僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

さみしい

2019年06月03日 | Wish
私は月忌回向で、介護施設にお伺いすることがあります。

そんな時は、お坊さんとわからないようにします。
僕の場合は、ジャージを上から着ます。

それこそ、「危ない人に見える」って、家内は言います。

でも、この暑さじゃコートは着れないし、
セーターも、おかしいでしょう?

法衣の上に、Tシャツ・・・。
想像するだけで、恐ろしい。

「だからって、どうしてジャージなの?」
って聞かれると、返事はできませんけれど・・・。

以前、他のお坊さんから、

「法衣を着て、介護施設に行くと、
 入所者の人たちが動揺する」と聞いたことがあるからです。

やっぱり、「誰か死んだ?」
って思われるかもしれません。

この季節ジャージは、すごく暑いけれど、我慢、がまん。

そんな、介護施設でのお話です。

ある檀家さんが、私に言いました。

「毎日、夕方になると、他の人の部屋に、
 会社帰りの、子供たちが面会に来ているの。

 でも、私はいつも一人ぼっち。
 それが、すごくさみしい」

まるでひとり言のように話す姿が、
さみしい胸の内を表していました。

そんなに長い時間でなくてもいい。
家族に会いたい・・・。

私は、何も言えませんでした。

シーンとした、館内。
廊下に並ぶ、いくつものドア。

その中には、家族が訪れるのを待っている人たちがいます。

私はエレベーターのボタンを押しながら、
何度も後ろを振りかえりました。

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