菅義偉の内閣記者会宛文書:国家権力側の"事実"を国民全ての"事実"であるかのように扱うのは国民をバカにする行為

2019-02-16 11:55:59 | 政治
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 安倍晋三: 2019年2月12日衆院予算委対岡田克也


 安倍晋三の質問者の質問に答えずに、ヤジに長々と答弁した前代未聞の

 世界に例を見ない滑稽な醜態 

 先進国最悪の借金捻出の主役が自民党政権であることの

 図星を衝かれて、表面冷静、内心慌てたか


 2019年2月26日の官房長官菅義偉記者会見で東京新聞女性記者が普天間飛行場の名護市辺野古移設埋め立て工事の土砂に関して仕様書通りの適合性を発注者の国が事実確認をしていないと質問、それを菅義偉は事実誤認だとし、このような事実誤認が当該記者には多いからと、2019年2月28日に首相官邸報道室は内閣官房総理大臣官邸報道室長上村秀紀名で内閣記者会宛に事実に基づく質問をするよう、問題意識の共有を要請すると同時に要請は問題提起が目的で、記者の質問の権利に何らかの条件や制限を設けること等を意図したものではないとする文書を送付した。
 
 平成30年12月28日 内閣記者会 御中

 内閣官房総理大臣官邸報道室長 上村秀秀紀

 12月26日午前の官房長官記者会見における東京新聞の特定の記者による質問について、添付資料にお示しするとおりの事実誤認等がありました。

 当該記者については、東京新聞側に対し、これまでも累次にわたり、事実に基づかない質問は厳にに謹んでいただくようお願いしてきました。これに対し、同社からは、事実に基づく的確な質問を心掛けるよう同記者を指導していく旨の回答を繰り返し頂いてきましたが、にもかかわらず、再ぴ事実に反する質問が行なわれたことは極めて遺憾です。

 改めて指摘するまでもなく、官房長官記者会見は、官邸ホームベージ上のインターネット動画配信のみならず、他のメディアを通じたライブ配信等も行われでおり、そこでのやりとりは、官房長官の発言のみならず、記者の質問も、国内外で直ちに閲覧可能になります.そのような場で、正確でない質問に起因するやりとりが行なわれる場合、内外の幅広い層の視聴者に誤った事実認識を拡散させることになりかねず、その結果、官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念いたします。

 このような観点から、東京新聞の当該記者による度重なる質問行為については.総哩大臣官邸・内閣広報室として深刻なものと捉えており、貴記者会に対して、このような問題意識の共有をお願い申し上げるとともに、問題提起きせていただく次第です。

 もとより.本件申入れは、官房長官記者会見における記者の質問の権利に何らかの条件や制限を設けること等を意図したものではありません。官房長官側においては平素より、事実関係係の把握に努め、正確な情報発信に最大限留意しつつ日々の会見に臨んでいることをご埋解いただき、メディア側におかれても、正確な事実を踏まえた質問をしていただくよう改めてお願いするものです。

 メディア、政府の双方にとって有意義な形での官房長官記者会見の運営・実施のため、引き続き御協力いただけるようよろしくお願いいたします。 以上

 対して新聞労連が2019年2月5日に「抗議文」を発表している。

 記者の質問は保障されている国民の「知る権利」に供するものであり、〈国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです。〉と、尤も至極な要求を行ない、にも関わらず事実誤認だとして事実に基づく質問を要求するのは、〈記者の質問の権利を制限し、国民の「知る権利」を狭めるもので容認できないと抗議している。

 そして政府側の「事実に基づかない」事実誤認の拡散の例の一つとして加計学園獣医学部認可への安倍晋三の政治関与を疑わせる文書の存在をマスコミが伝えたのに対して菅義偉が「怪文書のようなものだ」と真っ向から否定したことを挙げている。

 しかしこれは事実誤認ではなく、ウソをついて隠した情報隠蔽の一例としなければならない。新聞労連はさらに追記として、辺野古沿岸部埋め立ての政府承認審査の際に埋め立てに適さない「細粒分」の割合を2%~13%と説明していたのに対して業者発注仕様書には県に無断変更の40%以下になっている、沖縄県が立ち入り検査を求めているのに対して沖縄防衛局は応じていないと伝えているマスコミ報道を根拠にしたのだろう、東京新聞女性記者の質問の正当性を訴え、〈偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。〉と、追加の抗議を行っている。

 新聞労連のこの抗議に対して菅義偉はカエルのツラにショウベンを決め込んでいる。2019年2月13日午前の記者会見。

 菅義偉(女性記者の質問に関して)「正確な事実に基づかない質問が繰り返されており、取材ではなく決め打ちだ。この記者会見はまさに公の場だが、正確な事実に基づかない質問が累次にわたって繰り返されている。

 『埋め立てで赤土が広まっている』ということだったが、防衛省では、外周の護岸により閉鎖的な水域をつくり、外海のモニタリングでも影響は確認されていない。事実と反しており、こうしたことを私は『取材ではなく決め打ちだ』と申し上げた」

 要するに菅義偉は国家権力側の自分達の"事実"を国民全ての"事実"であるかのように扱っている。

 「細粒土砂汚染とは何か? 河川管理に求められることは? : 研究者から」(山田浩之)なる記事には、〈流域から生産される細粒土砂(粒径およそ2mm以下の土砂)が大幅に増え、それが河川や海域に流出・堆積することによって生態系・水環境の変化・悪化が生じるという報告が多くあり、国内でも最近になって海域や湿原への流出によってサンゴ礁・湿原生態系が破壊されることが明るみになった。〉と、細粒土砂流出の自然環境への悪影響を伝えている。

 この"事実"を以ってして菅義偉の記者会見発言の"事実"を解釈すると、外海に対してコンクリートで四方を塞げば、外海に流出する恐れはゼロとなるから、埋め立て業者との契約に反してどんな土砂で埋め立てようと自由だと言うことになる。

 このことは契約違反を無視する"事実"となるだけではない。安全保障環境の変化に応じて辺野古基地自体が将来的に、100年後であっても、不要になった場合、その可能性はゼロだと打ち捨てることはできない、海に戻すという選択肢を最初から排除する"事実"となる。なぜなら、、コンクリートで四方を塞いでいたとしても、最初に埋め立てた細粒土砂が底にある海砂と混じらない保証は何もなく、混じった場合は、その土砂を取り除くのは至って困難となるからだ。

 このように東京新聞女性記者と新聞労連の"事実"に対してこれらと対立する安倍政権の"事実"を並べてみると、それぞれの"事実"は自分達の正当だとする判断や解釈、捉え方、あるいは都合や利害によって違う姿を取ることが分かる。いわば一方が"事実"としたことであっても、他方は"事実"としない場合がある。

 このようにお互いが譲らずに違う姿を取った対立したままの"事実"の共有を国民等の第三者に求める場合、"事実"というものが自分達の正当だとする判断や解釈、捉え方、あるいは都合や利害によって違う姿を取る以上、第三者それぞれの理解に委ねる以外にない。国家権力側が自分達の"事実"こそ正しいのだと第三者に押し付けた場合、憲法が保障する思想・信条の自由を侵害することになる。

 もし相手が掲げた"事実"が自分達の掲げる"事実"とは間違っているとするなら、新聞労連の抗議文が記しているように、〈本来は官房長官が間違いを正し、理解を求め〉る以外に方法はなく、第三者がどちらの"事実"を採るかは第三者それぞれの理解に任せるしかない。

 一方の"事実"が他方の"事実"と異なることなど、いくらでも転がっている。2019年1月6日NHK「日曜討論」

 NHK司会者の伊藤雅之が辺野古埋め立て工事での土砂投入に関わる「沖縄県民の理解」を尋ねた。

 安倍晋三「今、土砂が投入されている映像がありましたが、土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、これを移しております。また絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂を浚ってですね、これをしっかりと別の浜に移していくという環境の負担をなるべく抑える努力もしながら行なっているということであります」

 これが政権側の土砂投入地域に於けるサンゴ移植の"事実"そのものとなっている。対してマスコミはこの発言を批判。2019年1月10日付「毎日新聞」は沖縄県水産課からの情報として埋め立て予定海域全体に関しては約7万4000群体のサンゴの移植が必要だが、県が許可して沖縄防衛局が移植したのは絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ9群体のみで、いわば残る約7万3991群体は手付かずで、移植した9群体は今回の土砂投入区域のサンゴではないと、その"事実"を伝えている。

 玉城沖縄知事も自身のツイッターで、「現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」と自らの"事実"を掲げている。官房長官の菅義偉は2019年1月10日の記者会見で安倍晋三発言を擁護している。

 菅義偉「現在、埋め立てを進めている南側区域の周辺で、必要なサンゴの移植は終えている。防衛省で環境監視委員会の指導、助言を受けながら、環境保全にも、最大、配慮しながら工事を進めており、安倍総理大臣もそういう趣旨で申し上げたということだろう」

 玉城沖縄知事自身が「現実はそうなっておりません」を自らの"事実"としていることとマスコミが伝えている"事実"から素直に解釈すると、菅義偉が「現在、埋め立てを進めている南側区域の周辺」としている安倍政権側の"事実"は、現在の土砂投入地域外の「南側区域の周辺」ということになるが、どちらの"事実"を採るかは押し付ける訳にはいかないのだから、それぞれの判断に任せるしかない。

 同じ2019年1月6日NHK「日曜討論」。司会の伊藤雅之がアベノミクス景気の戦後最長の可能性を言いつつ、「実感が伴わないという声」があることを伝えた。

 安倍晋三「日本経済については、ですね。もはやデフレではないという状況をつくり出すことができたと考えています。そして雇用状況は大変よくなっています。昨年高校・大学を卒業したみなさんの就職率は過去最高となり、正規雇用の有効求人倍率も、1倍超えました。最長の景気回復期間は小泉政権に始まってですね、安倍政権、そして福田政権、麻生政権と続いたんですが、そのときの景気回復期はですね、その期間を通じたずっと日銀の短観に於いてですね、状況判断がプラスであったのは東海地方と関東地方のみであったわけですが、今回はですね、すべての地域で5年連続プラスになりました」

 要するにこれらの統計値でアベノミクス景気が実感ある景気となっているはずであることを伝えている。これがアベノミクス景気に関わる安倍晋三自身の"事実"となっている。その他に、「正規雇用の有効求人倍率は1倍超えた」、「日銀の短観はすべての地域で5年連続プラスになった」、「生産年齢人口が450万人減少する中に於いて経済は12.2%成長した」、「雇用は250万人増え、正規雇用も78万人増えた」等々を景気実感の"事実"としている。

 一方で2019年2月9日から11日まで行ったNHKの世論調査の景気の実感に関しては、

 「実感している」8%
 「実感していない」66%
 「どちらともいえない」20% 

 が"事実"となっている。どちらの"事実"を採用するかは国民一人ひとりの主体性に任されている。

 もう一つ、"事実"の食い違いについて新聞労連が取り上げている安倍晋三の加計学園獣医学部新設・認可政治関与疑惑からも取り上げてみる。

 安倍晋三は加計学園理事長の加計孝太郎と加計学園獣医学部認可に関しての会話を交わす面会は一度もないと主張していたが、2015年2月25日に両者が面会して獣医学部について話し合ったとする愛知県文書が公表された。対して安倍晋三はマスコミの首相動静を調べたが、加計孝太郎が首相官邸に訪れた記載はないと面会を否定する国会答弁を繰り返した。だが、首相官邸はマスコミ記者が待ち構えている官邸エントランスを通らずに人目に触れることなく首相執務室に通じる通路がある"事実"は隠して、官邸エントランス通過人物だけをチェックする首相動静のみを根拠に面会していないことの証明に使い、それを自らの"事実"としている。安倍晋三自身の"事実"にこのような抜け落ちがある以上、中にはこの"事実"を受け入れる国民が何人かはいたとしても、国民全体の"事実"とすることはできない。

 国家権力側のどのような"事実"であろうと、それをどう受け止めるかは国民それぞれの理解や判断に任せるべきであって、それを国民全ての"事実"であるかのように扱うのは、国民にはその"事実"を理解も判断もできないと見ることになって、国民をバカにする行為となる。;">

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