見栄えを良くするための、いわば安倍晋三関与の偽装だったのか、その発端が前首相秘書官中江元哉の「統計の実態をタイムリーに表すべき」とする問題意識の厚労省への提言だったのか、そうではないのかである。

 当然、奥野総一郎はこの点に絞って追及すべきだった。であるのに、「問題意識の中身として実態を適切に表すための改善ということなんですが」などと、聞いても意味はない「問題意識の中身」などを尋ねている。

 中江元哉は「経済分析を行うに当たりまして実態をタイムリーに表す点が重要であると考え」、厚労省職員に対してその「観点から、専門家の意見を聞くなど改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を伝えた」

 経済分析上、「実態をタイムリーに表す点が重要」であることを自身の考えとしていたとしても、いくら首相秘書官でも、個人の資格で自分の望むようにしろと厚労省に要求する資格も権限も持たない。そのような実態にするのが統計作成上の理想だと自身が考えたなら、安倍晋三に進言、安倍晋三自身が他とも諮って、そうすべきだとの結論を得て、「じゃあ、君自身から厚労省へと働きかけてくれないか」と要請されて初めて、同様なことは他の官庁に対しても必要なことだが、安倍内閣の政策に関する行動を取る資格と権限が生じる。いわば首相秘書官の肩書を背負っていたとしても、安倍内閣の政策に関して個人として行動するどのような資格も権限も持たないはずだ。いわば首相秘書官は内閣の政策に関しての個人プレーは許されていない。

 大体が首相秘書官は首相の政策上の利害の代弁者であって、首相秘書官として行動する間は、自身の利害の代弁者となることは許されない。首相の政策上の利害の代弁者となるについては、首相の指示で動かなければならない。首相秘書官が首相以外の誰の利害を代弁しているというのか。首相秘書官としての資格と権限は首相の指示にのみ所属する。

 ところが安倍晋三は関与の疑いをかけられた追及を受けると、「私から何ら指示をしていない。我々が統計をいじって政策をよく見せようとしたわけでは全くない」と似たような答弁を振り撒いている。イタチの最後っ屁と思った方がいい。

 中江元哉が安倍晋三の指示で動いていなければならない以上、厚労省から説明を受けた詳細を安倍晋三に報告する義務が生じる。統計を安倍晋三好みに変える不正は先ずは厚労省を攻略、忖度させなければならない。そのために動いた2015年3月31日の"総理の意向"("総理の威光"?)を背景とした中江元哉の首相官邸での厚労省職員接見だったはずだ。

 この証明は2019年2月18日の衆院予算委での立憲民主党・無所属フォーラム逢坂誠二の質疑からも窺うことができる。逢坂誠二は北海道大学薬学部卒の59歳。

 2019年2月18日 衆議院予算委員会

 逢坂誠二「次に中江さんにお聞きしたいんですけれども、中身の詳細聞きたいんですが、その前にこの用語がどうも私わからないんです。『問題意識を伝える』、要するにですね、この毎月勤労統計、『過去に遡って数値が変わるようでは経済の実態がタイムリーに現れないんだ』と。だから、『他の統計や諸外国の事例などを見つけ、専門家の意見も聞くなど、改善のための点について考えるべきだという問題意識を伝えた』

 これどういう意味ですか。『問題意識を伝える』っていうのは」

 中江元哉「お答え申し上げます。まさにそういうことを、経済の実態を適切にタイムリーに表すための改善の可能性について考えるべきではないかという、そういうふうに私は問題意識を持ちました。それをその場でご説明を、ご説明に来られた厚労省の方にお話ししたということでございます」

 逢坂誠二「これは問題意識を伝えるっていうことは自分の考えを表明したってことなんですか。それとも自分の感想なんですか。これはどういうことなんですか、問題意識を伝えた。これ政府の方、国会答弁でみーんな口を揃えて言葉を合わせたように問題意識を伝えたって言ってる。官房長官も、問題意識を伝えたって言ってるんです。示し合わせた答弁のように思えてならない。なかなか普段使わない言葉です。問題意識を伝えたって。

 (「使う」とヤジが入ったのか)いやいや、こういう場面では使わない。『そう話した』とか、『その考えを伝えた』とか、『問題意識を伝えた』。官房長官も同じ言葉を使う。中江さんも、同じ言葉を使う。この意味を具体的に教えていただきたい」

 中江元哉「お答え申し上げます。このときに私が厚労省に伝えた、まあ、先程から申し上げました。改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を私が持ちまして、秘書官である私個人としての考えということで、この問題意識を厚労省の方にお話し申し上げたということでございます。官房長官のご答弁は、国会でのご答弁は官邸の中のことをお調べになられて、私がそのようなことでも質問しているということをお話しされたということで、別に言葉を示し合わせたとか、そういうことはありませんが、最近お話しておりません」

 奥野総一郎とほぼ同じ追及の繰り返しで、答弁もほぼ同じものを手に入れる堂々巡りを演じている。
 
 逢坂誠二は中江元哉が2015年の3月31日に首相官邸で厚労省職員に「問題意識」を伝えたことを「自分の考えを表明したってことなんですか。それとも自分の感想なんですか」などとトンチンカンなことを聞いている。

 首相秘書官が厚労省職員を首相官邸に呼びつけて、首相秘書官の資格と権限によってではなく、個人の資格と権限で、統計作成の方法次第では統計値自体に影響が出てきて、当然、安倍晋三の政策にも影響を与えることになり、アベノミクスに対する国民の見方・評価への影響も左右することになる改善点を問題意識として伝えるどのような資格と権限があるというのだろうか。

 この点を追及しなければならなかったはずだが、「これ政府の方、国会答弁でみーんな口を揃えて言葉を合わせたように問題意識を伝えたって言ってる。官房長官も、問題意識を伝えたって言ってるんです。示し合わせた答弁のように思えてならない。なかなか普段使わない言葉です。問題意識を伝えたって」などと、大真面目に余分なエネルギーを費やしている。

 首相秘書官は首相の指示で動くからこそ、天下の首相秘書官としての資格と権限を効力として備え得る。その資格と権限を首相の指示とは無関係に個人プレーとして行使した場合、越権行為も甚だしいことになる。

 上に3枚の画像を載せておいたが、NHKの国会中継録画アイテムから逢坂誠二が質問している間の参考人席に待機している中江元哉の様子をテレビ画面から直接デジカメで撮影したものである。撮影デレクターが、「メチャ緊張している」と気づいて、参考人室に向けているカメラの映像を頻繁に取り入れたのかどうかは分からないが、その様子を何回も映し出していた。答弁はごくごく落ち着いた様子で行っていたが、参考人待機席では額に横ジワをつくり、眉毛の間に小さな縦ジワまが入る程に眉間を寄せている。緊張しているときは額や眉間に力が入って、悲しげな表情となったり、しょんぼりとした表情を見せることになると言われているが、ハンパではない緊張した顔になっている。

 この日の番組を録画しているなら、確かめて頂きたい。

 首相秘書官まで務め、国会答弁も何回か経験している、2018年時点で58歳とネットでは紹介されている、大の大人の東大卒が後ろ暗いところは何もない、指摘されるような疑惑を何も抱えていない、清廉潔白の身だと言うなら、こうまで緊張することはない。

 内心の不安状況を映し出している表情自体が安倍晋三の関与を浮き彫りにしている何よりの証明、動かぬ証拠となる。



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