安倍晋三のNHK「日曜討論」サンゴ発言は必ずしも間違っていない 不都合な事実は隠す情報隠蔽があるのみ 

2019-03-04 11:48:04 | 政治


   2019年7月28日任期満了実施参院選で

   安倍自民党を大敗に追いつめれば

   政権運営が行き詰まり 

   2019年10月1日の消費税10%への増税を

   断念させる可能性が生じる


 ――不都合は表に出さない情報隠蔽をこそ問題とし、絶対主義者に陥っているゆえの謙虚さのカケラもないことを知るべし――

 安倍晋三の問題となった沖縄「サンゴ」発言は今年最初の2019年1月6日NHK「日曜討論」9党首インタビュー〈2019年の政治はどう動く?〉で飛び出した。

 伊藤雅之キャスター「アメリカ軍の沖縄のですね、アメリカ軍の普天間基地の移設をめぐる問題について伺います。先月から埋め立ての工事、名護市で土砂の投入も始まったということです。政府と沖縄県の対立が続いている状況ですが、この問題についてですね、今後のスタンス、また沖縄県民の理解、どのように見ていますか」

 安倍晋三「先ず誤解を解かなければいけないんですが、あの、日本国民の皆さんもですね、全く新しく辺野古に基地を作ることを進めているというふうに思ってる方が多いと思いますが、先ず市街地の真ん中にある、世界でも危険な基地と言われている普天間を返還するためにどうしたらいいのかということをずっと考えてきた。その中で普天間の返還を行うためには代替の基地である辺野古に基地を作りますよ、しかしその代わり世界で最も危険と言われている普天間基地は返還されるということでありまして、この計画を今進めています。

 民主党政権時代にも最低でも県外という宣言をしましたが、結局、どこにも持って行くとかできずに辺野古に移設をするということが決まった。今、その計画に則って作業を進めているんですが、さらに付け加えますと、移設するに当たって普天間の機能のうち、三つあったんですが、一つは空中給油機になりますが、15機、全て岩国に移設されました。18年後、そのことを行うことができた訳であります。

 また、緊急時の受け入れ機能というのもあったんですが、九州の自衛隊の基地に移転が決定されました。さらにはオスプレイもですね、訓練は本土移転を推進しておりますし、整備は木更津て実施しております。

 このように機能を相当縮小して普天間(辺野古の間違い)に持っていくということ。さらにはこのことによってですね、今は市街地の真ん中にありますから、防音の措置をしなければいけない個数がですね、世帯が1万数千もある。これが辺野古に移れば、ゼロになっていくということもご理解して頂きたいと思います。

 今、土砂が投入されている映像がありましたが、土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、これを移しております。また絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂を浚ってですね、これをしっかりと別の浜に移していくという環境の負担をなるべく抑える努力もしながら行なっているということであります。

 勿論、沖縄の皆さんの気持に寄り添っていくとことも大切ですし、理解を得るようですね、さらに努力をしていきたいと思っております」

 安倍晋三のこの発言に対して玉城デニー沖縄県知事が翌1月7日、自身のツイッターに「安倍総理...。それは誰からのレクチャーでしょうか。現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」投稿した。さらに安倍晋三のこの「サンゴ」発言が事実誤認であるにも関わらず、キャスターの伊藤雅之が事実誤認の指摘も批判もないままに流した、結果、多くの視聴者が非事実を事実としたのではないか、いわば自分達の中で事実と解釈するに至ったのではないかといった趣旨の批判がNHKに殺到。NHKは1月10日の定例会見で「報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送している。番組内での政治家の発言についてNHKとしてお答えする立場にはございません」と釈明に追われている。

 この安倍晋三の「サンゴ」発言を問題視した野党の最近の国会質疑を二つ見てみる。

 2019年2月20日衆議院予算委員会

 本多平直「例えばサンゴの問題も、総理、あそこのサンゴは移してるということで、川内議員とも議論しました。言い方がね、全部、あそこのサンゴを移していると取られる言い方を総理、されてたんじゃないかなと思うんですよね。だから、総理が全体をバッーと言い切るみたいな言い方で、多くの行政の方も後で総理の答弁と合わせる説明をしなきゃいけなかったり、あのー、国民の側も、誤解をする方が出ると。

 ですから、サンゴをまだ移していない方がまだ多いわけですよ。あの、7万4千のうちの一群体だけ移しただけなんですよ。あそこという言い方も、たくさんある工事のある地域のどこかで、まあ、その說明が違うわけです。

 総理、あのときの言い方はちょっとね、ちょっと丁寧に説明すれば良かったということだけ、言って頂けないですか」

 委員長野田聖子「岩屋防衛大臣」

 岩屋毅「先に私の方から事実関係だけを。現在埋め立てを進めているキャンプシュワブの南側の、辺野古側とも言っておりますが、そこにおけるサンゴについては、護岸で閉め切り、周囲と隔離されると、その生息に影響が生じるためにですね、既に移植をしたところです。

 総理は、その辺野古側の工事については、あのー、サンゴはもう移植をしているという、ことを仰ったんで、ご認識は間違っていないというふうに思っております。北側には、先生、仰ったように7万4千群体ございまして、これ全部、移植する予定でございまして、先ず3万9千群体を沖縄県知事に対して移植の許可申請をしていますが、不許可と、今なっておりまして、残念ながら、移植はまだ済んでおりません」

 安倍晋三「なぜサンゴを移植しなければいけないか、ということについてはですね・・・、(本多平直が何か抗議をする)ついてはですね、いわばそういう遣り取りですから、NHKの中の遣り取りについて、どういう考え方で私がお話をさせて頂いたか、ということでございます。南側海域全体についてですね、周囲の海域に影響を与えないように埋め立て海域を全て護岸で閉め切った。閉め切ったら、当然、閉め切った段階ではサンゴは大きな影響が出るから、それはサンゴは移植しなければいけないということであります。

 なお、北側はですね、まだ閉め切ってはいないわけですから、閉め切っていない段階ではサンゴに影響は出ていない。しかし閉め切ればですね、当然、サンゴを移植しなければならないということになります。で、この土砂が入っている、要するに北側と・・・(本多平直「言い方が間違っている」)言い方でですね、あのー、おー、私の說明は常に十分だというウソを申し上げるつもりは全くありませんが、NHKの中の遣り取り、短いやり取りの中でですね、こう申し上げたことについては私は間違ったことを決して申し上げているわけではありませんし、その遣り取り、遣り取り、(ヤジ)その遣り取りの中でですね、『では、こちら側は、北側はどうなんですか』ということになればですね(NHKの司会者がこのように聞いてこれば)、北側は、当然、それはサンゴは移植しますが、閉め切る前にはちゃんとやらせていただきますよということをお話をさせて頂くわけでございますが、少ない遣り取り、遣り取りはそれで終わっているわけでございますので、私は別に、その、誤解を、何か与えるような言い方をですね、言うことでございます(ママ)。

 まあ、本田委員の指摘、本田委員の考え方としてはですね、それは、あのー、少し、もう少し詳しく説明しろよと、そういうお気持なんだろうと、そのお気持は分からないわけでは、勿論、ありませんが、しかし日曜日の、その討論会の中の、討論会と言っても、私とキャスターだけだったんですが、その中での遣り取り どんどん話題が移ってまいりますから、私は別に他意があってそう申し上げたわけではなくて、基本的には事実に基づいて申し上げているということでございます」

 本多平直「まあ、あのー、言い方をもっと丁寧にして頂きたいということを私は指摘をしております」

 辺野古基地建設が工事として成り立つのかの視点からの質問に移る。

 

 2019年2月28日衆議院予算委員会 

 川内博史「最後に辺野古のサンゴのことをお聞きします。この前岩屋大臣がですね、総理があそことおっしゃられたところにも、ところにはですよ、ちっちゃな子供のサンゴが群体数は分からないけど、あるということをお認めになられました。土砂を投入してるところに。

 子どものサンゴです。そこに土砂を投入している。で、総理がNHKでご発言をされたわけですけれども、私はですね。発言を訂正されるべきだ、というふうに思います。沖縄の県民投票の結果も出たし、県民に寄り添っていくとおっしゃるわけですから、やっぱり訂正されるところはきちっと訂正されるいうことが大事だというふうに思います。如何でしょうか」

 安倍晋三「あのー、今日は折角ご質問頂くということになっておりましたので、私も一杯勉強して参りましたので、今まで何を言われていたかっていうと、いちいちお話をさせて頂きたいと思いますが、(原稿読み)普天間飛行場の全面返還に向けて辺野古への移設を進めておりますが、移設作業に当たっては予め周辺の自然環境に十分配慮して、約5年間に亘る環境影響調査を行なっています。

 その際、沖縄県知事からは合計6度、1500件以上に及ぶ意見を頂き、これを全て反映をしております。その上で保護対象のサンゴの、保護対象のサンゴについては移植し、私このことを述べているわけですが、また、国指定の天然記念物や絶滅危惧種に指定されている貝類・甲殻類などを移動させる方針であると承知をしております。

 このうちサンゴ類の移植については沖縄防衛局に於いて部外の専門家からなる環境監視等委員会の指導・助言を踏まえて、保護基準を設定されまして、実際に設定した基準は、これは那覇第二滑走路の工事に伴う埋め立ての採土にもですね、相当厳しいものがあります。

 この内容は沖縄県にも報告していると聞いております。具体的にはですね、具体的に申し上げた方がわかりやすいと思いますが・・・・」

 委員長野田聖子「総理、質問時間が終了しておりますので簡潔に」

 安倍晋三「ここ大切なことなんですが、那覇第二滑走路の工事に伴い、小型サンゴ、約3万7千群体の移植を行なっています。これは既に答弁させて頂いております。仮にこれをですね、仮にこれを辺野古移設と同じ基準で当てはめれば、小型サンゴ類約17万群体、3万7千ではなく、17万群体を移植する必要があるわけであります。

 その厳しさで、今、こちら側は、辺野古はやっているということを申し上げたいと思います。なお北側海域には保護対象のサンゴ、7万4千群体が存在していますが、このうち約3万9千群体については、昨年2度に亘り県の移植にかかる申請を行っておりますが、2度とも県に残念ながら不許可になっているという状況があるということであります」

 川内博史「私、訂正しますかって聞いたのですけど」

 安倍晋三「今、お答えをさせて頂いた通りでございまして、様々な工事をする際にですね。サンゴを移植するというのは、当然、保護対象となっているものを移植していく。その考え方から、今申し上げましたように第2滑走路についても移植をしておりますが、その、その、移植の条件よりも相当厳しい。これ、3万7千群体、移植を行ないましたが、その17万群体をですね、やらなければいけないという基準でやっている、ということを申し上げているとおりでございます」

 川内博史「終わります。総理、もうちょっと考えて・・・・(「答弁してくださいよ」か)」(終了)

 先ずNHK「日曜討論」での安倍晋三の「勿論、沖縄の皆さんの気持に寄り添っていくとことも大切ですし、理解を得るようですね、さらに努力をしていきたいと思っております」の発言を取り上げてみる。

 民主主義は党派の頭数が意見や主張を左右し、あるいは決定することがほぼ既成事実となっていて、少数意見を蔑ろにしまう弱点を抱えているものの、多数決と少数意見の尊重を原則としている。2019年2月24日に行われた普天間の辺野古移設の賛否を問う沖縄県民投票は「賛成」11万余票に対して「反対」が4倍近い43万余票を獲得、圧倒的多数で辺野古移設反対の沖縄県民の意思表明が行われた上に辺野古移設賛成の立場では少数意見に当たる自民党支持層でも「反対」が半数近い48%を占めたと言う。このように「反対」票は党派を超えていた。これ程の民主主義の原則を踏まえた圧倒的な決定は稀有な現象であろう。

 当然、基地移設に関わる安倍晋三の「沖縄の皆さんの気持に寄り添っていく」は沖縄県民の「反対」の意思に寄り添うものでなければ、真正な意味を取らない。ところが安倍晋三は民意に関係なく辺野古移設の推進を表明し、工事を再開始た。「沖縄の皆さんの気持に寄り添っていく」は"安倍晋三自身の気持ちに寄り添っていく"の言い換えに過ぎないことの正体を露わにした。これ程の民主主義の否定はない。安倍晋三の「~に気持ちに寄り添っていく」は信用できない言葉にランク付けしておかなければならない。

 安倍晋三のサンゴに関わる発言は「今、土砂が投入されている映像がありましたが、土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、これを移しております。また絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂を浚ってですね、これをしっかりと別の浜に移していくという環境の負担をなるべく抑える努力もしながら行なっているということであります」となっている。「土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、これを移しております」は土砂投入以前の過去完了形となっていて、必ずしも間違ったことを言っているわけではない。

 勿論、土砂投入以後の過去完了形はサンゴを死滅させてしまうために発言としては成り立たない。土砂投入以前の過去完了形であることは先に上げた2月20日衆院予算委での防衛相岩屋毅の答弁が裏付けている。

 岩屋毅「現在埋め立てを進めているキャンプシュワブの南側の、辺野古側とも言っておりますが、そこにおけるサンゴについては、護岸で閉め切り、周囲と隔離されると、その生息に影響が生じるためにですね、既に移植をしたところです」
 
 但し安倍晋三のNHK「日曜討論」での「サンゴ」に関わる発言は、どこをどう見ても、"サンゴの移植は何事もスムーズにいっています"の意味内容となっている。いわばサンゴの移植に関して「何ら障害を抱えていません」の意味を取ることになる。

 そうはなっていないことは上記岩屋毅の答弁の続きが証明することになる。

 岩屋毅「北側には、先生、仰ったように7万4千群体ございまして、これ全部、移植する予定でございまして、先ず3万9千群体を沖縄県知事に対して移植の許可申請をしていますが、不許可と、今なっておりまして、残念ながら、移植はまだ済んでおりません」

 安倍晋三自身もサンゴ移植に障害を抱えていて、何事もスムーズにいっていないことを川内博史に答弁している。

 安倍晋三「なお北側海域には保護対象のサンゴ、7万4千群体が存在していますが、このうち約3万9千群体については、昨年2度に亘り県の移植にかかる申請を行っておりますが、2度とも県に残念ながら不許可になっているという状況があるということであります」

 だが、こういった障害の点についてはNHK「日曜討論」では一言も触れずに何事もスムーズに進んでいるかのような発言をした。安倍晋三は本多平直に対して「日曜討論」の「短いやり取りの中で自身の発言は間違ってはいない。キャスターが『北側はどうなんですか』と聞いてくれれば、正確に答えることができた」といった趣旨のことを述べているが、時間が短かったから、あるいは聞かなかったからとの理由で、一国の首相が何事もスムーズに進んでいるかのような間違った情報をマスメディアを通じて全国に垂れ流していいい正当性を獲得できる訳ではない。

 結果、既に触れたように安倍晋三の自己都合な発言のままに辺野古移設が何事もスムーズに進んでいる雰囲気で受け止めることになった視聴者も多くいたことは否定できない。

 また、例えサンゴ移植が全ての埋め立て地域で土砂投入前に完遂できたとしても、移植を受けたサンゴの長期生存率は低いという学者の指摘もある。

 辺野古移設の障害はサンゴ移植のみではなく、他にもある。昨年2018年4月時点で移設地辺野古の埋め立て区域全体の約4割にあたる65ヘクタール程度が軟弱地盤であることが指摘されていた。軟弱地盤は最も深い地点で水深90メートル、政府は地盤を固めるために約7万7000本の砂杭を打ち込む地盤改良工事を検討しているそうだが、国内企業の施工実績は水深70メートルにとどまっていて、この差20メートルをどう処理するのかが、当然、国会で問題視されることになった。

 防衛相の岩屋毅は2019年2月28日の衆院予算委員会で共産党の赤嶺政賢に対して軟弱地盤の深さが最大で90メートルある場所が一部に存在することを認めた上で次のように答弁していると2019年2月28日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 岩屋毅「水面下70メートルの施工ができる船は3隻あるが、その70メートルまで施工する必要がある場所は全体のうちの数%程度だ。全体の約7割は水面下40メートル未満の地盤改良工事によって所要の安定性が確保できる。

 水面下70メートルを超える深度では非常に固い粘土層に分類される強度を有していることから、十分に安定性を確保できていると確認をしている」

 「水面下70メートルの施工ができる船は3隻あるが」、「水面下70メートルを超える深度では非常に固い粘土層に分類される強度を有している」から、問題ないとしている。

 「全体の約7割は水面下40メートル未満の地盤改良工事」で済み、「70メートルまで施工する必要がある場所は全体のうちの数%程度」をプラスして、大目に全体の8割と見ても、残る水面下70メートルを超える深度の全体の2割は「非常に固い粘土層に分類される強度を有している」とすると、軟弱地盤の深さが最大で90メートルある場所が一部に存在することを認めたことと明らかに矛盾する。

 この矛盾を矛盾としていないことは不都合な事実は隠す情報隠蔽に当たる。

 このように辺野古基地建設に関して様々な障害を抱えていながら、一国の首相である安倍晋三がそのことに触れずに何事もスムーズに進んでいるかのような雰囲気を与えることは岩屋毅の軟弱地盤に関わると同様の不都合な事実は隠す情報隠蔽なくして成り立たない。安倍晋三はそんなことは意図していないと言うだろうが、それを巧まずして行なっているのかどうかは別にして、この手の情報隠蔽を用いていいところだけを見せる自己都合を介在させた恣意的な情報の取捨選択は安倍晋三の常套手段となっている。

 そしてこのような自己に都合のいい情報のみを選択して、不都合な事実は隠す情報隠蔽を常套手段として、国会でどう追及されようとも、自省心を備えていないがゆえに自身の発言の不備・偏りに気づきさえもしないのは自己絶対主義に陥っているからに他ならない。だからこそ、ウソを用いたり、強弁を展開したりして、一旦口から発した発言は発言したとおりに守ろうとする。

 安倍晋三のこのような自己絶対主義をこそ問題としなければならない。


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