
これは何だ!
荒涼とした岩だらけの大地。そこに折り重なるようにして石の構築物が重なる。

人が住んでいる街なのだけれども、温もりのかけらもないような、人の接近を頑として拒絶したとしか思えない場所。それが、マテーラの第一印象だった。
マテーラはバーリから私鉄アップロ・ルカーネ鉄道で約1時間20分。マテーラ中央駅に降りた時は、まず拍子抜けしてしまう。駅前通りはいたって普通の新市街地の街並み。写真などで不思議な景観を頭に入れてきただけに、一瞬降りる駅を間違えたのかと思ってしまった。旧市街へはローマ通りを東に向かって進む。

セディーレ広場から旧市街に足を踏み入れると、突然別世界が広がる。

緩やかな坂道を上るとドゥオーモ広場に着く。

ここからのサッソ・バリザーノ地区の景観は、まさに世紀の奇観だった。

急峻な渓谷を挟んで谷間からせり上がる岩盤には、石の塊で造られた死の街と表現してしまいそうな建築群。

そして対岸にはあちこちに穴の開いた断崖。サッソ・カヴェオーゾ地区だ。天然の洞窟が多く、より原始的な景観の広がる地域だ。

坂道を下って低地に降りてみた。

大聖堂を仰ぎ見る位置まで下ってきた。さすがに高低差の大きい土地であることを実感する。

カヴェオーゾ地区の端にあるプルガトリオ教会。細長いユニークな形をしている。

サッソ地区にも住民は生活しており、洗濯物を干す風景も見られた。
その奥の岩山の上に十字架が見える。あれが、マドンナ・デ・イドリス教会だ。あの教会を目指そう。

岩と岩の間に階段が出来ていた。

もうあと少しで到着だ。

さあ、到着!巨大な岩の塊の内部をくりぬいて洞窟を作り、その外側に外壁を作った実に珍しい形の教会だ。カヴェオーゾ地区にあり、最も古いものとされている。

中に入ってみた。フレスコ画が残されていた。歴史的にも評価の高い作品だという。