蓮舫の都知事選立候補見送りによって先見の明が試されることになる

2016-06-20 10:43:11 | 政治

 東京都知事の舛添要一が自身の政治資金私的流用疑惑の説明責任を果たし切れずに追い込まれる形で6月21日に自ら辞任した。舛添辞任に伴う都知事選挙も7月14日告示、7月31日投票開票と決まった。

 国際都市でもあり、日本の首都東京の次の知事は誰になるのか注目が集まった。誰が手を上げるのか。2012年12月16日投開票の都知事選挙では猪瀬直樹を推薦して当選させたものの、黒いカネの問題で2013年12月24日に辞任、2014年2月9日投開票の都知事選の舛添要一の場合は野党に下った自民党に見切りをつけて離党、除名処分に付した関係から公明、自民東京都連推薦の形を取ったが、安倍晋三や幹事長の石破茂、地元選出で当時文科相だった下村博文、公明党代表の山口那津男がそれぞれ舛添の応援に駆けつけて自民党支持さながらの熱い言葉で都民に舛添の当選を語りかけ、成功したものの、政治資金私的流用問題で任期途中で辞任、二人続けて欠陥品だった眼鏡違いを犯した手前、率先して候補者擁立の動きを見せることができない事情にあるという。

 都民の方も自公が押した候補者を当選させて失敗した自分たちの人間を見る目のなさを反省、反省が自公系候補者を冷ややかに見る目を育み、野党候補に傾斜する反動を生む可能性も生じる。

 当然、これまでの知事選が知名度争いだったことから、知名度さえありさえすれば、野党民進党にも民進党知事を誕生させるチャンスが生じる。

 それとも民進党に対する都民・国民のアレルギーを考慮して党を離れて無所属で立候補するのだろうか。民進党知事を誕生させた場合のその波及効果を考えると、党籍を外すべきではないだろう。

 その利点は何しろ日本の首都大東京の知事である。当選させることができたなら、テレビに映り、新聞に名前が載ってその行動が伝えられるとき、その思いさえあれば工夫一つで民進党というカードを胸のポケットにほんの頭だけ覗かせて、それが何のカードなのか読み取れる状態で都民・国民の前に立つことができる。

 政治はチームワークである。都知事と都の官僚・役人、そしてそこに民進党が必要に応じて自らの政策を反映させて、都の政治として同化させる。その共同作業であって、何かしらの政治スキャンダルさえ起こさず、官僚・役人を使いこなすことができさえすれば、最低限、無難に任期を務めることができる。

 もし都民に歓迎される知事となることができたなら、その歓迎は国民にもある程度は伝わる。民進党の党勢低迷を一定程度回復させる効果は期待できないはずはない。

 何よりも重要なのは2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えた主催都市の知事となることができるということである。オリンピック関連でマスコミに露出する機会が多くなり、都知事としての存在を植え付ける機会に変えることもできる。

 再選できたなら、東京オリ・パラ開催中の競技の合間に、あるいは競技を伝えるマスコミ報道に主催都市の知事として登場することになる。金・銀・銅メダルを取った選手を都庁に招いて祝福することで自身を露出させることもできる。

 民進党にとって自党系の候補者を当選させる有利な状況と党勢低迷を回復させるまたとない機会に恵まれたのである。

 一時期、民進党内で参議院東京選挙区選出の民主党代表代行蓮舫の立候補を期待する声が上がった。マスコミ報道によると、蓮舫は「(都知事選出馬に期待する)仲間の声は大事だ」と、その声を尊重する姿勢を一度は見せたらしい。

 6月18日、蓮舫は幹事長枝野幸男に会い、都知事選挙への立候補に慎重な考えを伝えたという。その考え内容を東京都内で開かれた会合で述べている。

 蓮舫「次の世代に可能性や未来を残したいというのが、私の政治家としての原点だ。それは国政でしかできない私の志だ。私は自分の志に素直でいたい」(NHK NEWS WEB) 

 国政に専念しますとの宣言である。

 蓮舫はまた民進党代表の座を狙っていて、参院選後の9月末に予定される党代表選への意欲を滲ませているとも言われている。

 いくら次の世代に可能性や未来を残すことが政治家としての原点だとしても、党代表になることができたからと、それだけで原点の実現はできない。政権を取らないことには実現させることはできないはずだ。

 実現の唯一絶対条件は政権奪取となる。

 現在の民進党の党勢低迷と岡田代表の不人気(低い政党支持率と民主党時代に執行部を担っていた、いわば民主党政権を失敗させた戦犯の一人と見做されていることに引き続く岡田代表の不人気は正比例の関係にあるはずだ。)、対して低い身長に30センチもの踵を取り付けて底上げしているような安倍晋三の人気、こういった環境下で党代表になれただけで、政権獲得に一気に進めることができるだろうか。

 蓮舫は現在48歳。オリンピックでのマスコミ報道への自身の露出を人気と政治能力アピールのために最大限利用するためにオリンピック開催年を含む2期8年を務めると、56歳。その間、東京都知事として外から民進党を援護、党勢回復の立役者となることができ、都政の活性化を連動させてその政治的能力の高さを認知させることができたなら、それからでも国政に戻って、代表の座を狙ったとしても、遅くはない年齢であり、却って円熟した年齢と見られ、これらの成果によって一目置かれる存在となっていたとしてもおかしくはない。

 このことは民進党に於ける自身の地位の確立を意味し、同時に都政ばかりか、国政に於いても国民の目に実績ある政治家として映る政治家像の確立を意味する。

 自身をそのような政治的状況下に位置させることこそが政権奪取の機会獲得の近道となる場合もある。

 その8年の間のより短い期間内に現在の低迷した党勢で民進党が政権を奪取できる確かな目算があるならいい。きっと目算があるのだろう。

 いずれにしても、蓮舫は都知事となることが政権奪取の機会獲得の近道とならないと見ていることになる。つまり機会獲得の賭けに出る意志もなかった。

 蓮舫の先見の明が試されることになる。


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