有機化学にっき

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JACS 2006, 128, 8754 & Org Lett. 2006, 5097

2006-11-29 20:26:37 | 新着論文
Catalytic Intermolecular Direct Arylation of Perfluorobenzenes


Mild and General Conditions for the Cross-Coupling of Aryl Halides with Pentafluorobenzene and Other Perfluoroaromatics

Pd触媒によるパーフルオロベンゼン(aromatic)のC-H活性化によるaryl化。
反応機構でcarbonateの橋かけ構造を提案。
さらにBuchwaldの配位子を用いることで、立体障害のある系、ArClでも進行することを報告。

Pdの触媒反応で、ArXとNuHという一般式で書き出せば、電子不足の芳香環もNu-Hとして反応できるのではというところが出発点のようです。
驚いたのが、C6F5Hだけでなく、F4, F3でも(収率や位置選択性に問題が多少ありますが)反応が進むということ。
反応機構も検討していて、カーボネートが架橋したC-H活性化を経ているのではとのこと。反応機構を説明するのに、基質のFの数と位置で競争実験を行い、生成物の分布から考察を行っています。機構の検証に使えるんだとちょっと感動。

Org Lettではオルト位の立体障害やClでも進行し、反応条件は温和・・・とbulky&electron rich phosphineのメリットがそのまま適用でした。

適用範囲が微妙ですが、面白い反応だと思います。
触媒毒になる可能性が高いですが、電子不足のヘテロ芳香環で同じような反応ができないでしょうか