意識の流れ

2005-07-25 18:51:37 | Weblog
ジェイムズ・ジョイスとヴァージニア・ウルフがこの手法で書いた代表的人物です。たとえば、ウルフの「灯台へ」(To the Lighthouse)などはこの手法で書いて文学へと結実したみごとな作品と言えるでしょう。
「意識の流れ」手法で書かれた作品といっても、ただ一人の人間の意識の流れをずっと追うだけではありません。数人の人物の意識の流れを殆んど同時進行のような手法で書くこともあります。したがって、これを読むには若干の慣れが必要です。しかし、ウルフの場合は、慣れさえすればそれほど読み難いことはありません。というのは、一人の人物の思考の途中でいきなり別人物の思考へと移行するようなことはありません。移行するように見えるのは外見であって、前から注意深く各人の思考を追えば、これは人物Aの思考で、次は人物Bの思考だ、ということが分るように書かれております。読みずらいといえば読みずらいかもしれませんけれども。いちいちHe thought とかHe said とかが書かれてないだけに、慣れれば却って楽に読めるのではないでしょうか。被伝達文だけで書かれた間接話法、とでもいうべき話法で書かれております。面白い文学です。ぜひ親しんでいただきたいと思います。ウルフの「灯台へ」は岩波文庫で出しました。ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」は河出文庫から、「フィネガンズ・ウエーク」は集英社文庫から、それぞれ出ております。