2/26衆院予算委:黒岩宇洋が「平均的な者」の定義を追及、統計を取る意味・目的、その働きの追及がより重要

2018-02-27 13:03:29 | 政治
安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【訂正とお詫び】5日前の2018年2月22日付ブログ、《安倍晋三のゴマカシと責任転嫁と責任回避と開き直りの一人舞台となった対長妻昭2-20衆院予算委質疑 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で、「平均的な者(しゃ)」と文字を置くべきところを「平均的な社」と勘違いして書いてしまいました。2018年2月26日の衆院予算委で無所属の会の黒岩宇洋(たかひろ)が「平均的な者(しゃ)、平均的なもの」と解説するようにに言い直しているのを聞いて、「者(しゃ)」を当てるのだと気づきました。訂正し、謝罪します。


 「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」(平成25年10月・厚労省労働基準局)に、〈この項の「最長の者」とは、調査対象月における月間の時間外労働が最長の者のことをいい、「平均的な者」とは調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者のことをいう。〉との解説が載っている。

 どうも「平均的な者(しゃ)」についてここに書いてある定義が素直に頭に入ってこないが、黒岩宇洋が上記予算委でこの定義について問い質していたから、その質疑を取り上げて、「平均的な者」が統計学的にどのような働きをするのか知るために文字起こししてみた。

 先ず無い頭をひねって、用語の解説を試みたいと思う。

 〈「平均的な者」とは調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者のことをいう。〉

 いくつかの「時間外労働時間数の層」を設定して、そのうち「最も多くの労働者が属すると思われる」層に「含まれる労働者」を「平均的な者」としていることになる。

 例えば月10時間前後の軽い方の「時間外労働時間数の層」に100人が所属していて、かなりきつ目の月60時間前後の「時間外労働時間数の層」に20人所属しているとすると、「平均的な者」は月10時間前後の「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」ということになる。

 月10時間前後しか残業しない「平均的な者」の陰に月60時間前後も残業する労働者の過酷さが隠れてしまうということにならないだろうか。

 この状況が10人:100人の逆となっていたなら、「平均的な者」は月100時間前後の「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」ということになる。

 10時間と100時間をプラスして2で割って55時間前後の時間外労働を強いられている労働者を「平均的な者」とするのではなく、時間外労働時間の多い少ないに関係なしに人数が最も多く占めている「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」を「平均的な者」としていることになる。

 と言うことは、バブル期のように殆どの企業が増産に駆り立てられて従業員は平日の月曜日から木曜日まで1日4時間の残業を強いられ、金曜日は定時で帰ることができたものの、土曜日と日曜日は休日出勤というパターンが少なくとも生産現場を覆っていたが、このように月120時間前後の残業を強いられていた労働者を、「平均的な者」としていたことになる。

 であるなら、「最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層」が高いランクを占めているかどうかによって、企業の生産活動の活発度を計ることができるバロメータの役目を果たしていることになる。

 では、「平均的な者」を統計で出す意味は「平均的な者」が占める層のランクによって企業の生産活動の活発度が把握できる点にあるということになるのだろうか。

 国や企業にとって労働者全体の平均的な残業時間などは意味はないのかもしれない。最多労働者が占める「時間外労働時間数の層」が高いランクを占めることだけを望んでいることになる。

 つまり残業は特に国にとっても企業にとっても、収入が増える点で労働者にとっても歓迎されるべき現象なのかもしれない。国と企業は現実には残業の野放しを望んでいるかもしれないが、但し残業に直接従事する生身の労働者にとっては限度というものがある。

 2018年2月26日衆議院予算委員会・質問者無所属の会黒岩宇洋

 黒岩宇洋「今日も平均的な者(しゃ)、平均的な者(もの)を定義は一体何ですかとお聞きしました。その中に出てくる言葉が平均的な者(しゃ)とは最も多い労働者が属する思われる法定外時間が、または裁量制の場合は労働時間の層に属する者と、このように定義されていると大臣の答弁にありましたが、加藤大臣、お聞きします。

 『労働時間の層』、この『層』の定義は一体何ですか」

 黒岩宇洋は加藤勝信に答弁を求めるが、厚生労働省労働基準局長の山越敬一が答弁に立つ。
 
 山越敬一「今仰られました『層』でございますけれども、敢えて幅のある概念だと思っています。その幅については必ずしも定義をされていないところでございます」

 黒岩宇洋「驚いたでしょう、みなさん。今日の議論でも幅があって、イメージされていると。

 例えば9時間から10時間からと、8時間から9時間からと、こういう幅を定義されていると思いきや、加藤大臣、加藤大臣からも仰ってください。『層』の定義はないということでよろしいですね」

 加藤勝信「今局長が答弁されたとおりでございます」

 黒岩宇洋「定義がないということですね。皆さん驚きませんか。

 だったら、先程分布の山などと言いましたが、これ山は最頻値だと思っていましたよ、統計学上の。全然違います。幅は30分だろうが、1時間だろうが2時間でもいいんです。こん中に入っているA、B、C、D、Eの人たち、いれば、そん中の好きな人、この定義のないそういうものに入っていれば、そのAさんを選んだ、Eさんを選んだ。

 とすれば、8時間1分の人を選んだ、2時間幅から10時間幅の人を選んだ。これ可能ですよね、制度上は。大臣、そうですね」

 山越敬一「お答え申し上げます。平均的な者というのは先程仰いましたように最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者のことでございますけれども、層の幅の取り方というのは必ずしも定めていないわけでございます。

 色々事業場によって規模の大きいとこと小さいとこあると思いますけども、そういうところで監督官がいまして、そういった属するす労働者が多いその時間数を取るということでございます」

 黒岩宇洋「大臣、しっかり答えてください。層の定義はないわけですから、これは事業主なら事業主、労働基準監督官なら監督官のご自身の主観的な判断で、ここからここと決めたときに8時間から10時間なら、2時間がその層だと主観的に考えれば、8時間1分の人を選んでも、10時間の人を選んでも、平均的な者(もの)であることに変わりはないですね。

 イエスかノーで答えてください」

 加藤勝信「あの、今言われたようなこと、机上で考えると色々なケースがあると思いますけども、実際に監督官が行っている中でどういった方を一定の幅の中で一定の者を選んでくるのかという中に於いてはですね、ある程度常識的なところを選んでいるんではないかなというふうに思いますけれども、只今申し上げたように層を30分刻みにしようとか、1時間刻みにするとか、いった形でやっているのではないということは先程局長から答弁したとおりだと思います」

 黒岩宇洋「大臣、こういうことですか。統計的にまさに机上できっちりとした考え方や議論や定義があるわけではなく、監督官の常識に任せている。これが調査なんですか。これが統計的な調査と言えるんですか。大臣、お答えください」

 加藤勝信「今申し上げた実際の現場の話はですね、局長に聞いて頂くのが適切だと思いますけどれも、そういった中で監督官が判断した数字を調査(?)の中に入れている。

 最も多くの層の中の選んだ数字を監督官が最終的には記載をしている。こういうことでございます」

 黒岩宇洋「(委員席に向かって)もう分かりましたよね。今言った平均的な者の属する層というものの定義はないわけですから、この曖昧な中で基準官(監督官か)がまちまちでチョイスをしてきた人、その人の時間が平均的な者と記入されるわけですから、先程議論もあり、またしたけども、これは本当にイメージする平均的な者と整合性が取れるかどうかなんていう以前の問題で、平均的な者の定義が完全に崩れたんですよ」

 ここで黒岩宇洋は専門業務型裁量労働制にはないが、企画型裁量労働制には法律で使用者が従業員の労働時間を半年に1度報告する義務となっていて、労働時間を報告に記入してもいいことになっているが、記入しない場合は監督官が聞き取り調査をして平均的な者を抽出して自分で記入する2つの方法があるがと前置きして、この定期報告で報告する平均的な者と(厚労省が間違いだらけの調査データを出したために再精査することになったことか?)今回の調査的監督で行う4月1カ月の企画型裁量労働制労働者の平均的な者の定義は同じかと問う。

 山越敬一「お答えを申し上げます。先ず企画型裁量労働制の定期報告でございますけれども、これは1日の労働時間として平均的な者、最長の者の状況を報告するものでございます。

 他方で今回調査の方でございますけれども、これは1日で見て、最も多くの労働者の属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間と言うことになっているということでございます」

 上記「調査結果」で〈「最長の者」とは、調査対象月における月間の時間外労働が最長の者のことをいう〉と定義づけられていることからすると、「平均的な者」と「最長の者」を混同しているように見える。

 黒岩宇洋「全然分からないんですよ。加藤大臣、今言った定期報告の定義と定期的監督のこの調査の平均的な者(もの)の定義は同じなんですか」

 山越敬一「今御答弁申し上げたとおりでございますけれども、定期報告は平均的な者でございます。この調査の方は平均的な者を調べているわけですけど、今申したような調査をしているということでございます」

 混同から混乱状態に陥って、禅問答のようなチンプンカンプンな答弁となっている。

 黒岩宇洋「もうどうしようもない。私がかいつまんで言いましょう。私は事前に厚労省に聞いてますよ。この半年の定期報告はですね、例えば10人裁量労働者がいてですよ、ひと月に20日働くとなると、半年で120人働くことになります。この10人で120日でありますから、延べ1200日で時間がざあーっと並べられている。この純粋な平均値を取ってもいいし、山、最円頂、どっちをとってもいいというような定期報告の記入の定義なんです。

 同じ定期報告と言っても、二つの定義がある。そして後者であれ、定期報告から転記しない場合は、これはずっと議論している、1カ月の平均的なその層に最も多い1日を選んで、抽出して、10人なら10人のその層に入ってきている誰でもいいから、選んでいく。

 ですから、片や最頻値と平均値、どっちを使ってもいいですから、片や最頻値にちょっと似たようなものですよという。

 これ、どうですか、みなさん。重要な企画業務型裁量労働者の労働時間を調査して集めるときに今申し上げたとおり、集め方に大きく2種類ある。そていて定義も複数ある。困難で真っ当なデータとして比較できるわけがないじゃないですか。

 大臣、如何ですか」

 加藤勝信「今委員の前半のところと後半のところとあると思うんですが、先ず前半のところは半年ごとに報告を求めている数字の話をされたでしょうか。そういうふうに認識をしております。

 ちょっとそれについて私自身、具体的などういうものかについては詳らかに承知をしておりませんから、もう一度局長の方からきちんと説明を、(ヤジ)そこは説明をさせて頂かないと、ならないというふうに思います。

 で、後者については既に議事応答ということを御党に於いて出させて頂いておりますが、それに則って実際に今回の調査はですね、平成25年度の調査に於いてはそこの疑似応答が書かれているように報告から転記をするか、あるいは賃金台帳との記録を監督官が実際に調べて記入することを想定しているということで、平均的な者の1日の最も多く属すると思われる(時間外)労働時間数の層になる労働者の時間数を書くこととするとされているわけで、こういうふうになっているわけで、これを説明させて頂いたわけです」(後略)

 質問する黒岩宇洋は「平均的な者」の定義は崩れた」、「時間外労働時間数の層」の幅の定義はないと言い立て、答弁する厚労省局長と加藤勝信は厚労省「調査結果」に記してある「平均的な者」についての定義を繰返す堂々巡りを演じるだけとなっている。

 なぜ黒岩宇洋は「平均的な者」の定義に拘るよりも、如何なる統計も一定の意味・目的と一定の基準を用いて調査するのだから、調査の明確な基準のあるなしと、何のため、どのような意味・目的で出すのか、なぜ聞かなかったのだろうか。

 意味・目的が分かれば、統計学的にどのような働きをするのが一目瞭然となる。

 また明確な基準のない調査は統計にバラつきが出て、信用性を失うことになる。当然、如何なる議論の叩き台、参考資料とすることはできなくなる。

 そこまで追及してから「働き改革案」の撤回を求めなければならないはずだが、そこまで追及もせず、また相手が曲りなりに定義に触れているにも関わらず、いきなり大きな声を出して撤回を求める。

 安倍晋三の方は「これまで通りに進めます」といった趣旨の答弁で片付ける。「働き方改革案」、裁量労働制の見直しの議論の堂々巡りはここにまで至っている。


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