忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

忘憂之物 16

2013年08月28日 | 過去記事



数年ほど前、売人の在日韓国人と暴力団組長が覚醒剤の密輸で挙げられた。押さえられたブツは数百キロの北朝鮮製だった。まだ万景峰号が日本海域を自由に出たり入ったりしていた2002年、島根県の安来港に接岸して堂々と「荷降ろし」もしていた。在日が北朝鮮とのパイプ役になり、それを暴力団組長があちこちに捌く。悪い政治家みたいな連中だ。

警察は目を付けていた。つまり、泳がせていたわけだが、このきっかけが2001年12月の不審船騒ぎだった。鹿児島県の奄美沖、海上保安庁の巡視船と銃撃戦をしながら逃走、結果、沈没した北朝鮮工作船から見つかった携帯電話に通話記録があった。相手が外国船でもちゃんと追いかけ回して銃撃を加え、沈没させてでも証拠品を押えると悪人が捕まる、という当然の結果だった。普通の国では常態化していることだ。

いずれにせよ、この頃から警戒が厳しくなった。北の工作員は「怖いのは日本海の荒波だけ」とおちょくっていたが、もう、万景峰号も入れなくなった。すると拉致被害もなくなったが、覚醒剤の卸値が跳ね上がった。2006年には1キロ1000万円を超えるモノもあったとか。どれほど北朝鮮産の覚醒剤が人気だったか、お得意様がいたかがわかる。

昨日だったか、朝日新聞に<運び屋になったおばあちゃん>との記事があった。61歳の女性を「おばあちゃん」と書くのか、と42歳の自分を思いながら読むと、女性には孫がいるらしく、いつも幼稚園に迎えに行っているとか書いてあった。

また<今年7月7日、七夕の日。孫娘は幼稚園で、願いごとを書く短冊を配られた。先生はみんなに「二つずつ書いていいよ」と言った。でも、孫娘は「一つでいい」と断った。祖母のことを「あーちゃん」と呼んでいた孫娘。「あーちゃんが、あした、かえってきますように」とだけ書いた>など微笑ましくも物悲しいことが書いてある。

もうひとり、13歳の孫娘もいて、これが反抗期ながら「おばあちゃん」にだけは心を開く。そんな「おばあちゃん」の逮捕後、孫娘は<すっかりふさぎこんでしまったという>と朝日は心配する。相変わらず心優しく「良心的」な新聞であるが、うっかり読むと「おばあちゃんが騙されたのかな?」と思ってしまう。読解力が心配ながらも「アジア的」に心が奇麗な朝日新聞の愛読者も誤解するかもしれない。

しかし、注意して読むとこの女は過去、6回の逮捕歴があった。いずれも覚醒剤の所持、使用とシャブがらみだ。こういうのは普通「常習犯」という。また、今回も知らずに、ではなく、ちゃんとシャブだと知っている。だから空港では「友人に持たせて」になる。自分はマークされているかもしれない、と思わねばやらない。

<女が旧知の暴力団幹部から覚醒剤の密輸を持ちかけられたのは、今年1月のこと。夫が、幹部から金を借りていた>という立派な動機もある。朝日新聞の愛読者からすれば<旧知の暴力団幹部>に違和感はないかもしれないが、普通の一般庶民はここでびっくりする。そこからはとても「孫想いの優しいおばあちゃん」を連想しない。ポルポトをして「アジア的優しさ」と書いた新聞のセンスは理解されない。

また今回、台湾から仕入れたシャブは1キロほど。私が驚いたのは、その末端価格だ。記事には六千四百万円相当、とある。北朝鮮絡みの事件からして6倍を超えている。ちなみに北朝鮮の刈上げ将軍の名誉のために書いておくと、北朝鮮産の覚醒剤は純度が高く「高級品」だ。さすがは国家規模で工場を回転させているだけのことはあるわけだ。

しかし、この孫娘から「あーちゃん」と呼ばれている「おばあちゃん」が密売人に渡した金は五百五十万円。巷で捌くと10倍を超えるわけだが、朝日新聞はこの金がどれほど地下組織の資金源になるのか心配ではないのか。また、約1キロのシャブをして<使用したとすれば、3万2900回分の量だという>とさらりと書くが、これを使用した本人らの今後、あるいはその家族などは<すっかりふさぎこんでしまったという>で済む話でもない。

だから求刑8年を求めた検察側は<「密輸しようとした覚醒剤が大量であり、多数の人間が役割を分担した組織的な犯行だ」><「被告は、覚醒剤の危険性に対する意識や、法を守ろうという意識が著しく低い。事情を知らない友人に持ち込ませようとするなど手口も巧妙だ」 >と常識的なことを言っている。非常識なのは怪しげな国選弁護人だ。

<「暴力団幹部に迫られ、逃げ場を失い、犯罪に手を染めてしまう人がいることを想像してみてほしい。前科があると言っても、10年以上前のことだ」 >

裁判員も困っただろう。<10年以上前のことだ>と言われても、いま、またやったからそこにいるわけだ。それに暴力団幹部とやらも、そこらの「おばあちゃん」にはやらせないだろう。すなわち、この幼稚園児の孫娘が短冊につるした<あーちゃんが、あした、かえってきますように>は叶わない。大きくなればわかる。べつに可哀想でもない。




2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (いつものオヤジ)
2013-08-29 23:44:13
なんつ~か、反日、捏造をこじらせて頭がおかしくなって、普通の犯罪者を「犯罪に手を染めてしまった社会的弱者」として擁護したくて仕方が無いんでしょうね。ここまでくると、存在そのものが「たちの悪い冗談」としか思えません。
返信する
Unknown (久代千代太郎)
2013-08-31 00:10:04
>いつものオヤジ さん

毎度。そうですね。

もし、万が一「日本の戦争犯罪」が本当だったとすれば、国際的弱者だった日本が仕方なく犯したのだ、と庇ってくれるんでしょうか(笑。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。