現代文化の快楽

60年代に東大の文系・理系の大学院生がコラボして、他大学にも声を掛けて、横断的に作っていた現代文化研究会へのオマージュ

学問についてのニュースを観て(13)   ‥小保方嬢を救おう(四)

2014年04月06日 | 随想録
(写真左から川合研究担当理事、野依理研理事長、米倉実コンプライアンス担当理事)


理研は、100億円(一部報道の観測では1000億円規模とも)の予算を増やし、年俸1億円程度の優秀研究指導者を招けるようにする目論見という。

このために今回の世界の科学史に残りかねない大スキャンダルはまずかった。それで野依氏以下小保方氏圧殺のために必死なのですね。O嬢からの思わぬ反撃に怒りに燃えて懲戒免職を口走って居るとも報道されている野依氏の思惑は知らねど、笹井氏さえもこの流れで必要ならば切る動きが文科省から示唆されるかもしれませぬ。

京大には、理研批判派も相当に居るはずだから、大学人の常識としては、笹井氏に教授辞任を求める動きが静かに起こると見られるし、そうでなければ折角山中教授の成功で威信が急上昇した京大の信用も再び堕ち始めることになる。

因みに、理研の予算は現在年額844億円で、ほぼ東大の853億円に並ぶ。文科省系ではこれらに次いで3位の京大は568億円。だから100億円は馬鹿に出来ぬ額。なお経産省管轄の産業技術総研は、国費投入は700億円強で、給与分が別途かこれに含まれて居るかどうかは不明。農水省管轄の生物資源研や森林総研はそれぞれ100億円前後。
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ところで、年俸1億円の研究指導者ですが、明治時代のように外国人を想定しているようにも見える。アイディアは一応良さげでは有るが、しかし、30過ぎから世界のトップ頭脳達(情報学分野での。チューリング賞受賞者がごろごろ居るグループ)と交わって来た愚から見ると、果たして、

1.理研やその周辺でつくる招聘者選考委員会にそれを選ぶ目が有るか?
2.そもそも今の時代に、それに相応しい研究指導者なんぞが存在するか?

この二つが大いに疑問です。2は世界の人類全体の中の可能性だから、希望を篭めて否定はし切れないからまだしもなれども、1は絶望的でせう。

例えばノーベル賞受賞者を集めて委員会を作るのが、国民を納得させるには無難だろうけれども、その実態は、どうせテキトーな二流御用学者が推薦したのを元に文部省のサンダル履きノンキャリ・レベル(キャリアでもこういう本格的な学術研究の在り方について英知と見識が有る者が居る由も無い。)の官僚が纏めた原案を「追認」する「セレモニー」になるだけです。

無論2についても、いずれ稿を改めて、愚の残念ながら否定的な観察乃至見通しを述べるかもしれませぬ。
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ともかく事態を「正当」な形で収拾し、災いを転じて福と為すには、生き証人の小保方さんを見殺しにしてはなりませぬ。培養器の中ででも、大事に生かして置かねばならぬ。

報道によれば、そもそも理研で小保方研は、恰も笹井氏の「手活けの花」の如く隔離され、所内研究発表会にも参加せず、極秘研究となっていたという。

今度は、国家レベルで調査委員会を作り、聴取・調査すべきです。分子生物学分野や科学論文の専門学者が指摘するように、小保方氏と笹井氏等が交換したメールも、恐らく笹井氏側は消去済みだろうけれども、復元できるように努力すべきでせう。これは「良心の塊」のような若山氏も(福岡氏のようにこの人にも疑念を強く匂わせている分子生物学者も居るし、愚もその前から全く信用はして居ないが、それは別問題として。)、いろいろな情報を持っているはずです。

航空事故調査や海難審判の類推と、将来の刑事告発も視野に入れれば、メールなどの強制捜査をする権能を持つ委員会も有りうる。緊急立法が必要ならば、それもすべき。事後立法で刑事罰の遡及適用は出来ぬが、調査委の設置は事(件)後立法でも差し支えないのだから。


(蛇足) 写真の人達。野依氏(75歳)は兎も角、川合研究担当理事(恐らく55歳位)だの、まして文科省の官僚出身でコンプライアンス担当理事という右の人物(同様に恐らく55歳位)は、涼しい顔でO嬢を非難しているけれども、何の責任も無いのですかねえ?

蛇足の蛇足 右の人は昨年迄筑波大学の副学長をしていたらしいが、無論文科省の2流以下の官僚の出向・盥回し人事に依るもの。こういう人物を高級で処遇するのは無駄か、むしろ研究状況を悪化させるだけだということが証明されたと見るべきでせう。

其のマタ蛇足 理事は減給程度の処分は有るだろうが、どの道今後の出世に縁が無いクラスの出先回り官僚なら、本人の野心や欲から見てのショックは別として、何という傷にはならない。
(官僚としての出世競争の中に居れば、懲戒歴は「入れ墨」のような効果を持ち、一生履歴―人事記録―から消えず、僅かな減給歴でも大マイナスになりうる。)

  週刊ポスト(4.18号) 発言者は文科省関係者としている。