現代文化の快楽

60年代に東大の文系・理系の大学院生がコラボして、他大学にも声を掛けて、横断的に作っていた現代文化研究会へのオマージュ

学問についてのニュースを観て(20)   ‥医材商「セルシード」

2014年04月21日 | 随想録


小保方嬢の背景として、例の論文の共著者14人の一人で、何故か大学院の指導教員だったと言う東京女子医大の大和(雅之 1964生 50歳 写真上・中)教授という人の名前が出ていたこと、病気で倒れたことまでは承知していたが、先ずは理研を軸にと思い、これまでは殆ど調べませんでした。

愚が今回最も注目していた「若山問題」が、意外な形で(愚にとっては)一段落したので(後述)、ネットに当たったところ、これぞ意外の自乗。どういう制度と経緯でだったかのは知らぬが(当然調査すべき)、早稲田所属の小保方嬢の研究指導は、本当に他大学のこの人がやったのですね。元記事は週刊誌らしいが、嘘かまことかこの人の小保方嬢についての生々しい感想も引用されている。

それならば、早稲田の常田主査は、単なる名義貸し、つまり恐らくは報酬を得る「雇われ仲人」で、形式的には指導教授で有っても博士論文のチェックなど自分でするわけがない。この辺は、早稲田自身が調査する段階で、炙り出されるでせう。

ところで、いずれ常田教授も含めて問題になるでせうが、大和氏は、セルシードという医材「細胞シート」販売会社を介して金に絡んでいる。インサイダー取引の疑いも指摘されているし、小保方嬢の派手な暮らしの金主も、大和氏か、この会社か、或はやはり共著者になっている大株主で役員という岡野教授なる御仁であるほうの蓋然性が、従来取り沙汰されていた笹野氏よりも高いでせう。

なぜなら、企業であれば、金のなる木、金の卵を産む有望なガチョウと援助交際するのは正当な行為。ノーベル賞を得たダイオードの発明者を、研究指導上の役に立つことなど全く期待せずにIBMワトソン研究所で、実用化の価値が皆無と確定するまで何十年も高級で飼い殺しにした例も有る。月額20万円程度のホテル代だの、ブランド品で身を固める程度のお小遣いなど、企業から見れば何でもない。(写真下)



今回の問題を考えるに当たって、学術的には、1に理研、2に早稲田の学位審査を軸にするのは当然だけれども、3のセルシードとの金銭・人脈関係が常識的規範の逸脱を齎したことの蓋然性も軽視できないでせう。
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今日の終わりに、若山氏について。

愚は、最初から若山氏が、少なくとも倫理上は清廉潔白では有りえないと見て来ました。(その後福岡ハカセが週刊誌上でその見方を強く滲ませた。その一方で茶白様から批判された。)これは職業柄大学教授界の人間模様を色々見て来たこともあるけれども、そういうことが無くとも、今の日本社会こういった要領の良さや賤しさや汚濁は相場でせう。そして、遺憾ながら、過去数年で、特に医学、薬学(、生命科学)分野の人は、しばしば高い社会的地位や尊敬とは裏腹に日本社会の平均よりもモラルが高いことが全然有りえないことが、ほぼ露呈してしまいましたから。

その中で若山氏は相対的には、潔癖な方(ほう)だったかもしれないけれども。

しかし、図らずも、笹井会見(4/16)以後、笹井、小保方両氏が、相謀ったか否やは知らず、若山「教授」――つまり理研からは一旦切れた人だから、小保方嬢を唯一の捏造者としてスキャンダル処理を完結できない事態になりつつある今、理研側のイメージ・ダウンが最も避けられる。――に実験過誤(が有ったとすれば)の全責任を擦(なす)り付ける流れが観察されるようになっている。

ジャーナリズムは、当分の間は、一定の割合でこれに「誘導される」でせうから、愚が若山問題を指摘すべき段階では、一旦は、なくなったわけです。無論愚は、笹井(=理研)作戦の片棒を担ぐ気も毛頭有りませぬ。