源氏物語歌集 310
巻二十 朝顔 03 源氏
見しをりの 露忘られぬ あさがほの
花のさかりは 過ぎやしぬらむ
2008-0220-ysg310
Kad04-053
□・・・、にほひもことにかはれるを、折らせ給ひて奉れ給ふ。
(源氏)「けざやかなりし御もてなしに、人わろき心地し侍りて、
うしろでもいとどいかが御覧じけむとねたく。されど、(源氏)「見し・・・□
源氏物語歌集 309
巻二十 朝顔 02 朝顔
なべて世の あはればかりを とふからに
誓ひしことと 神やいさめむ
2008-0219-ysg309
Kad04-052
□・・・、あながちに聞え給えふ。御用意なども、
昔よりも今すこしなまめかしきけさへ添ひ給ひにけり。さるはいといたう過ぐし給へど、
御位にはあはざめり。(朝顔)「なべ・・めむ」 とあれば、・・・□
源氏物語歌集 308
巻二十 朝顔 01 源氏
人知れず 神のゆるしを 待ちしまに
ここらつれなき 世をすぐすかな
2008-0218-ysg308
Kad04-052
□・・・、労などは静かにや定め聞えさすべう侍らむ」と聞え出だし給へり。
げにこそ定めがたき世なり、と、はかなきことにつけても思し続けらる。
(源氏)「人知・・・かな 今は何のいさめにかかこたせ給はむとすらむ。□
巻二十 朝顔 01 源氏
人知れず 神のゆるしを 待ちしまに
ここらつれなき 世をすぐすかな
2008-0218-ysg308
Kad04-052
□・・・、労などは静かにや定め聞えさすべう侍らむ」と聞え出だし給へり。
げにこそ定めがたき世なり、と、はかなきことにつけても思し続けらる。
(源氏)「人知・・・かな 今は何のいさめにかかこたせ給はむとすらむ。□
源氏物語歌集 307
巻十九 薄雲 10 源氏
浅からぬ したの思ひを 知らねばや
なほかがり火の 影はさわげる
2008-0217-ysg307
Kad04-048
□(源氏)「浅か・・・げる 誰れ憂きもの」とおし返しうらみ給へる。
おほかた物静かに思さるる頃なれば、たふとき事どもに御心とまりて、
例よりは日ごろ経給ふにや、すこし思ひ紛れけむとぞ。□
巻十九 薄雲 10 源氏
浅からぬ したの思ひを 知らねばや
なほかがり火の 影はさわげる
2008-0217-ysg307
Kad04-048
□(源氏)「浅か・・・げる 誰れ憂きもの」とおし返しうらみ給へる。
おほかた物静かに思さるる頃なれば、たふとき事どもに御心とまりて、
例よりは日ごろ経給ふにや、すこし思ひ紛れけむとぞ。□
源氏物語歌集 306
巻十九 薄雲 09 明石
いさりせし かげ忘られぬ かがり火は
身のうきふねや 慕ひ来にけむ
2008-0216-ysg306
Kad04-047
□いと木繁き中より、篝火どもの影の、遣水の蛍に見えまがふもをかし。
(源氏)「かかる住まひにしほじまざらましかば、めづらかにおぼえまし」と宣ふに、
(明石)「いさ・・・けむ 思ひこそまがへられ侍れ」と聞ゆれば、・・・□
巻十九 薄雲 09 明石
いさりせし かげ忘られぬ かがり火は
身のうきふねや 慕ひ来にけむ
2008-0216-ysg306
Kad04-047
□いと木繁き中より、篝火どもの影の、遣水の蛍に見えまがふもをかし。
(源氏)「かかる住まひにしほじまざらましかば、めづらかにおぼえまし」と宣ふに、
(明石)「いさ・・・けむ 思ひこそまがへられ侍れ」と聞ゆれば、・・・□
源氏物語歌集 305
巻十九 薄雲 08 源氏
君もさは あはれをかはせ 人知れず
わが身にしむる 秋の夕風
2008-0215-ysg305
Kad04-045
□・・・、はかなう消え給ひにし露のよすがにも思う給へられぬべけれ」と、
しどけなげに宣ひ消つもいとらうたげなるに、え忍び給はで、
(源氏)「君も・・・夕風 忍び難き折々も侍りかし」と聞え給ふに、・・・□
源氏物語歌集 304
巻十九 薄雲 07 源氏
入り日さす 峰にたなびく うす雲は
もの思ふ袖に 色やまがへる
2008-0214-ysg304
Kad04-035
□夕日はなやかにさして、山ぎはの梢あらはなるに、雲の薄く渡れるが、
にび色なるを、何ごとも御目とまらぬころなれど、
いとものあはれに思さる。 (源氏)「入り・・・へる」 ・・・□
源氏物語歌集 303
巻十九 薄雲 06 源氏
行きて見て あすもさねこむ なかなかに
をちかた人は 心おくとも
2008-0213-ysg303
Kad04-028
□・・・見め」 いたう慣れて聞ゆれば、いとにほやかにほほゑみて、
(源氏)「行き・・・とも」 何事も聞き分かでざれありき給ふ人を、
上はうつくしと見給へば、をちかた人のめざましさも、・・・□
巻十九 薄雲 06 源氏
行きて見て あすもさねこむ なかなかに
をちかた人は 心おくとも
2008-0213-ysg303
Kad04-028
□・・・見め」 いたう慣れて聞ゆれば、いとにほやかにほほゑみて、
(源氏)「行き・・・とも」 何事も聞き分かでざれありき給ふ人を、
上はうつくしと見給へば、をちかた人のめざましさも、・・・□
源氏物語歌集 302
巻十九 薄雲 05 紫
船とむる をちかた人の なくばこそ
あす帰り来む せなと待ち見め
2008-0212-ysg302
Kad04-028
□こしらへ置きて、(源氏)「あすかへり来む」と口ずさびて出で給ふに、
わたどのの戸口に待ちかけて、中将の君して聞え給へり。
(紫)「船と・・・見め」 いたう慣れて聞ゆれば、・・・□
巻十九 薄雲 05 紫
船とむる をちかた人の なくばこそ
あす帰り来む せなと待ち見め
2008-0212-ysg302
Kad04-028
□こしらへ置きて、(源氏)「あすかへり来む」と口ずさびて出で給ふに、
わたどのの戸口に待ちかけて、中将の君して聞え給へり。
(紫)「船と・・・見め」 いたう慣れて聞ゆれば、・・・□
源氏物語歌集 301
巻十九 薄雲 04 源氏
おひそめし 根も深ければ 武隈の
松に小松の 千代をならべむ
2008-0211-ysg301
Kad04-024
□・・・べき」 えも言ひやらず、いみじう泣けば、「さりや。あな苦し」と思して、
(源氏)「おひ・・・べむ のどかにを」と、なぐさめ給ふ。
さることとは思ひ静むれど、えなむ堪へざりける。□
巻十九 薄雲 04 源氏
おひそめし 根も深ければ 武隈の
松に小松の 千代をならべむ
2008-0211-ysg301
Kad04-024
□・・・べき」 えも言ひやらず、いみじう泣けば、「さりや。あな苦し」と思して、
(源氏)「おひ・・・べむ のどかにを」と、なぐさめ給ふ。
さることとは思ひ静むれど、えなむ堪へざりける。□