有機化学にっき

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Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3703

2005-05-03 08:24:44 | 新着論文
Enatioselective Formation of Stereogenic Carbon-Fluorine Centers by a Simple Catalytic Method

プロリン誘導体を用いたアルデヒドのenantioselectiveなアルファ位フルオロ化。
触媒はシリルプロリノール誘導体を用い、生成物は揮発性が高くシリカゲルで分解するため、還元してeeと収率を出しています。生成物はフッ素置換基のためエナミン中間体になりやすいためラセミ化が早いのですが、この触媒ではイミニウム中間体のα位水素がプロリノール側鎖の置換基の疎水性ポケットに入っているため熱力学的に優勢な生成物が得られると説明しています。また、その仮定もkinetic resolutionにより証明しています。α位二置換のアルデヒドを用いて、フッ素置換の不斉四級炭素にも適用していますが、eeは中程度に落ちるようです。

Jorgensenのグループです。クロル化が出た報告された時点でハロゲン化はブロム、フルオロと出てくるだろうなと思っていましたが、条件検討と生成物の性質にかなり苦しんだ様子がわかります。
フッ素化はMacMillanのグループもJACS in press らしいので、そちらとの比較も楽しみです。
プロリン不斉触媒はJorgensen以外にも、MacMillan, List, Barbas Ⅲ, Blackmondなど精力的に研究がなされ有機分子ならではの変換があり興味深いです。完全にフォローしてるわけではないので時間のあるときに一旦まとめてみたいとは思っています。

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