元防衛相稲田朋美の2018年7月29日の自身のツイッターへの投稿文が「国会議員の憲法擁護義務違反だ」、「憲法否定だ」とか批判に曝されている。
このツイートは既に削除されているということで、ネットで探してみると、画像で見つけることができたから、テキストにしてみた。
〈日本会議中野支部で『安倍総理を勝手に応援する草の根の会』が開催され、私も応援弁士として参加しました。支部長は大先輩の内野経一郎弁護士。法曹界にありながら、憲法教という新興宗教に毒されず安倍総理を応援してくださっていることに感謝!〉
国会議員の憲法擁護義務違反の指摘は、「日本国憲法 第10章最高法規 第99条」に 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に対するものとなる。
2018年7月30日付「毎日新聞」記事は稲田朋美のツイッター投稿ネタが7月29日に保守系団体「日本会議」の東京都中野支部の集会に参加した際のものであることを紹介している。
同記事は毎日新聞が取材した稲田朋美の言い分を伝えている。
「ツイッターに書くにはあまりにも誤解を招きやすい(表現だった)なと思う。憲法を否定するつもりは全くない。憲法を変えさえしなければ日本は平和であるというのもまた違う」
憲法否定ではない、日本の平和を維持するために単に憲法改正の意思を持っているだけだと釈明している。
但し平和を守る手段には主として軍事力に頼る方法と軍事力はあくまでも備えであって、非軍事力を主体とし、外交の創造性に頼る方法とがある。日本の過去の戦争が前者が絶対ではないことを教え、それを教訓として後者の立場を取る日本人が多いことも事実である。
勿論、後者も絶対ではないが、人類の叡智を言うからには、その叡智を力として軍事力で威嚇し合ったり、軍事力で決着をつける世界から戦争のない世界を創造、そういった世界にそろそろ到達しても良さそうである。
安倍晋三は軍事力に全面的に頼って平和維持の手段としている。過去に一度経験している決して絶対ではないにも関わらず絶対を装って軍事力のスムーズな活動のために憲法9条の改正を狙っている。
稲田朋美が、「法曹界にありながら、憲法教という新興宗教に毒されず安倍総理を応援してくださっている」と曰(のたま)っている意味は誰が読んでも、法曹界の護憲派を念頭に置いた皮肉と分かる。
「憲法教という新興宗教に毒されず」とは、日本国憲法を平和憲法と位置づけて、その死守を主張する集団を有害と価値付けた上でそのような集団を新興宗教紛いの「憲法教」程度に擬えたということであって、そういった有害な「憲法教」に弁護士内野経一郎は「毒されず」という意味を取る。
但し平和憲法絶対死守を主張する集団の主張を有害な新興宗教紛いの「憲法教」だと軽んじることは主張の対象としている憲法の条文自体を新興宗教の教義程度に見下し、貶めていることになる。
絶対死守の主張の対象が憲法9条であって、稲田朋美が同調する立場にあったなら、その文言は稲田朋美に対しても常に輝きを放ち、集団の主張を有害な「憲法教」だと擬えることはないし、9条という条文自体も、新興宗教の教義どころの話ではなくなる。
9条一つ取っても現憲法のれっきとした規定であって、それが改正されない以上、何人であろうと、勿論、稲田朋美であろうと、軽視することも見下すこともできないはずだが、稲田朋美は「憲法を否定するつもりは全くない」と言いつつも、見下しや軽視という心構え自体が自身の釈明に反して憲法否定の要素を抱えている。
それだけではない。憲法改正反対は日本国憲法が保障している「思想及び良心の自由」、「言論の自由」に基づいた主張であって、それを有害な「憲法教という新興宗教」だと見下すことは、この点に関しても憲法否定の要素が現れている。
こういった点に気づかないのは稲田朋美がアホで、そのアホを通り越して、憲法改正反対集団を有害な新興宗教紛いの憲法教に擬え、その主張を新興宗教の教義程度だと見下し、特に憲法9条自体を結果的に新興宗教の教義程度に貶める価値づけを行うことになったはずだ。
そのアホを安倍晋三は 内閣府特命担当大臣や防衛大臣、自民党政務調査会長に任命した。