有機化学にっき

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Angew Chem Int Ed Engl. Early view

2005-05-18 20:18:17 | 新着論文
A Remarkable Ring Constraction En Route to the Chartelline Alkaloids

P.S.Baranのグループです。Chartelline alkaloidの骨格合成法を報告していて、特徴的なspiro-Β-lactamを12員環マクロライドからの骨格転移で構築しました。
12員環マクロライドはフレキシブルでなく、アミドと二つのシスフォレフィン、二つの複素環芳香族を含んでいます。そのため、このマクロライドの構築に相当な苦労をしたようでメタセシス、アミド化、Heck型などでは環化せず、分子内HWEにてエナミドを構築しています。
次いで、筆者は Notwithstanding this bleak outlook, we hypothesized that πstacking and conformational effects in the macrocycle 11 would provie sufficient driving force for a bromine-induced ring contraction to yield 10. とのことで、spiro-Β-lactamを骨格のひずみにて作れるのではないかと仮定し、従来の文献では全くおきないと考えられていた変換を達成し実証しました。子引きをしましたが、どのグループもやはりこのspiro-Β-lactam構築に苦戦しており、短段階での構築は今回の報告が最高ではないかと思わせます。彼らは生体内でもこのようなひずみを利用した経路を通っているのではないかと提唱しています。全合成まであと一歩、ハロゲン導入は官能基共存性や、スペクトルのアサインなど大変ですが、骨格形成までいっていますので仕事の完成が楽しみです。
最近の仕事の方向性を見ていると生合成経路などの仮定からレトロをしていくのが武器のようです。生合成に関しては私は弱いのですが、同じように自分ならではのアプローチを明確にして仕事を進めなければと思いました。Baran教授にはいつも刺激を受けさせられます。

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