鳩山首相、丸川珠代の「労働なき富」批判に今後の労働への投資ではと答えるべきではなかったか

2010-03-27 06:29:19 | Weblog

 《衆院選で民主投票「参院選は別」3割 朝日新聞世論調査》
       (asahi.com/2010年3月24日3時1分)――(部分抜粋)

●参院選比例区の投票先は「いま投票するとしたら」

  民主37%
  自民29%

●衆院選で民主に投票したと答えた人(全体の45%)

 参院選でも民主党に投票する――67%
  参院選は自民党に投票する――11%
 参院選みんなの党に投票する―― 8%

●衆院選で自民に投票した答えた人(全体の25%)

 参院選でも自民党に投票する――83%
  参院選は自民党に投票する―― 7%
  参院選みんなの党に投票する―― 4%

●参院選の投票先を決める基準

 1.「政治とカネ」の問題を「大いに重視する」――48%

 内、自民党に投票――34%
 内、民主党に投票――30%

 2.政党に対するこれからの期待を「大いに重視する」――24%

 内、民主党に投票――46%
 内、自民党に投票――27%

●今、どの政党を支持しているか

   民主党――34%
   自民党――22%
   公明党―― 4%
   共産党―― 2%
   社民党―― 2%
 みんなの党―― 4%
  国民新党―― 0%
  改革クラブ―― 0%
   新党日本―― 0%
その他の政党――0%
支持政党なし――32%

 こんな記事があった。《「労働なき富、首相は懺悔を」丸川氏、母の資金提供批判》asahi.com/2010年3月25日22時38分)

 元アナウンサー、自民党の丸川珠代議員が3月25日の参院厚生労働委員会で鳩山首相が施政演説で触れたマハトマ・ガンジーが社会的大罪とした「労働なき富」への言及を取り上げて、母親からの資金提供はまさしく「労働なき富」ではないかと迫り、「大罪を省みて国民に告白し、懺悔(ざんげ)して頂きたい」と求めた。

 対して鳩山首相は「丸川さんからのようなご批判を覚悟で演説した。決して臆面(おくめん)もなく(『労働なき富』を)盛り込んだわけではない」、「母からの資金提供は全く知らなかった」と答弁したと伝えている。

 それだけの記事だが、「母としたら、日本の政治家として大成して欲しい。自民党政権がつくり出す日本では日本をダメにしてしまう。将来首相になって、民主党政治で日本をよくして欲しいと切に願って、その意味をこめた“今後の労働への投資”だったのではないのか。国民の思いは勿論、母の思いにも応えて、日本の発展のために尽くす政治の労働に従事していく所存です」といったふうになぜ答えなかったのだろうかと思った。

 具体的にどのような遣り取りだったのか、《参議院インターネット審議中継》にアクセス、「子ども手当」関連のその部分の質疑を確認してみた。
 
 丸川珠代「残念ながら総理は事実をご存じないかもしれませんが、控除が廃止されて、児童手当が廃止されたことによって、差引きで、年収900万、1千万の世帯が最も多くの実質的な手取りを得ることができ、且つ、え、子どもが二人、え、小学生がいて、という家庭でありますと、えー、年収が、三、中程、キューヒャク、500万、700万、ちょうど中間層と言われる人たちが、一番貰いが少なくなるんですね。えー、どうしてこうした制度設計のミスを放置したまま、それを直すのは23年度でいいと、お考えになるのか。まーったく理解ができません。

 選挙の前にどうしても支給したいから、という以外の理由が全く見つけられないのです。えー、加えて、総理大臣に、は、施政方針演説の中で、マハトマ・ガンジー氏の慰霊碑に刻まれました、七つの社会的大罪について、お触れになられましたが、総理大臣がお母さまからお受けになられた子ども手当は、まさに一般人の感覚からいたしますと、『労働なき富』そのものでございますが、ご自身が、国会の場で何の、臆面もなく、『労働なき富』という言葉を口になさったからには、自分がどれだけの大罪を犯したか、よく省みて、私共に、つまり国民の代表、国民に告白していただき、懺悔をしていただきたいんですが、大罪を犯した自覚がありませんか」

 誰が「大罪を犯した自覚があります」と答えるだろうか。誰が「懺悔します」と答えるだろうか。仮にその自覚があったとしても、巧妙に言い抜けると相場は決まっている。マスコミが興味本位で取り上げる以外は実質的に無意味な質問に過ぎない。

 また「年収900万、1千万の世帯が最も多くの実質的な手取りを得る」と言っているが、それが事実なら、自民党に席を置く以上、喜ばしい制度設計となる。なぜなら、自民党は伝統的に大企業優先・高額所得層優先政治を自らの基本的政治理念としてきた。その行き着いた先が小泉構造改革の弱者切捨て政治であり、弱者を切り捨てることによって浮かせた利益を回りまわって企業や高額所得層に還元する大企業優先・高額所得層優先政治を成り立たせてきた。その一つと看做して、喜びこそすれ、批判する謂れはないはずである。

 鳩山首相「先ず先程の900万、1千万の方々が一番、あー、ある意味でメリットを享受されるというお話でございますが。それは、いわゆる児童手当というものの差額ということになるからでありまして、根っこの部分から、お話を聞いていただければ、決してそういう話ではありません。

 それから、今お尋ねの、えー、『労働なき富』ということでございます。このマハトマ・ガンジーの七つの大罪とうものを敢えて施政方針演説に盛り込むことに決意をいたしました。必ず丸川委員のような、ご批判をいただく覚悟の中で、敢えて、私は、だからこそ、盛り込ませていただいたところでございます。

 決して臆面もなく、このようなものを盛り込んだというわけでは、ありません。ご批判は覚悟の上で、エー、しかし、私自身、今回母からの資金提供というものを、全く存じ上げてなかったということも、真実であるものでありますから、それを国民の皆様方にご理解をいただくことを、これからも努力をして、参ることが、最も、求められていることではないかと、私はそのように考えております」

 丸川珠代から公明党の山本博司議員に質問者交代――

 子ども手当は育児に対する親への手当ではあるが、その手当は親から子どもの生活上の諸々の経費に消費される。いわば間接的には子どもに支給される手当であろう。親が子どもに使うべき子ども手当をパチンコに使ってしまうのではないかと心配する発言もあったが、このことは実質的には親への手当ではなく、子どもに使われるべき子どもへの手当であることを逆に証明している。

 だとしても、子どもは労働者ではないから、子どもの労働に対する手当とは言えない。勉強や運動は労働の分類に入る行為ではないはずである。いや、勉強や運動そのものに対する手当でもないはずである。丸川珠代議員の「子ども手当」に絡めた鳩山首相の母親からの資金提供を『労働なき富』だと批判する文脈からすると、労働もしていないにも関わらず、子ども手当を間接的にではあっても受けるということになって、子ども自体は『労働なき富』を得ると言えないことはない。

 では理不尽かと言うと、将来社会の発展、国の発展に尽くす、広い意味での労働を成す固体形成への投資という側面を持ち合わせているはずだから、そういった意味で決して理不尽でも何でもないはずである。

 鳩山首相の母親からの“子ども手当”にしても、『労働なき富』であったとしても、首相として、あるいは有為な国家議員として日本の社会や国の発展に尽くす意味合いの“今後の労働への投資”と見ることもできるはずである。

 社会一般の母親が子どもを塾に通わせる、あるいはピアノや外国語を習わせる、あるいはサッカー教室や野球教室に通わせる、ゴルフを習わせる等々も子どもの将来のより有利な労働形成に向けた投資そのものであろう。

 丸川珠代議員の質問は文字化した部分に関しては収穫が堂々巡りのみの内容ではあったが、アナウンサー経験がそうさせたのか、切れのいい言葉遣いで攻めの姿勢を演じることができていた。マスコミの興味本位の取り上げにうまく便乗することができたなら、自民党が政権与党に返り咲くという条件付きながら、将来の首相候補になり得るように思える。舛添が首相になりそびれる時間が長引くと、下手をすると丸川珠代に追い越されかねない懸念さえ抱いた。

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