森友学園疑惑:国のゴミ撤去・処理費用の見積額8億余が如何にいい加減な積算だったかが理解できる毎日記事

2017-03-23 10:11:06 | 政治

 財務省近畿財務局(大阪市)は大阪府豊中市野田町に保有する8770平方メートル・不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を、森友学園小学校建設工事の過程で土中廃棄物(家庭ごみや廃材など)が出てきたとの報告を受けて、敷地全体の廃棄量の見積もりを国土交通省大阪航空局(大阪市)に依頼、国土交通省大阪航空局は建設敷地5190平方メートルのうち杭を打つ場所は9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでを対象に調査、ゴミ混入率47.1%の1万9500トン、ダンプカー4000台分と推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もって、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から引いた約1億3400万で森友学園に格安で売却した。

 あまりにも格安な売却価格は当然、国土交通省大阪航空局が見積もった土中廃棄物がゴミ混入率47.1%の1万9500トン、ダンプカー4000台分も果たして存在していたのかということと、そして8億1900万円と算定したその撤去・処理費用が果たして妥当な見積り額なのかが問題となる。

 特に土中廃棄物の撤去・処理費用は一般的には複数の第三者に依頼して見積もらせ、妥当な工事方法で最も安価な見積もリを採用するのだが、一般的に反して国土交通省大阪航空局が国対国の関係で見積もった点にマスコミも疑問符をつけるニュアンスで伝えた。

 野党も国会で以上の2点を集中的に追及した。後者の点については財務省理財局長の佐川 宣寿(ぶひさ・東大卒)が「小学校の開校が迫っていて、工事を早く進めなければいけないという話があったため、国土交通省大阪航空局が見積もることになった」といった趣旨の答弁をしていた。

 3月1日の参院予算委員会で佐川宣寿は見積もりの知見を問われると、「大阪航空局の職員は公共事業の仕事を通して、国交省全体の知見を蓄積している」と述べている。

 国交相の石井一も、「ゴミを処分する費用、産廃として処分する費用なんかはやっぱり外部にヒヤリングして用いたりしていますよ。ただゴミを掘り返しをして、それを運搬して処分するということですから、掘り返して運搬する、まさに公共工事そのものでございますから、土砂の運搬、後同じです。処分はこれは産廃として処分して廃棄するということでございますから、ゴミの処分、これまでの事例はあるかどうか分かりませんけども、中身としては公共工事の色んな、そのパーツパーツの組み合わせで、今回の見積もりはできるということでございます」と、佐川 宣寿の答弁を擁護している。

 要するに国土交通省大阪航空局の土中廃棄物量の積算も、その撤去・処理費用の積算も外部(=第三者)の積算に立ち会って知り得たパーツパーツの組み合わせによる土木工事の知見や第三者へのヒヤリング等を用いて行ったのだから、できないことではなかったと正当化している。

 だが、工事方法によって撤去・処理費用は異なってくる。どのような工事方法を用いた積算なのか、参考人として国会に出席していた国土交通省航空局長の佐藤善信も財務省理財局長の佐川宣寿も一言も触れていないし、野党もこの点を追及していない。

 杭打ちにしても、様々な工事方法があるが、当該国有地は元沼で、家庭ゴミが大量に不法投棄されていたと言っているが、それがテレビや洗濯機だったとしても、現在使われている一般的な方法は先端を尖らせた直径1メートル前後の螺旋状のスパイラルオーガ(回転式ボーリング用具)を取り付けた重機で上から圧力を加えて回転させて地面を掘削していくと、鉄錐で鉄板に穴を開けていくように簡単に貫通させていくことができるから、少しぐらいの土中廃棄物であったとしても前以て掘削して廃棄物を除いてから、杭を打つ必要は生じない。

 だが、積算は杭を打つ場所は9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでの土中廃棄物をゴミ混入率47.1%の1万9500トン、ダンプカー4000台分と積算、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もったのだから、当然、前以て掘削して廃棄物を取り除く工事方法を採用したことになる。

 と言うことは、前以て掘削して取り除かなければならない程の大量且つスパイラルオーガで貫通できない程の堅固な土中廃棄物とその量を想定し、そのような想定のもとに可能とする杭打ち方法を採用して撤去・処理費用を積算したことになる。

 掘削を必要とするかしないかで、工事単価は大違いとなる。

 小川敏夫は2017年3月13日の参議院予算委員会でこの点を追及したが、どちらかに答えさせるまでに徹底させることができなかった。   

 小川敏夫「土間コンみたいなコンクリートがあれば、杭を打つのに支障があるかもしれませんよ。でも、ごみくずがあったり板切れがあったり、そんなものがあって杭が入っていかないですか。
 この学校の工事を見ますと、要するに現場設置杭なんですよ。つまり、これ、現場設置杭というのは、要するに円筒状の穴をぐりぐりぐりぐりぐりぐり掘削機で掘っていって、それで掘っている間の、掘ったところの残土はどんどんどんどん排出して、深さまで穴を空けたら、今度はコンクリートを注入して、くいを打つんですよ。

 現に、これ、ごみが埋まったまま、杭を打っているじゃないですか。杭を打つことについて何か支障があるんですか、この地中に生活ごみが埋まっていると。答えてください」

 佐川宣寿「お答え申し上げます。

 今の御質問は、基本的にはこういうごみを撤去する必要があるのかという御質問かと思います。本件土地につきましては、今申しましたように、もちろん様々な心理的なリスクあるいは将来変化するリスク等もございますし、それ以外に、新たに地下埋設物が判明していたことでございますが、更に深いところ、例えばくいは9.9(メートル)ですけど、ほかは3.8(メートル)ということになってございますが、更に深いところでどのような埋設物が今後出てくるか分からないということもございますし、先ほど申しましたように、以前に分かっていた部分では土壌汚染等もあったわけでございます。

 そういうわけで、私ども国としましては、本件土地の売買契約については、小学校が建設されるということを前提にいたしまして、隠れた瑕疵も含め一切の瑕疵につきまして売主である国の責任を免除するという特約を付すことも勘案しながら、この撤去費用について積算したわけでございます」

 小川敏夫「国民をばかにするのもいいかげんにしなさい。土壌汚染はもう全て解決済みでしょう。この8億円の話に土壌汚染は関係ないでしょう。既にもう先行して全部残土を交換して、終わっているんだから。関係ないこと言うんじゃないよ。

 私が聞いているのは、小学校の校舎を建てる建築に支障がありますかと聞いているんです。そのことについて支障があるのかないのか、それだけ答えてください」

 佐川宣寿「その点につきましては、先ほどの国土交通大臣の答弁のとおりだというふうに考えてございます」

 小川敏夫「じゃ、この現場で生活ごみがあったから、くいが打てないんですか」

 佐川宣寿「後ほど国土交通省からもお答えしますが、いずれにしても、ごみがあったからといって全く打てないというわけではないと思います。

 佐藤善信(国土交通省航空局長)「お答え申し上げます。

 先程も申し上げましたが、本件の見積りというものは、本件土地の売買契約におきまして、隠れた瑕疵も含め一切の瑕疵について売主である国の責任を免除する特約が付されることを勘案して、土地の価値を算定するに当たって想定しておくべき地下埋設物の撤去処分費用を見積もったものでございます。

 深さにつきましては、くいが打たれる箇所の深さを9.9メートル、その他の箇所の深さは3.8メートルと想定をいたしましたですけれども、この9.9メートルにつきましては工事関係者からの聞き取り等に基づくものであり、3.8メートルは工事関係者による試掘結果に基づいて想定をしているところでございます」

 小川敏夫が「円筒状の穴をぐりぐりぐりぐりぐりぐり掘削機で掘っていって、それで掘っている間の、掘ったところの残土はどんどんどんどん排出して、深さまで穴を空けたら、今度はコンクリートを注入して、くいを打つんですよ」と言っていることは、スパイラルオーガで10メートルとか穿った穴にミルクと称する水を多くしてトロトロにしたモルタルを注入、その中に腐食止めの塗料を塗った芯となるH鋼を投入して、時間経過後に固形化したモルタルも腐食止めの役目を果たすことになって杭とすることができる工事方法のことである。

 スパイラルオーガは螺旋状になっているから、地面を掘っていくと、木工錐で板に穴を開けるとき、切り屑が板の穴の外に排出されるように掘られた土が螺旋に沿って順次穴の外に排出される。

 政府参考人の佐川宣寿は杭は「ごみがあったからといって全く打てないというわけではないと思います」と答えているが、言っていることは打てない場合もあるという意味となる。

 要するに杭を打つ全ての場所は前以て掘削して廃棄物を取り除いてからでないと杭を打つことはできないと明快に答を出したわけでもないし、逆に掘削せずに廃棄物はそのままにして杭を打つことができると答えたわけでもない。

 この曖昧さは杭を打つ場所は9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでを対象に調査、ゴミ混入率47.1%の1万9500トン、ダンプカー4000台分と推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と積算した手前、廃棄物如何に関わらず杭は打てますとも、打てませんとも言うことができない事情によるものであろう。

 当然、小川敏夫はこの点をはっきりさせるべきだったが、佐川宣寿と佐藤善信に廃棄物量とその撤去・処理費用の積算の経緯と正当性を述べるだけの答弁を繰返させるだけで、何一つ突破口を切り開くことができなかった。

 前々から土中廃棄物の撤去・処理と杭打ちはどのような工事方法を採用することを前提にそれぞれが積算されたのか知りたいと思っていたが、2017年3月21日付の「毎日新聞」記事、《森友学園 小学校用地ごみ 地中3.8m撤去せず》を読んで、実際の建築ではどのような工事方法を採用していたか、大まかに理解できただけではなく、国土交通省大阪航空局の土中廃棄物量とその撤去・処理費用の見積額8億1900万円が如何にいい加減な積算だったかが理解できる。    

 記事は森友学園に売却する国有地のゴミの埋設推定量の計算とその撤去・処分費用の積算、その金額8億円余を不動産鑑定評価額から差し引いて1億3400万円で学園に売却した経緯を説明しつつ、〈ごみ以外に建物建設の障害となるコンクリートの破片などの撤去や土壌汚染の処理は、校舎を建設した業者とは別の建設会社が2015年に終えて〉いたこと、〈その費用は既に国から支出されている〉ことを解説、その上で複数の工事関係者に取材して分かったこととして、〈学園側が国の想定する分量のごみを撤去〉せずに、〈校舎建設に伴う基礎工事や杭打ちの際に出たごみしか処理していなかった。〉と書き連ねている。

 要するに森友学園が開設を目指していた小学校の建物は木造一部3階建てだから、基礎コンクリートは高さ1メートル程度のもので、1メートルを掘削したときに出たゴミを処理、さらに掘削した1メートル下の場所からの杭打ちはさらに地面から9.9メートルまで前以て掘削して土中廃棄物を処分するという工事方法は採用せずにそのままにして、具体的にはどのような杭打ち工事なのか分からないが、いずれにしても基礎コンクリート打設のために1メートル程度掘削したその底部からスパイラルオーガで必要深度まで穴を穿ち、土と一緒に排出されるゴミを処理したのみであった。

 このことだけで大した廃棄物量ではないことが理解できる。大したことはない量であることを予定調和としていたから、掘削しないままに杭を打つことにしたはずだ。

 大したことのない量であることが工事の過程で判明したとすると、今度は国の見積りが根拠を失う矛盾が生じる。

 記事は、〈今回の売買契約では、学園がごみをどの程度撤去すべきかの規定はなく、麻生太郎財務相は国会審議で「撤去されたかは契約上、確認する必要はない」と答弁した。〉と書いているが、国は杭を打つ場所は9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでを対象にゴミ混入率47.1%の1万9500トン、ダンプカー4000台分と土中廃棄物を推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と積算している以上、それがどのような工事方法に基づいているのか、森友学園側と打ち合わせしていなければならないはずだが、そのような打ち合わせもせずに積算とは異なる工事方法を森友学園側に採用させていた矛盾が浮かんでくる。

 もしも森友学園側から記事が書いているような工事方法を採用しますという申し出があったとしたら、逆に杭を打つ場所は9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでを範囲として廃棄物量を調査することも、廃棄量に応じた撤去・処理費用を8億1900万円と見積もることも必要ではなくなり、そのように見積もったことの矛盾が出てくる。

 このような矛盾が出てくること自体がいい加減な積算であり、いい加減な価格の売却と見なければならない。

 いずれにしても工事方法に基づかない工事単価の積算や見積りは存在しないのだから、財務省や国交省に対してどのような工事方法に基づいた全ての積算だったのかを明らかにさせる必要がある。

 この点に不明朗な売却だったかどうかがかかっている。もしそのような売却であったなら、次の段階としてその不明朗さの原因が何なのか、政治家の介入があったのかどうかに解明の軸足を移すことができる。


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