有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS 2005 127 3696.

2005-04-08 08:53:15 | 新着論文
Total Synthesis of Brasoside and Littoralisone

タイトルに合わず有機化学がなかったのでちょいと全合成
MacMillanのグループで彼らの開発したプロリン触媒をフルに活かしています
ターゲットはアルツハイマー型痴呆症や糖尿病が原因の末梢神経障害などの予防と治療に効果が期待される、神経成長因子(NGF)活性をもつ化合物らしいです
で、標題のLittoralisoneっていうのはBrasosideより誘導されると考えられているみたいですが、その仮定の根拠となる中間体もみつかっていないとのことなので、生合成経路を仮定できる合成経路をとっています
合成上の問題点としては多置換シクロブタンと連結している9員環ラクトン、14個の不斉点が24個の炭素から構築されている分子にあるとのこと(糖部位を除くと9個の不斉中心が非常に込み入っている構造です)
(-)-citronellolを出発原料に官能基変換を行い、プロリン触媒によって不斉ヒドロキシ化、続くHWE、官能基変換の後、プロリン触媒による分子内Michael付加によりシスの5,6員環を構築。で、エノールエーテル部位をホルミル化して、酸化、ラクトン構築 iridoid部位を構築しました。
さらに彼らの開発した手法ープロリン触媒により保護糖を合成
グリコシル化、[2+2]光環化によりシクロブテン部位を立体選択的に構築しています。
最後の[2+2]は生合成経路にもつながるのでは 13工程で~13%と彼らの開発している不斉ダイレクトアルドールの有用性を思い知らされました
素晴らしいとしかいえません。ところで、プロリンの反応時間の長さと触媒量の多さはどうすれば解決できるでしょうか?安価だからかまわないのかもしれませんが、48hなんて僕なら待っていられません・・・ 簡単な構造なため、チューニングは難しそうですし・・・
プロリンのメカニズムを指針とした効率的なorganocatalysisに期待

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